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私の愛する写真集・絵本

(映像も含みます)


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この文献の詳細ページへ 映画「ラ・マンチャの男」


この映画だけは熱い想いに目頭が熱くなる。原作「ドン・
キホーテ」を見事に舞台用にアレンジした傑作。全編に
流れる名曲の数々。特に「見果てぬ夢」は私の一番の
宝物になっている。この芝居、そしてこの歌に出会えた
ことを心から感謝している。この世で虐げられている人
間たちのため、一人で立ち向かおうとするその騎士の夢
と魂。「アラビアのロレンス」でもいい演技をしていた、ピ
ーター・オトゥールとソフィア・ローレンが素晴らしい。 


1965年の初演以来5年というロングラン公演を記録し、
今もなお世界中で公演され愛され続けるミュージカル
「ラ・マンチャの男」。イギリス映画・演劇の第一人者、
「アラビアのローレンス」のピーター・オトゥール、イタリア
を代表する大女優、「ひまわり」のソフィア・ローレンに
加え、ブロードウェイでたたきあげた大ベテラン、ジェー
ムズ・ココという豪華顔ぶれで完全映画化したのが本作
である。オトゥールの迫真の演技とローレンの圧倒的な
存在感、そして2人の迫力ある歌声は見る者を魅了して
やまない。ラストの大合唱「見果てぬ夢」は人々に生きる
勇気を与える壮観な名シーンである。

(DVDより抜粋引用)




 






  この文献の詳細ページへ  写真集「ASSISI」 
Elio Ciol 写真

アッシジの聖フランシスコが生まれ、そして生きた街
アッシジ。すべての写真が白黒のものだが、その表現力、
視点が素晴らしく、心から感動を覚える写真集。解説は
イタリア語だがアッシジの写真集としては、最高のもので
あると思う。

日本では販売されていないかもしれません。

 
 




 

この映画の画像へ 映画
「ブラザー・サン シスター・ムーン」
 
1972年作 ゼッフィレッリ監督 
音楽・歌ドノバン


私が初めてアッシジの聖フランシスコを知る
きっかけとなったものです。映像・音楽・役者・
脚本が見事に溶け合い、素晴らしい叙情詩
に創りあげており、聖フランシスコの実像にも
限りなく近く迫っています。他にもフランシスコ
の映画はありますが、この作品ほど感動を覚
えるものは無く、傑出したものと言えると思い
ます。特にフランシスコを演じるフォークナー、
音楽のドノバンが素晴らしい。

フランシスコを演じたフォークナーですが、まる
で聖フランシスコの魂が舞い下りてきたかのよ
うな、演技を超越した次元に立っていたのでは
と思わずにはいられません。彼自身の俳優と
しての、また人間として未来、その全てをこの
映画に注ぎ込んだのではないでしょうか。一世
一代の演技とはこのことを言うのでしょう。


青春映画の古典となった「ロミオとジュリエッ
ト」の成功でいちやく名を高めたフランコ・ゼッ
フィレッリ監督作品。13世紀のイタリアを舞台
に、実在した聖人フランチェスコの愛と苦悩の
青春時代を描いた大作である。1200年、中
世イタリアの都市アッシジ。隣国との戦争に出
かけていたフランシスコ(グラハム・フォークナ
ーは、熱病におかされて帰ってくる。何週間も
生死の間をさまよったあげく、彼は精神的な
目ざめを覚えた。自然の中に愛や平和を見て、
本当に人間らしく生きたい! そして美しい娘
クララ(ジュディ・バウカー)との出会い、雪で
おおわれた白い野原にサン・ダミアノ教会の
再建を目ざすのだが・・・・・「人生は美しい、
私にとって美がすべてだ」と語るゼッフィレッリ
監督らしく、生きることのすばらしさ、愛の尊さ
を訴えかけ、四季をとらえた美しい映像は自然
への讃歌である。2人の新人スターの初々し
い魅力もあって、さわやかで感動的な青春映画
になっている。語りかけるような音楽は、シンガ
ー・ソング・ライターのドノバンが歌っている。
(渡辺 了 同映画パンフより引用)

 



 





この文献の詳細ページへ 映画「聖処女」

フランスの寒村ルルドの貧しく病気がちな農夫
の娘ベルナデッタが、村はずれの洞窟で突然
聖母マリアの出現を受ける。そして様々な疑い
の眼を気にせず、聖母マリアの言葉通り地面を
掘ると泉が湧き上がり、そこから奇跡的な治癒
が起こる。このルルドは今では世界的な聖地と
して世界中から病を持った方たちなどが巡礼に
訪れています。白黒の映画ですが、ベルナデッタ
を演じるジェニファー・ジョーンズが素晴らしい。
素朴で純粋なベルナデッタを言葉にならないく
らい美しさで演じきっています。
このベルナデッタの死後30年に遺体を発掘した
のですが、全く腐敗しておらず今でも彼女の遺
体は、サン・ジルダール修道院の大聖堂におい
て安置され、実際に見ることが出来ます。
神から特別な恩寵を受けた人です。 


名匠ヘンリー・キングが贈る、奇跡の聖女、
ベルナデットの生涯 (DVDより引用)

ナポレオン三世の第二帝政期、フランス、ピレーネ
山中の寒村ルルド。ある日、貧しい農夫の娘ベル
ナデットは村はずれの洞窟で聖母マリアに出会った。
それから無心に祈りを捧げに洞窟へ通うベルナデッ
ト。しかし村人や家族でさえもその話を信じようとは
せず、人々を惑わすという罪で役人に捕えられてし
まう。そんな最中のある日、ベルナデットの祈りの
場所で泉が湧き上がり、その水が人々の病気を癒す、
という奇跡が起き始める・・・・。現在でも多くの巡礼
者が訪れる「ルルドの泉」を造った少女ベルナデット。
その短い生涯を「慕情」の名匠ヘンリー・キングが壮大
な映像叙情詩に仕上げている。1943年度アカデミー賞
では「カサブランカ」のイングリッド・バーグマンを退け、
清らかで美しいジェニファー・ジョーンズが主演女優賞
に輝いた他、見事5部門を受賞した名作である。
(モノクロ作品)

聖母子への祈り




 







 

この文献の詳細ページへ 絵本「木を植えた男」 
ジャン・ジオノ原作 フレデリック・バック絵 
寺岡訳あすなろ書房

「人びとのことを広く深く思いやる、すぐれた人格者の行い
は、長い年月をかけて見定めて、はじめてそれと知られるも
の。名誉も報酬ももとめない、まことにおくゆかしいその行い
は、いつか必ず、見るもたしかなあかしを、地上にしるし、
のちの世の人びとにあまねく恵みを施すもの。」 という言葉
から、この魂の偉大さ、寛大さ、不屈の精神に満ち溢れた
物語が始まる。一人の男が、その肉体と精神をぎりぎりに
切りつめ、荒れはてた地を、幸いの地としてよみがえらせて
いく物語りは、20年近く作者が自身の体験を基に構想を練っ
たものだが、その洗練された文章と共に挿絵が実に素晴ら
しい。この物語を理解し、愛した人間でしかこのような挿絵を
書くことができないのではないだろうか。文・絵が見事に調和
した傑作絵本。


製作にあたりバック氏は次のように語っている。「私は15年
以上前にはじめてこの物語を読み、深く感動しました。その後、

読み返すたびに同じ感動を覚え、そこに盛り込まれている多く
の要素を感じとったのです。
この物語では、自分の仕事に打ち
込んだ男の献身的な働きぶりが語られています。その
男は、
それが行なうべき重要なことだと知っており、自分の長年に
わたる努力が、将来、
大地とそこに住む人間にとって有益で
あると確信して、何年も無償の行為を続けていくので
す。彼は
大地がゆっくりと変化していくのを見るだけで、十分幸福でした。
それ以上のもの
を、彼は望まなかったのです。この物語は、
献身的に働くすべての人々に捧げられるとと
もに自分の手で
何をしたらよいかわからない人や、絶望の淵にある人には
心強い激励と
なるでしょう」
(本書より引用)

