「第三の眼」
「第三の眼」あるラマ僧の自伝 ロブサン・ランパ著
白井正夫訳 講談社 より引用
「火曜日ロブサン・ランパ。私は、予言はもとより、お前についてのあらゆることを
知っておる。お前の忍耐試験はきびしかったが、それには深いわけがあるのじゃ。
そのわけは、何年かのちに、お前にもわかるだろう。いまはただ千人の僧のうち
将来の望みあるものはお前一人しかいないことを知っておればよい。他のものは
あてもなく、ただブラブラとその日その日を送っているだけじゃ。彼らは、なぜとも
問わずに手先で地蔵車をまわす労働者にしかすぎない。そのような人間はありあ
まっているが、行きさき、わが国が外国に支配されるときに、伝来の知識を伝える
ような人物がなくては困っておるのだ。お前は特殊なはげしい修行を積んで、普通
のラマ僧が一生涯かかって覚える以上のことを数年のうちに学ぶのじゃ。その道
はきびしく、しばしば苦痛でもあろう。千里眼を体得するのはなみたいていのことで
はなく、また空中飛行をするためには、なにものにも屈しない精神と岩のような堅い
決心が必要なのじゃ」