「ナショナル ジオグラフィック傑作写真集ベスト100」
日経ナショナル ジオグラフィック社 より引用
ナショナル・ジオグラフィックという114年の長い歴史を持つ雑誌。その掲載された 数多くの写真の中から傑作を100枚選んだベスト版である。人間、動物、自然、魚、 あるいは海底で見つかったタイタニックなど、写真が見つめた対象物の奥行きの深 さは、心に突き刺さり、沈黙の中で何かが声を発して私に語りかけているという錯覚 に陥る。そしてそれは私自身もまた、ここに生きているということを実感させてくれる ものである。 (K.K)
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(本書 編集長から より引用)
「あの写真ははずせるわけはないだろう・・・」「あのライオンの写真はどこだい? あれは 落とせないよ」「この写真を入れる? 冗談だろ」「100枚に絞るなんて不可能に近いこと が分かっているだろう」 私たちはこんなやりとりを何ヶ月も編集部で繰り返して、創刊 以来114年間の最高傑作と呼べる100点の写真を選んだ。選考に加わったスタッフは、 おおむねお互いの意見を尊重したが、最終段階では、私が審判役になって決断を下す ことも何度かあった。「ナショナル・ジオグラフィック」誌は、すぐれた写真家に恵まれてき た。世界各地を旅し、砲弾で負傷したり、サメに襲われるなど、命懸けで彼らが撮影して きた写真は、一つの雑誌に掲載されたものとしては、最も偉大なコレクションだと、私たち は思っている。魔法のような魅力を今も失っていない写真がある。チンパンジーが手を伸 ばし、著名な霊長類の研究者ジェーン・グドールの髪にそっと触れた瞬間の写真などは その一例だ。この写真集の表紙を飾ったアフガニスタン難民の少女の写真は、今も私た ちの心を打つ。おそらく本誌の歴史の中で、最も多くの人々に感銘を与え、最も多くの投書 を集めた作品だ。美しく、悲しみに満ちたこの少女のまなざしは、私たちの魂に訴える。果 たして少女は生き延びたのだろうか? この写真を撮った写真家は何度も彼女を探した が、手がかりはなかった。少女の行方は永遠にわからないかもしれない。芸術家の魂と、 直感的なひらめきをもって、「ナショナル・ジオグラフィック」誌の写真家たちは、数々の歴史 のドラマを記録してきた。
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