 
 



この文献の詳細ページへ 映像詩「木を植えた男/
      フレデリック・バック作品集」



アカデミー賞アニメーション部門した「クラック!」と5年半の
歳月をかけて完成させた代表作「木を植えた男」、など時代を
追ってフレデリック・バックの9つの作品を紹介している。これ
らの作品は、現代文明の警鐘に留まらず、自然への畏敬と
「あるべき姿」を模索したフレデリック・バックの集大成とも言え
るもので、万人の心に潜んでいる「生命の輝き」を取り戻そう
と訴えかけてやまない。「木を植えた男」以外、殆ど台詞がな
いこれらの映像詩は、真の芸術家でしか有していない鋭い
感性に裏打ちされたものであり、芸術的に非常に価値が高い
ものである。代表作「木を植えた男」に見る日本の墨絵に似た
絵のタッチ、その静かさの中に秘められた奥行きの深さにも
驚かされるが、バックの初期の作品もまた違った「爆発的」と
表現していいほど斬新な発想が見る者の目を虜にしてしまう。
アニメは絵の美しさだけでは人の心は打たない。揺ぎない
信念と表現する感性の鋭さがなければ人の心をつかむことは
ないだろう。その意味で、この9つの作品はフレデリック・バック
のその人の魂そのものである。

尚、9つの作品中、インディアンが登場するものが4つもある。
きっとバック自身、先住民がもつ視点に共鳴したが故に彼ら
を登場させたのだろう。特に「神様イノンと火の物語」「鳥の
誕生」は、アルゴンキン族とミックマック族の神話伝説を映像
化したものであり、「大いなる河の流れ」はセント・ローレンス
河に最初住んでいたインディアンを登場させており、生態系を
破壊し続ける人間の愚かさを描いている。この「大いなる河の
流れ」ではインディアンを決して美化するのではなく、白人との
接触や西欧の覇権争いの中で、インディアン自身も装飾品や
銃器など手に入れるため、動物の乱獲に加担した事実を忘れ
てはいない。

フレデリック・バック、彼が生み出したこれらの映像詩はアニメ
の傑作という領域に留まらず、ルオーやシャガールなどと同じ
ような高い芸術の領域にまで高められた所に立っている傑作
である。



日本語版では、音声・字幕とも日本語です。

 



  この文献の詳細ページへ 写真集「瞽女
盲目の旅芸人 安達浩写真集」

安達浩著 京都書院

この写真集で初めて瞽女(ごぜ)という存在を知り、私は
胸が熱くなるのを抑えることが出来なかった。彼女たちが
生まれたのは明治から大正初期にかけてである。勿論こ
の時代に盲学校や点字などない時代である。男性だった
ら按摩などの仕事に就くことが出来たかもしれないが、女
性の場合は瞽女しかなかったのではと思う。彼女たちの
母親は娘が一人で生きていけるよう幼い頃から心を鬼にし
て接してきたのだろう。そして6歳ごろに瞽女に送り出す。
現在でいうと小学校入学の時に家族と別れて瞽女の修行
に出るのである。別れの時の彼女たち、そして母親たちの
心中を想うと目頭が熱くなってしまう。最後の瞽女として有
名な故小林ハルさんが「次に生まれたら虫になってもいい
から眼の見える人生を生きたい」と語っているが、この言葉
の重みを理解できるのは視覚障害者の人たちだけであろう。
しかし人びとは彼女たちを聖なる来訪者、威力ある宗教者と
歓迎した。それは本書に書かれているように、目が見えない
ことは、かえって霊界に通じ、神に直結する重要な要件であり、
シャーマン的な役目も彼女たちは担ってきたのである。瞽女
は昭和52年に廃絶した。この写真集はその最期の姿を写し
たものであり、歴史の一面を記した貴重な文献である。

村に着くと、「瞽女宿」または「昼宿」といわれる宿に荷物
を下ろして門付けに廻る。家々の戸口に立って三味線を
弾いて唄う。迎える村の人々とは、もう長いなじみである。
「今年も元気で来てくれてよかった」・・・・雪深い冬は旅を
しない瞽女さんたちを、村のだれもがそう思って歓迎し、
世話をするのである。茶がふるまわれ、米やいくらかの
金銭が渡され、世間話がはずむ。その米は「百軒米」な
どと呼ばれ、多くの家から集めたので縁起がよいといって
買う家もあったりする。彼女たちは、ごく自然に村の日常
にとけ込んでいる。・・・・かつて、このような“やさしい風景”
が私の周りにもあったことを思い出し、それは彼女たちと
初めて逢った時の不思議な感動に重なっていった・・・・。
二度目に逢いに出かけたときのこと、近づいて行くと 
「安達さん、来たのかい」 と先に声を掛けられて驚いた。
私の足音を覚えていてくれたのである。それから数年、
写真を撮りに行くのか、彼女たちに逢いに行くのか、また
私の内の“自然体の心”に下りて行くために出かけて行く
のか、わからないような日が続いた。今にして思えば、
それはひとつのことであったような気がする。ある時は
瞽女宿に一緒に泊まり、昼宿で食事を共にし、戸口に
立って声をかけたりもした。私はごく自然に深い呼吸を
していた・・・・。1976年、「また来年・・・・」といって別れた
のが、瞽女さんたちとの旅の最後になった。中静さんが
逝った。
(本書 はじめに より抜粋引用)

瞽女に期待する民間信仰は、人間の生命の誕生と安全・
保護に関するものと、生産業にかかわる動植物の孵化・
発芽とその育成に関するものの二つが大きなものであった。
こうした重大な信仰面が根底にあったから、農民は瞽女を
手厚くもてなしたのである。信州の飯田瞽女にいたっては、
人びとの求めに応じ、こうした場合に、祓い詞を読んだり、
祝詞を上げたり、お経を唱えたり、真言を誦して、拝み・祓い・
祈願などの宗教行為を行なっていた。まさに、芸能者瞽女
が宗教者でもあったのである。近年まで存続してきた語り
芸人瞽女の生態に、神の子孫祝福を代弁する民間宗教者
の遺影を見ることができる。瞽女の年明きのヒロメの祝言は、
おそらくシャマンの神婚儀礼の遺風であろう。禁男の掟も、
男を近づけね神の妻の思想から出発していると思われる。
目が見えないことは、かえって霊界に通じ、神に直結する
重要な要件でなかったかと思われる。
(本書より抜粋引用)

 



 
この文献の詳細ページへ 写真集「みさおとふくまる」
伊原美代子・著 リトルモア

写真家・伊原美代子さんの祖母「みさお」さんは、8年前に
野良猫が産み落としていった猫を拾います。「福の神様が
来て、すべてが丸く治まるように」との願いを込めて「ふくまる」
と名づけられたその猫は、左右の目の瞳が異なる「オッドアイ」
を持ち、耳が不自由でした。みさおさんは87歳を迎え耳が遠く
なっていますが、二人だけの生活が今も続いています。

写真集に出てくるこの猫の目を見ると、野性の輝きを忘れて
いないように感じられてなりませんでした。きっと不自由な体
であるがゆえに、より鋭敏な感覚を持たなければならなかった
のでしょう。そんな「ふくまる」に、おばあちゃんは自然体で接し
てきたのかも知れません。同情からの溺愛ではなく、自分の
世界に新たな色彩が加えられ、それを楽しく感じているおばあ
ちゃんの姿が一枚一枚の写真を通して伝わってきます。

