「シモーヌ・ヴェイユ ひかりを手にいれた女性」

ガブリエッラ・フィオーリ著 福井美津子訳 平凡社 より引用





(本書 まえがき より引用)


本書はシモーヌ・ヴェイユ研究ではない。彼女への熱中である。シモーヌ・ヴェイユは研究の

対象とはなりえない。研究の対象となるには、彼女はあまりにもいきいきと永遠の若さを保ち、

強烈であるからだ。わたしたちは彼女を分析することはできない。分類も比較もできない。彼女

は触媒のはたらきをする力であり、わたしたちの時代に待ち受けている苦境を切り抜ける手段

である。彼女はわたしたちにさまざまな本質的な質問を提起させながらわたしたちの人生を横

切る。エネルギーの流れである。それらの質問のうちでもっとも重要なのは「わたしの人生の

意味とは何だろう?」という質問である。わたしたちはこれに答えようとこころみることも、質問

から身をかわすこともできる。わたしたちは彼女の著作を捜し出し、読み、再読し、それらを通り

抜け、ともにたたかい、それらが突きつける恐るべき要求を受け入れるかもしれない。あるいは

宗教的信仰についてのことばがあまりにも強烈ならば、それらを斥けることもできよう。いずれ

にせよ、わたしたちはこの出会いから無傷で出てくることはできない。わたしたちが生きている

工業文明の迷路をひらき、新しい見解を備えた知性によって迷路にふたたび生命をあたえる

のは、彼女の女性としての豊饒の愛であり、強烈なエロスである。短い生涯(三十四歳)と孤独

なたたかいによって、シモーヌ・ヴェイユは西洋の治癒という遠大な仕事を開始した。二度の

世界大戦というわたしたちを圧倒した崩壊を越えて、彼女はひじょうに今日的意義をもつさまざ

まな価値をわたしたちにもたらしている。わたしたちはこれらの価値を浪費してはならない。

シモーヌ・ヴェイユは彼女の作品に方法に関する新しいディスクールを応用し、それはわたした

ちが彼女の意見に耳を傾けるときさまざまな深さをもたらす。そのディスクールのおかげでわた

したちはこれまでとは別の次元にはいり、たましいがしだいにふくらんでいくのを覚える。それ

はわたしたちの存在すべてに侵入する。超自然に対する彼女の自然な接近は、わたしたちに

深い内的な反応をよび覚ます。わたしたちのたましいはひかりに向かって、徐々にひらかれて

いく。彼女とともに人間に関するもっとも偉大な次元を探すという仕事をつづけようではないか。

ガブリエッラ・フィオーリ


 


目次

はじめに

第一章 世界を前にして・・・・瞑想と苦悩

第二章 存在することの不安定と戦士のたましい

第三章 人間に対する人生の支配力

第四章 戦争・・・・野蛮な精神への抵抗

第五章 現実に対する欲望を解読する

第六章 苦しみの糧とよろこびの糧

第七章 生きることの頂点における死

第八章 存在のすべての視線のなかに存在すること

第九章 愛を啓示するこれらすべて絶対なるもの

第十章 世界のあらゆる次元を同化するシモーヌ・ヴェイユ


略歴紹介

解説 労働による見神 河野信子

訳者あとがき

著作紹介

原註








夜明けの詩(厚木市からの光景)

美に共鳴しあう生命

シモーヌ・ヴェイユ(ヴェーユ)

ホピの預言(予言)

神を待ちのぞむ(トップページ)

天空の果実


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