人間と猫、そして自然が一体となったこの写真集は、いつも
手元に置いて眺めたくなる不思議な魅力にあふれています。

 





この文献の詳細ページへ 写真集 「ちいさな労働者
写真家ルイス・ハインの目がとらえた子どもたち」

ラッセル・フリードマン著 千葉茂樹訳 あすなろ書房

これは今から100年前のアメリカの姿である。しかし児童
労働それは現代でもまだ世界各地に存在し、子供たちの
未来を奪い続けている。私自身も小学生低学年のころ、強
制ではなく自ら進んで母親の内職の手伝いをしていたが、
その次元とは全く異質な世界がこの文献に写し出されてい
た。学校にも行かず、朝から晩までただひたすら僅かなお
金を稼ぐために生きている子供たち。上野英信氏の「追わ
れゆく坑夫たち」
の中の一枚の子どもの写真を見た衝撃、
それと同じような悲しみと怒りを感じてならなかった。この
「ちいさな労働者」という文献に紹介されている写真は、教育
者でもあったルイス・ハインが子供たちの窮状を救うため
全米児童労働委員会の取材カメラマンとして撮ったもので
ある。そしてこれらの写真が人びとの目を子どもの権利に
向ける一つのきっかけとなってゆく。もしこの子供たち全て
が学校に行ける環境の下で、そして子どものままでいる権利
の下で育ったらどんな人生を歩めたかと思うと、胸が痛くな
る。写真に写っている100年前の子供たち、すでにこの世に
はいないかも知れないけれど、彼らの目の底で訴えかけて
いるものを私たちは決して忘れてはいけないのだろう。



ルイス・ハインは貧困の中で死んでいきました。彼の死に
注意をはらう人もほとんどいませんでした。しかし、その後、
彼の評価は高まり続け、今日では、アメリカが生んだ偉大な
写真家の一人として認められています。彼の残した写真は、
アメリカの歴史を語る大切な記憶として受け継がれていくこ
とでしょう。彼の写真は、ほとんど労働が現在よりもはるかに
過酷だった時代に、幼い子どもが大人と同じように働いてい
たことを思い出させてくれるでしょう。左ページの写真を見て
ください。80年という時間の向こうから、カリフォルニア州の
紡績工場で働く一人の少女が私たちのことをまっすぐに見つ
めています。彼女の瞳は、残酷なほどきびしい労働につく
少女の苦しみを訴えかけてきます。しかし、ハインはこの一枚
の写真の中に、彼女の人間性と、威厳と生命力をもとらえて
いるのです。あるとき彼の友人が、ハインがとらえた子どもた
ちは、どうして美しいのだろうとたずねたことがあります。それ
に対してハインはこう答えました。 「わたしはただ、美しい子供
たちを写しただけです」 おそらく彼は、子どもの気持ちをとら
える方法を知っていたのでしょう。おそらく彼の微笑み、やさし
い言葉、手のぬくもりが、彼が子どもたちの仲間であることを
知らせたのでしょう。彼はすべての子どもの中に美を見いだし、
子どもたちは彼を信頼しきって、彼の向けるレンズに応えたの
です。ルイス・ハインがとらえた働く子どもたちの姿は、アメリカ
の良心をゆさぶり、法律の改正をうながしました。彼の旧式の
箱型カメラと共感にあふれる目が、アメリカ人の意識を根底か
ら変え、アメリカという国のあり方をも劇的に変えたのです。

(本書より引用)


 
  この文献の詳細ページへ 写真集 「人間が好き」
アマゾン先住民からの伝言 
写真・文 長倉洋海 福音館書店

この写真集はアメリカ・インディアンのものとは違い、
アマゾン・インディオの大地の恵みに囲まれて生きる
彼らの素朴な、そして雄弁で喜びに満ちた表情を追
いかけた素晴らしい写真集であるが、かつてアメリカ・
インディアンもこのような生活を送っていたに違いな
い。この写真集には短いながらも先住民の方たちが
持つ世界観・叡智が込められており、彼らの喜びの
表情そのものの中に限りなく深い精神の豊穣さを垣間
見ることが出来る。文明とは何か、人生とは何かを
この写真集は訴えかけて名写真集。

鳥のように 静かに地上におりたち 
静かに 飛び去っていく 
それが インディオの生きかた 
アユトン・クレナック(アマゾン先住民)

「きみが微笑む時」子どもたちの微笑みがひらく、
大地と地球の明日

「心に響く言葉」1998.5/08「人間が好き」
「アユトン・クレナックの言葉」
「鳥のように、川のように」森の哲人アユトンとの旅
「天空の果実」

 
 
この文献の詳細ページへ 写真集「杉山吉良写真集 NUDE」 
ノーベル書房

太古の昔、男も女も身に何もまとわなかった時代。
しかしお互いはその体を見て生命の畏敬と感謝を
感じていたかもしれない。女性のNUDEを通して、
杉山吉良のこの写真集は「生命の賛歌」を高らかに
歌い、人間と自然がともに生の喜びを分かち合って
いた時代に立ち戻らせた傑出した写真集。日本の
写真界におけるヌード写真の開拓者であった杉山
吉良は、当時19歳の太田八重子さんをモデルに
使い、自然と女性の融合した美しさを発表し内外か
ら高い評価を受けました。その中には松永安左エ門
翁や瀬戸内寂聴さんらがこの写真集に対してコメント
を寄せています。しかし、展覧会があった12月の
終了後、モデルであった太田八重子さんは自らの
命を絶ってしまい、杉山吉良氏は悲しみにうちひし
がれたそうです。「私と一緒に写真を作るのに、自然
の中に裸で飛び込み、そこに喜びを感じ、つらい
仕事に耐えてくれた彼女は、今はこの世にいない」。
1972年発行ですから今から40年前に出版された
写真集です。当時まだヌード写真に対して理解が
浸透していた時代だったとは言えないと思います。
その中で太田八重子さんが何を悩み何を感じてい
たのか、恐らくそれは写真を撮り終わったあとの
出来事が原因だったのかもしれません。それ程、
この写真集で見せる彼女の表情としぐさは生き生き
と輝いており、そこには「死」を感じさせるものは
何一つないからです。

杉山吉良はその後、戦時中報道班員として従軍し
た北太平洋アッツ島を再訪し、北限の花に戦死し
た多くの人々の思いを汲み取り、その人々の鎮魂
歌として「花」という印象的な写真集を出版しています。

 
 

この文献の詳細ページへ 絵本「ねっこぼっこ」
ジブュレ・フォン・オルファース著 生野幸吉 訳 福武書店

大地の母のはたらきや、土の匂いが女性らしい柔らか
い絵の中に、生き生きと表現されている。この本の著者
は20代で修道院に入ったのちも絵の勉強を続け、1916
年第一次世界対戦の最中、肺をわずらい、34歳でこの
世を去りましたが、アッシジの聖フランシスコと同じように
大地からの贈りものに、畏敬と感謝を持った方であった
ような気がします。大地に根をおろした作品。

 
 





 
 

この文献の詳細ページへ 絵本「アライバル」
ショーン・タン著 小林 美幸 訳 河出書房新社

私は絵本が好きだ。それは言葉ではなく沈黙を介して
語ってくることがあるからだ。この「アライバル」という絵本
には一切の言葉はない。丹念に描かれた絵の一枚一枚
の世界に、読者は自分の体験や想像を膨らませ共有し
ていく。

著者の父親はオーストリア出身でマレーシアからの移民
だと言う。それを土台にした「アライバル」も希望が見えな
い故国に妻・子供を置き見知らぬ国へ旅立つ物語である。
いつかきっと再び一緒に暮らせることを夢見て。

主人公が長い航海の果てに辿り着いた所は全く経験した
ことがない所だった。言葉・習慣・一風変わった動物、奇
妙な浮遊体たち。それでも主人公はこの異文化の中で
必死に生き抜こうとする。そして出会った人たちも主人公
と同じく故郷を離れなければならなかった人たちだ。

私自身も小・中高生の頃、父親の仕事の都合で転校を繰
り返した。親友が出来ても直ぐに別れなければならなかっ
たが、それを何度も繰り返していくと、友達を作るのが
怖くなってしまう。それは同じような悲しみを二度と味わい
たくないという想いが働いたのかも知れない。

この絵本を見ると遠い日の私を見るような気持ちだった。
きっと単身赴任で見知らぬ土地へ行った経験を持った方
も、共感を持って本書に見入るかも知れない。

世界各国29の賞を受賞し、世界中に衝撃を与えたこの絵
本は僕の心に衝撃を与えた。「生きること」「生き抜くこと」、
そして「希望を忘れないこと」を私はこの絵本から受け取っ
たように思う。



世界各国29の賞を受賞、世界中に衝撃を与えたグラ
フィック・ノヴェル、ついに刊行! 漫画でもコミックでもない、
素晴らしいSF(センスオブワンダー)に満ちた「文字のない本」。


 
 


(文庫版)

この文献の詳細ページへ 「すてきな 三にんぐみ」
 トミー・アンゲラー作 いまえ よしともやく 偕成社

黒マントに黒い帽子をかぶった、泥棒の三人組。しかし、
意地悪なおばさんの所へ行く孤児の女の子を、唯一の
えものとして連れ帰ってしまったときから始まる心暖まる
美しい物語と挿絵。

私自身、モーリス・ルブラン著の「アルセーヌ・ルパン」や
江戸川乱歩の「怪人二十面相」なそ中学生のときに良く
読んだものだった。特にルパンは盗人でありながら、弱い
立場の人間や女性には優しく、私はそのような義賊に惹
かれていたのかも知れない。この絵本を読んだとき、何か
昔のあの憧れにも似た感情が蘇ってきたような気がした。
悪者が、一人の少女を通して心を入れ替え、虐げられて
いる子どもたちを救っていく。物語はとても単純だが、
素朴な絵がこの物語を心に残る作品にしている。


 
 
この文献の詳細ページへ 映像「ビーバー」

信じられないほど美しく鮮明な映像で動物の生態を追った
だけでなく、限りなく深いビーバーへの愛情が基盤になって
いる傑作。川にダムを作ることで有名なビーバーですが、
その素顔をこのような感動的な映像で見られるのは凄いこ
とだと思う。しかし、どのようにしてこのような映像を撮ること
が出来たのか不思議です。 



 
 この文献の詳細ページへ 写真集「ファー・アウト
銀河系から130億光年のかなたへ」

マイケル・ベンソン 著 檜垣 嗣子 翻訳 
新潮社


未公開写真を含む本書の宇宙の神秘的
な姿には「自分とは何者か?」と常に問いか
けてくるようだ。そこには宇宙の歴史、人類
の歴史、そして自分自身の歴史が一体と
なって、自分という一個の存在にその疑問を
語りかけてくる。この「ファー・アウト」を見て
多くの人がそう感じてしまうのだろう。神秘
的な写真に留まらず、ある天体の光が地球
に向けて旅立つその時の地球・人類の様子
も描かれ、前に発した疑問に否応なく連れ
戻される。ただ美しい写真を網羅した写真集
などではなく、これは一つの宗教や哲学の
息吹をも吹き込む迫力を持った傑作写真集
である。


「天空の果実」

 

この文献の詳細ページへ 写真集「ビヨンド 
惑星探査機が見た太陽系」
 

マイケル・ベンソン 著 檜垣 嗣子 翻訳 新潮社

一つ一つの惑星探査機が虚無の空間を長い時間を
かけて到達し、そこで
捉えた惑星たちの姿。それは
あまりにも荘厳で、見る者を圧倒してならない。そして
自分自身の存在そのものを、宇宙という尺度の中で
考えさせられるほどの迫力を持った貴重な写真集で
ある。この写真集には過去の惑星探査機が撮影した
数多くの中から特に優れたもの295点が収録されてお
り、それぞれの惑星たちの解説も一級品である。

以下本書より抜粋引用

その声の報告は、言葉を使わない。画像を送ってい
るのだ。何千枚もの画像を。こうして私たちは金星
を見る。雲のヴェールは、1990年代に探査機マジェ
ランが、驚異的なまでに解像度の高いレーダーを
取り払ってしまった。虚空からぼんやり姿をあらわ
す水星のいかめしい、太陽にさらされた表面は、
1970年代にマリナーが撮影し、近年再処理がほど
こされた写真のなかで驚くほど鮮やかに見える。
赤茶けたぎざぎざの、立体的な火星の谷や火山は、
1970年代のバイキング軌道船から現在の偵察ミッ
ションにいたる画像によって、非常に細かな部分ま
で明らかにされている。いくつもの衛星をもつ木星
の荘厳さ、土製の美しいリング、そして外惑星の冷
たい郡青色の輝きも、旅人ボイジャーや、ふさわし
い名を得たガリレオによって解き明かされている。

過去40年間、太陽系を探検すべく打ち上げられた
ロボットの小さな一団は、目を見張るほど幻想的な
作品を無数にうみだしてきた。それは、風景写真と
しての頂点を極めた作品として評価され得るもので
ある。「ビヨンド 惑星探査機が見た太陽系」は、ロ
ボットによる宇宙探査史上もっとも見応えのある
画像を集めることで、見る者の心に畏怖の念を起こ
させるような、視覚で語る惑星旅行の物語をつくりあ
げている。

「天空の果実」

 




この文献の詳細ページへ 「神曲」 
原作 ダンテ 挿画 ギュスターブ・ドレ
訳・構成 谷口江里也 JICC

文学史上に輝く古典「神曲」に、ドレの独特な才能を
すべて投入した傑作。ドレは「ドン・キホーテ」「失楽園」
にも挿画を書いているが、この「神曲」は、彼が最初に
書いたものである。

「神曲」はドレ以前にももちろん、例えばルネッサンス
の画家であるボッティチェルリをはじめとして、多くの
画家によって描かれたが、ドレのように全編を通し、し
かも重要なシーンを全て網羅した例は外に無く、これは
ドレの豊かなイマジネーションと、対象に対する情熱を
もって始めてなしえた偉業であると言って良い。ともあれ
こうして「神曲」はダンテの死後五百年を経て、思想や
文化が近代のルネッサンスともいうべき一大興隆を見
せ始めた十九世紀、ミケランジェロの再来とまで言われ
たドレの才能を得て、新たな輝きをもって甦った。十四
世紀初頭の詩人ダンテと、十九世紀中期の版画家ドレ、
この時空を超えたスーパースターの競演は、その両者
のスケールの大きさ、その緻密さにおいて私たちを圧倒
するものがある。
本書「甦える古典」谷口江里也より引用

 
    この文献の詳細ページへ 絵本「へいしのなみだ 
     ラーゲルレーヴ(キリスト伝説集)より」
さとう ひでかず, さとう しなこ (文), つかさ おさむ (イラスト)  
こぐま社


物語は紀元元年、新たな救世主(イエス・キリスト)の
誕生を恐れたヘロデ大王が、ベツレヘムとその周辺の
二歳以下の男の子をすべて、一人残らず殺した時のこ
とが舞台となっています。危うくヨゼフに現れた天使の
警告によりエジプトに逃れたイエスとその家族。この時代
を背景にラーゲルレーヴがこの「へいしのなみだ」を創り
ました。この絵本の素晴らしいところは、文は勿論のこと
ですが、絵の力強い独特のタッチにあります。作者の息
づかいや想いが私にも伝わってくるような強烈な個性。
まるでルオーの絵を見ているかのようでした。あまり知ら
れていない絵本かも知れませんが、私にとっては宝物
です。この絵本は「キリスト伝説集」ラーゲルレーヴ著
らのものです。


アーナ・ロヴィサ・ラーゲルレーヴ。『ニルスのふしぎな旅』
(1906年)の著者。1909年に、女性で初めてのノーベル文学
賞受賞者となった。キリスト教の寓話的作品、絵本を数多く
書いている。

 

この文献の詳細ページへ 写真集「THE NORTH AMERICAN INDIAN」 
EDWARD S. CURTIS 
THE COMPLETE PORTFOLIOS TASCHEN

100年以上前にインディアンの魂に魅せられたカー
ティスの素晴らしい写真を集めたもの。770ページ近く
の分厚い本だが、今では見られないインディアンの貴重
な姿と共にその叫びまで聞こえてくる写真集。

 

この文献の詳細ページへ 写真集「On This Earth: Photographs
    from East Africa」
 

    Nick Brandt 写真

生命が持つ躍動、その神秘さをこの白黒写真集は
見事に私達人間に訴えかける。この写真を見れば
動物達も自分たちと同じようにこの地球に生きている
ということを魂の奥から実感できるのではないだろうか。
それ程素晴らしい写真集であることは疑いのないとこ
ろだろう。邦訳されていないので序文など英語である

 
   

この文献の詳細ページへ 絵本「ふたつの島」 
イエルク・シュタイナー 文 イエルク・ミュラー 絵 
大島かおり訳 ほるぷ出版 


傑作。物質文明の危機とその文明の名の下に搾取
された人々の物語だが、人間の暖かさと未来を感じさ
せる。構想力と絵が一体化しており、その表現力は胸
を打つ。この絵本はインディアンという特定の人々を
主人公にして書かれていない。世界各地の先住民族が
もつ、大地に根をおろして生きることの大切さを切々と
訴えている。素晴らしい絵本であると共に、現代の人間
優位の物質文明に犯されている我々への警鐘の書でも
ある。是非読んでいただきたい。

 

この文献の詳細ページへ 写真集 「TIPPI・ティッピ」 
シルヴィ&アラン・ドゥグレ写真 日本ヴォーグ社

この写真集に出てくる不思議な少女ティッピは、アフ
リカのナミビアで生まれる。野生の動物たちとすぐに
仲良しになれる不思議な力を持ったティッピの姿を追っ
た写真集であるが、人間と動物の間に突き刺さる垣根
をティッピは軽々と飛び越える。ティッピの口から飛び
出す言葉は現代文明の中で生きる我々が、如何に多く
の根源的なことを忘れてしまったかを想い出させてくれる。

「私も裸にならなければ、動物たちは心を開かないわ。」
ティッピ

雑記帳「魅せられたこと」1997.6/20を参照されたし

 





 

この文献の詳細ページへ 映画「サウンド・オブ・ミュージック」


1965年に公開されたロバート・ワイズ監督、ジュリー・
アンドリュース主演のミュージカル映画。

リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世の
名コンビが1959年11月にブロードウェイで初演したミュー
ジカル『サウンド・オブ・ミュージック』を原作としたもので
世界的に大ヒットした。この映画は第38回アカデミー賞で
作品賞、監督賞、編集賞、編曲賞、録音賞の5部門を獲得
し、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世
の最後の作品でもあった。


オーストリアからアメリカへ亡命して、トラップ・ファミリー
合唱団を結成した一家の実話をモデルにして作られた
ミュージカルで、1959年11月にブロードウェイで幕を上げ
てから1443回にも及ぶ公演を記録した「サウンド・オブ・
ミュージック」を、「ウェストサイド物語」でミュージカルの
大家としての地位を獲得したロバート・ワイズ監督が映画
化したものである。大衆に訴えかけるために、作品にもっ
と社会性を持たせる必要性を痛感した彼は、ヨーロッパ
制覇の理念のもとに次々と隣国に魔の手を伸ばしていっ
たナチス批判を強調した。想像を絶する困難と恐怖を乗り
越えて自由の国アメリカへ脱出するという「カサブランカ」
ばりのドラマ仕立てを用意することで、勇気と自由への
憧れを見事に描くことにも成功したといえるだろう。勿論、
ワイズ監督がこの作品で「ウェストサイド物語」に続き
二度目のアカデミー賞受賞に輝いたことは言うまでもない。
((相模女子大学教授 曾根田憲三)





 



この文献の詳細ページへ 「Alaska 風のような物語」 
星野道夫 写真・文 小学館

星野道夫氏が13年間におよぶアラスカ取材を通し
て見つめた大自然と、そこに生きる先住民の方たち
の視点。その深い思索の息吹と写真の中の動物た
ちの力強く優しい鼓動が見事に調和した傑出した
写真文集であり文字どおりの名著である。多くの方
にこの息吹と鼓動を感じていただけることを願って
いる。それは私たち地球に生きるすべてのものへの
賛歌であり未来という世界へのメッセージでもある。

あらゆる生命は同じ場所にとどまってはいない 
人も、カリブーも、星さえも、
無窮の彼方へ旅を続けている 
星野道夫(本書より)

星野氏の著作
「イニュニック(生命)」

「Alaska 風のような物語」
「旅をする木」
「長い旅の途上」
「星野道夫の仕事 第1巻 カリブーの旅」

「星野道夫の仕事 第2巻 北極圏の生命」
「星野道夫の仕事 第3巻 生きものたちの宇宙」
「星野道夫の仕事 第4巻 ワタリガラスの神話」

 

この文献の詳細ページへ 「森と氷河と鯨」 
ワタリガラスの伝説を求めて 
星野道夫 文・写真 世界文化社

星野道夫という魂から紡ぎだされた言葉並びに写真に
秘められた視点は、私たち日本人が忘れかけている太古
の魂の記憶を甦らせてくれる。そしてこのような星野氏の
魂の遍歴はある一人のインディアンの男との出会いによっ
て浄化され強められていく。星野氏の写真家としての作品
にははっきりとした意志が込められており、彼の視点が
現代文明に浸っている私たちの視点の座標軸をあるべき
位置へと帰還させてくれる。この彼が残した遺言に、そして
先住民族の方たちが持つ世界観に、感謝と祈りと喜びが
存在していることを是非多くの方に知っていただけたらと
思う。彼が残した遺言というべき数々の作品は、いつまでも
私の心に生き続けるだろう。

「ぼくは、深い森と氷河に覆われた太古の昔と何も変わ
らぬこの世界を、神話の時代に生きた人々と同じ視線で
旅をしてみたかった。この世の創造主であるというワタリ
ガラスの神話の世界に近づいてみたかった」アラスカに
伝わる創世神話はなぜかワタリガラスを主人公とした物語
が多い。アラスカの写真家として知られる著者が、かねて
より関心を抱いていた”ワタリガラスの神話”をテーマに、
南東アラスカの自然を旅した。神話を追い求める著者の
旅は、一人のインディアンとの出会いに始まり、それはや
がてモンゴロイドの偉大な旅へとつながっていく。苔むした
森、蒼い氷河、ザトウクジラの海。太古の気配を残す南東
アラスカにワタリガラスの神話を追い、シベリアへと人類の
足跡をたどる星野が遺した最後の物語。(本書・帯文より)

「心に響く言葉」1998.10.23を参照されたし

 
 

この文献の詳細ページへ 写真集「星野道夫の仕事 第4巻 
   ワタリガラスの神話」
 
星野道夫 写真・文 池澤夏樹 解説 三村淳 構成 
朝日新聞社

星野道夫氏がワタリガラスの神話を追いかけるそれ
ぞれの旅先で出合った生き物たちの、遥か太古の昔か
ら途絶えることのない生命力に満ちた姿とその大地を
記しした感動的な写真集である。氷河、トーテムポール
とそれを創ったクリンギッド族、フクロウ、森、ザトウクジラ、
ラッコ、セイウチ、アザラシ、ハクトウワシ、グリズリー、
ブラックベア、そしてアラスカ先住民。これら全ての生き物
がこの大地と海に育まれてきた。そしてこれらの生命と
の一瞬の出会いの中においてさえも、太古から未来へと
限りなく続く時空の深遠さが横たわり、私の心までこの
渦巻きに飲み込まれる。

星野の関心がアラスカからシベリアの方に向かった
のは、ワタリガラスだけが理由ではなかったと思うが、
しかしアラスカとシベリアの両方に同じようにワタリガ
ラスの神話があることに彼は強い関心を寄せていた。
アラスカはじめアメリカ大陸の先住民はかつてベーリ
ング海がまだ歩いて渡れたころに、アジアから渡った
人々の子孫である。それから数千年の間、彼らは二つ
の大陸にはなればなれになりながら、ほぼ同じ神話を
保持してきた。その点に星野は心を動かされる。数千
年という長い時間の腐食作用に神話がそこまで抗しえ
たことに意味を見出す。われわれが持っているような
短いせせこましい物差しではなく、千年をあっさり跨ぐ
ような長い物差しを持った人々を彼は敬意の目で見た。
(本書より 池澤夏樹)

 
  この文献の詳細ページへ 写真集「酋長の系譜」 
新正 卓 著 講談社

著者が合衆国全土を5年間に渡って撮影した286点の
肖像写真集。その顔には誇り高きもの、そして多くの写真
家が彼らを「見世物」として撮ってきたことへの警戒感とが
交差している。その表情すべてなかに、私はなんと表現し
ていいのかわからないある勇気が湧き出てくるものを感じ
た。

先住民族につけられたインディアンの名称は、1492年、
コロンブスのアメリカ発見時の誤解から生まれた。そして、
西へ西へと追い立てられ、居留地に囲い込まれた。ハリ
ウッド映画に見られるように、それぞれの時代で、インディ
アンは、アメリカ人が望むイメージに合わせて描かれてきた。
それらに迎合する人々も少なくはなかった。しかし、ここには、
彼らの愛する大地や空や水の輝き、輝く松葉、砂浜、奥深い
森の霧、すべての切り透かし、ハミングする虫たち、そして
愛する人々、すなわち、インディアンのふつうの姿がある。
(本書・帯文より)

 

絵画「ルオー」 
現代世界の美術 11 集英社

一見武骨に見えるが、その中に秘められたルオーの
強靭であり冷徹な視線。そして温かい視線。
「郊外のキリスト」
「ヴェロニカ」
「三人の裁判官」
「ピエロ」
「逃亡」
「深き淵より」
など心に響くが、この中の幾つかは東京駅近くの
ブリジストン美術館
にて展示されている。

 
    この文献の詳細ページへ 映画「クジラの島の少女」
ケイシャ・キャッスル=ヒューズ (出演),
ニキ・カーロ (脚本)


「クジラの島の少女」これは心の底から感動しました。
マオリ族の長老の家に生まれながらも、祖父である
長老に認められないでいる少女の物語。昔ながらの
伝統が廃れていくマオリ族の将来を心配する長老が、
誰か男子の後継者を育てようとするが、中々うまくいか
ない。そんな中、クジラたちが浜に打ち上げられ悲痛な
叫びをあげる。少女の素朴な演技、そして伝統の持つ
重みと救い。これは本当に心揺さぶられる作品でした。
「風の谷のナウシカ」の現代版と言っていいかも知れま
せん。シベリアでも同じクジラを題材とした口承文学
あり、これも最高傑作です。 

実在のマオリ族の主人公が不遇な子どもたちにチェス
通して希望を与える物語を映画化した「ダークホース」
The Dark Horse
 /ニュージーランド も参照されたし。





 
    この映像の詳細ページへ 映像「ザイオン・キャニオン 神々の宝」
「ザイオン峡谷 神秘にあふれる谷」日本語版   
「Zion Canyon : Treasure of the gods」 

インディアンの姿を記した映像(映画を含む)の中で
不思議と心に残り続けてきた唯一のものが、この「ザイ
オン・キャニオン 神々の宝」です。この映像を最初に
見たのはプラネタリウムのドームでしたが、その圧倒的
な迫力と共にインディアンの視点が根底に流れている
物語性に虜になってしまいました。この映像は40分ほど
の長さしかありませんが、その美しさと内容の濃さは私
の心をひきつけて離そうとしません。




 

この文献の詳細ページへ 写真集 「ザ・ワイルドライフ」 
ナショナル・ジオグラフィック写真集 
ジョン・G・ミッチェル著 
日経ナショナル・ジオグラフィック社

世界の一流動物写真家45人の撮った傑作175点を
集めた貴重な写真集であるが、この中には星野道夫、
岩合光昭などの日本人写真家の作品も含まれている。
特に冒頭の数枚の写真には何かを感じずにはいられな
い臨場感で迫ってくる傑作である。

約100年の間、ナショナル・ジオグラフィック誌の誌面
を飾ってきた優れた野生動物の写真は、つねに高い
評価を受け、多くの読者を獲得してきた。新しい千年紀
を迎えた今、それらの写真はこの輝かしい写真集にま
とめられ、動物写真の新たな金字塔として打ち立てられ
た。現代を代表する写真家による、動物写真の傑作を
175点を収めたこの写真集は、おもわず息をのむよう
な映像美に満ちている。だが本書の魅力はそれだけに
とどまらない。本書では、砂漠や海洋、森林、草原など、
自然界の王国で、さまざまな生き物が力強く美しい世界
の中で依存し合いながら、なおかつ微妙なバランスを
保って暮らす様子を知ることができる。また、野生動物
の写真撮影の技法や、才能ある動物写真家たちの
プロフィールも紹介されている。こうした写真家たちは
その鋭い目と卓越した技術を駆使して、あっというまに
姿をくらます動物でもフィルムに収めてしまう。本書に
集められた数々の美しい写真は、砂漠などの過酷な
自然から、大小さまざまな生き物がうごめく自然まで、
生態系ごとに分類され、一つ一つの生態系の全体像
を捉え、驚嘆すべき多様性に満ちた地球の生き物の
姿を、広い視野から眺めることができるように工夫さ
れている。(本書より引用)

 
  この文献の詳細ページへ 絵本 「神の道化師・イタリアの民話より」 
トミー・デ・パオラ 作 湯浅フミエ訳ほるぷ出版 

少年ジョバンニは、なんでもお手玉のように空中に投
げ飛ばす特技を認められ、旅芸人に加わる。その評判
はイタリア中に広まるが、月日が流れ年老いてくると喜
んでみてくれる人は少なくなり、ジョバンニは村を追われ
る。よその家の軒下に眠り、パンをめぐんでもらいなが
らジョバンニは故郷ソレントへ帰るが、ある教会にもぐり
こみ寝入る。その日はクリスマス・イヴで多くの人が聖母
に抱かれた御子イエスの像に、ささげものを持って長い
行列を作っていた。そして時が過ぎ、一人教会に残され
たジョバンニは像の前に近づき悲しそうなイエスを見る。
教会に残されたジョバンニは像の前に近づき悲しそうな
イエスを見る。ジョバンニは古い衣装をひっぱりだし、
道化の化粧をすませると、あの昔多くの人が喜んで見た
芸を始める。それはこれまでにないほどの出来栄えで、
いろいろな色の玉が高く高く回り続ける。「あなたに、神
の御子イエスさま、あなたにささげます」と声をふりしぼっ
て言い、年老いたジョバンニは息絶えてしまう。しかし、
にっこりほほ笑んでいるイエスの手にはしっかりと金色の
玉が抱かれていた。・・・・

トミー・デ・パオラはこの作品の他に、
「ヘルガの持参金」「まほうつかいのノナばあさん」など
があり、その独特な絵のタッチは印象深いものがある。

 
  この文献の詳細ページへ 写真集 「動物の親子」 
日経ナショナル ジオグラフィック社

どんな動物でも、幼い子どもはいとおしくてかわいら
しい。そして、母親と子どもを結びつける深い愛情ほど、
すばらしいものはない。だが幼い生命はとてもか弱い。
食うか食われるかの闘いや、飢え、寒さ、渇きなど、
予測のつかない危険が子どもたちを待ちかまえている。
手助けしたくなるのも当然だが、どんなに無力であって
も、動物の子どもは、太古から続いてきた進化の結晶
をしっかりとうけついでいる。動物の子どもたちの生き
ものとしてのすばらしい潜在能力はすぐに開花して、
空を飛び、獲物をつかまえ、水中を泳ぎ、陸を走るよう
になる。動物の子どもははかりしれない可能性を秘め
ていて、私たち人間もその気になれば、彼らから学ぶ
ことがたくさんある。この本は、さまざまな種類の動物
の生態はもちろん、詩情あふれる姿も描き出す。動物
の子どもがくぐりぬける冒険や試練、そして成長の過程
を通して、私たちは豊かな地球をつくりあげた自然の
複雑さ、厳しさ、そして美しさに触れるはずだ。
(本書より引用)

 
    この文献の詳細ページへ 絵本 「ブラザーイーグル シスタースカイ」 
酋長シアトルからのメッセージ 
絵 スーザン・ジェファーズ 訳 徳岡久生+中西敏夫
JULA出版 

この感動的な絵本はアメリカ書店業協会賞(ABBY賞)を
受賞したものですが、その絵の素晴らしさは、首長シアトル
の言葉と見事に共鳴しあって読者を「あるべき世界」へと導
くものです。是非多くの方に、そして未来を担う子供たちに
読んであげて下さい。


雑記帳「魅せられたもの」1998.4/20「父は空、母は大地」


酋長シアトルの有名な演説は、部族の土地を手放すさい
に、アメリカ政府と条約を結ぶ場で行われたものである。人
と自然との一体を説き、白人との平和を願うその言葉は、
年月を経るなかで何度も書きかえられ、また書き加えられ
たりもしている。スーザン・ジェファーズの繊細だが力強い
絵は、悲しみと希望を織りこんだ複雑な情景をえがきだし
ていて、酋長シアトルの演説との組み合わせによってでき
あがったこの絵本は、現代社会に生きるわたしたちにとって、
あたかも警告と予言の言葉のように鳴り響いき、時を得た
説得力あるものとなっている。
(本書・アメリカの書評誌「ホーン・ブック」より引用)

 
 

この文献の詳細ページへ 写真集 「奄美 神々とともに暮らす島」 
高田宏・文 阿部幹雄・写真 飛鳥新社

奄美の美しい自然と、そこに生き、祈る人々を撮った
素晴らしい写真集です。写真も素晴らしいのですが、
序文にある「奄美・・・現代と古代が同居する“すべてが
美しい島”」を書いた小林照幸さんの言葉がまた比類
なき輝きを湛えています。この言葉を読んで改めてこの
写真の数々を見ると、よりその深みが肌を通して理解
できるのではないでしょうか。少し長くなりますが、この
小林さんの文を掲載しましたのでお読みくだされば幸い
です。私の父は船乗りでしたので、ユタが真剣に海に
祈りを捧げている姿が心に残ります。この奄美で幼少
の頃を過ごした大ばか者の私は、本当は幸せ者かもし
れません。多くの人にこの写真を、そして言葉を見て
読んでもらいたいです。

美しい自然に抱かれ、精霊や神々と響き合って暮ら
す島人たちの表情は生気に満ちている。死や闇の世界
が身近にあるからこそ、生はいっそう輝くのだ。大島、
加計呂麻島、与路島、徳之島・・・。失われた日本の
原型が、ここにある。(本書 帯文より引用)

 
 

この文献の詳細ページへ 絵画 「ふるさと絵日記」 
原田泰治 素朴画集 講談社

郷愁をかもし出す原田泰治の世界は、一見「メルヘン」
っぽく見えるが、失われつつある人間の素朴さを思い出さ
せてくれるものであり、作者の豊かな感性を垣間見させて
くれる。

ぼくは、武蔵野美大を卒業すると信州諏訪へ戻り、兄
の二階を改造し、デザインの仕事に張り切っていた。しか
し地方の時代と言われる今日とは大きく違い、デザイン
らしい仕事は何一つなかった。そのためデザインとは程
遠い内職にふてくされていた。そんなぼくにこの美術欄の
記事は、素朴画を描き始めるチャンスを与えてくれた。
そして信州の自然のすばらしさ、神秘さは、少年時代
疎開で過ごした小さな村の生活と熱くせつない記憶を
克明に思い起こしはじめたのである。その山村は伊賀良
(下伊那郡・現在飯田市)である。一歳の時、重度の小児
マヒになってしまったぼくは、四歳から中学一年生まで
この村で過ごした。伊賀良村のぼくの家は高台にあり、
村を一望することができた。歩けないぼくはよく縁先に
こしかけ、前方に見える赤石連峰、その裾を蛇行しなが
ら流れる天竜川、そして村の人々の生活を見るのが何
よりも楽しく飽きることを知らなかった。思えば、自然の
移り変わりを克明に見ることができたのは、足の不自由
のおかげかも知れない。このことは、今日、この頃になっ
て伊賀良村の生活体験とともに本当によかったと痛感し
ている。五年程前から、ぼくは信州をこの足で、この目
でたしかめたい欲望に駆り立てられ、カメラをかつぎ
撮影する機会が多くなった。幼年時代の思い出だけで
なく、自分のふる里ぐらいは、すみずみまで見てみたい
気持ちになったのである。地図を広げ、目的地に着くな
り、赤くぬりつぶすのである。その地図もボロボロになり
赤くぬりつぶされ、余白が少なくなってきた。やはり、山
を越え、草原を通りぬけ、地図にもない村道を走ると、
そこに住む人々の生活や、木立、たたずまいをこの目
でたしかめることは、行動半径のとくにせまかったぼくに
とって、描く行為以前のいかに大切な体験であるかが
よく分かったのである。・・・本書・あとがきより

 
この文献の詳細ページへ 絵画「OUR HOME
   我が家 シム・シメール画集」

    北山耕平訳 小学館

宇宙の空間を生きている喜びに震えながら泳ぐクジラ
やイルカ達、そして動物達も同じくこの世界への賛歌を
歌う。ただ環境破壊への警鐘にとどまらず、この絵は生命
の賛歌という祈りが満ち、著者の一枚一枚の絵の下に書
かれた短い言葉が、現代に失われた感覚を呼び起こす。
この画集に更に多くの作品を入れたCD-ROM版が出てお
り、その表現力には心が洗われる。

この本は祈りです。わたしは絵と言葉で、この祈りを、
あなたの心に届けたいと思っています。地球のことを考
えて、地球のことを愛し、生きもののことを考えて、生き
もののことを愛し、人間のことを考えて、人間のことを愛し、
自分のことを考えて、自分のことを愛する人。今こそ、
そういう人たちが強く求められているのです。
シム・シメール 同著「私の祈り」より

 
  この文献の詳細ページへ 映像詩「イブ ボディー・アンド・アース」


世界創造・人類創造の遥か太古を思い浮かべる悠久な
大自然と美しい男女の肉体が奏でる神話的な映像詩である。
この映像詩には一切セリフは登場しない。映し出される大
自然の景観は、カナダの映像作家ニ-ル・セント・クレアが、
カナダ、アメリカ、カリブ海をはじめ60ヵ所以上を3年以上の
撮影で完成させたものであり、アメリカ・インディアンの聖地
も含まれている。この映像詩の主人公「イブ EVE」は、アメリ
カ・インディアンが残した岩絵(ペトログリフ)を背景に魂の
伴侶を求めて旅に出る。このイブを演じる女性は、97年の
ミス・ユニバースのノルウェー代表、インガー・エベルトフトで、
その他の場面で登場する他の男女の肉体美が大自然の
景観と重なり、その意味をより深いものとして描かれている。
そして音楽も躍動感あるものから静けさの中へと誘うものま
でその場面場面で効果的に使われており、それぞれの章に
は、バイロンからチベット「死者の書」、ワーズワース、シェリー、
ディキンソン、道教、マザー・テレサブッダ、ガンジーなどの
意味深な9つの言葉(詩)が紹介されている。

「イブ ボディー・アンド・アース」は、まるで自分自身が太古の
原始の世界を歩いているかのような錯覚を覚える素晴らしい
映像詩であり、自分の遺伝子の中に眠っている記憶を呼び
覚ましてくれるかのようだ。自分の心を原点に還したいとき、
心を空っぽにしたいときなどこの映像詩を見たくなる。





 

この文献の詳細ページへ 写真集 「死 宮崎学写真集」 
宮崎学 著

写真集というと、生命の鼓動が強く輝いている瞬間、
人間や動物の本能が怒りや悲しみとなって映し出され
る瞬間、など思い浮かべるだろう。しかし、この写真は
そのどちらでもない。大地に横たえた死体が先ず目に
飛び込んでくる。それはは確かに一つの生命の終わり
の姿なのだが、様々な生きものが生命の糧となるもの
を死体から持ち帰り、やがて死体は跡形もなく大地へ
と吸い込まれていく。それは地球上に生命が産まれて
から途切れることなく続けられてきた生きるものたちの
宿命であり、また大きな循環のひと時なのだろう。その
当たり前のことを再認識させてくれる写真集であり、私
自身も<死>に対してどうあるべきかを問わわれている
のを感じずにはいられない。

「宮崎学写真館 森の365日」
輪廻転生・・・・目を背けてはならない、とおもいながら、
ファインダーをのぞいていた。鼻が曲がるかとおもわれ
るほどの死臭が漂うこともあり、ハエのうじが体皮をや
ぶって湧き出してくることもある。怯むことなく見つめて
いると、そこにはふしぎなドラマが展開されていた。
「死は生の出発点である」私は、自然の新しい摂理を、
生きものたちから学んだ。(本書より引用)

現代において、私たちは、死を単なる物質的な終息
として教えられている。しかし、私が撮影した自然の死
は、物質的にも終息することなく、新たな生命に引き継
がれていた。自然の死によって生命は、絶えることなく、
連綿とつらなっていることを、私は自然から学んだので
ある。(本書 帯文より引用)

 
この文献の詳細ページへ 写真集 「ちいさな祈り」 
稚児地蔵の世界 堀部幸男・作 斎藤陽一・写真 
致知出版社

これら幼子の地蔵さんは、真に心を和ませ、生きて
いるということの実感を呼び覚ましてくれる。稚児地蔵
の作者と写真家の魂が融合し、見るものの魂を浄化さ
せる傑作。

子どもは「天からの贈り物」だ。
そのあどけない笑顔に励まされ、私たちはがんばること
ができる。
その「天からの贈り物」を堀部幸男先生が作品にされた。
これ以上の天からの贈り物はない。

神渡良平(作家)

 

この文献の詳細ページへ 写真集 「きみが微笑む時」 
 長倉洋海写真集 福音館書店

世界各地の紛争地で見た大地と地球の明日。それ
は子どもたちの微笑み、笑顔を通して垣間見ることが
できるのかも知れない。長倉洋海氏のこの写真集は
このことを雄弁に、そして心の底からの安らぎと喜び
を感じながら訴えかける。このような写真を撮ること
ができるのは、長倉洋海氏自身が子どものような純粋
さを持っているからこそかも知れない。紛争地での苦し
み、悲しみの中で必死になって生きている子どもたち。
そしてその中においても微笑み、笑顔を忘れない子ど
もたち。彼らはきっと明るい未来への希望を無意識の
中で追い求めているのだと思う。しかしだからこそ、
そのような子どもの眼から大人たちは希望の光、微笑
みを奪い取ってはいけないのだ。そのことを強く思う。

同じ著者による写真集
「人間が好き」アマゾン先住民からの伝言


1980年以来、ぼくは世界のさまざまな紛争地を訪れ
てきた。戦争、破壊、虐殺、・・・・目をそむけたくなるよう
な悲惨なできごとが、数多くあった。が、今ぼくの心に
強くよみがえってくるのは、出会った子どもたちが見せ
てくれた笑顔----つらい現実に打ちのめされた暗い
表情ではなく、逆境をはねのける、たくさんの笑顔だ。
どこか突きぬけたような、明るい笑顔やおだやかな微笑
みは、いつもぼくをふしぎな気持ちにさせた。1980年、
ソマリア・エチオピア国境の難民センター。路上のやせ
細った少女を撮ろうと近づいたとき、少女はぼくを見上
げ、ニコッと微笑んだ。いかにも難民らしい悲しげな写真
を撮ろうとしていたぼくは、はっと虚をつかれる思いがし、
自分が恥ずかしくなった。南アフリカでは、一年に三日だ
けの故郷で休暇を終え、仕事にもどる金鉱労働者の夫を
送り出す妻の、気丈な笑顔にも出会った。侵攻したソ連
軍やイスラム原理主義勢力タリバーンに抵抗した、アフガ
ニスタンのイスラム戦士マスードが、詩に親しみ花を愛で
るときに見せた、やさしい笑顔も忘れられない。文化や
言葉、住む環境がちがっていても、相手の笑顔を見ると
ほっとした。同じ人間なんだと感じられたとき、おたがい
をへだてていた“壁”が、すぅーと消えていった。いくつもの
笑顔に出会い、励まされ助けられるうちに、カメラをかま
えるぼくにも、笑みが自然に湧いていた。微笑みを交わ
すことは、国境や民族などのちがいを一瞬で超える、最高
のコミュニケーションだった。つらいからこそ、笑顔をうか
べてみる。深い悲しみをくぐったからこそ、笑顔をいとおし
み、ほかの人にやさしくできる。困難をのりこえた笑顔が、
微笑みが、人の胸にしみ入り、静かにひろがっていく。そ
こから生まれる心の平安が、いつしか世界のほんとうの
平和につながっていく・・・・と、僕は思う。どんなときでも、
まっすぐに相手を見つめ、微笑む子どもたち。その笑顔
を失わないおとながカッコいい。ぼくもそんな大人になり
たい----と思いながら、これからも写真を撮っていく。少し
ぎこちないけど、精いっぱいの微笑みとともに。 
2004年11月 長倉洋海(本書 あとがき より引用)

 
  この文献の詳細ページへ 写真集 「天主堂物語」
 木下陽一写真集 海鳥社

木下陽一氏が自分のライフワークとして隠れキリシタン
の里にある天主堂を撮り続けたものですが、この「天主堂
物語」はその集大成と言えるものだと思います。木下氏は
遠藤周作の「沈黙」を読んで、隠れキリシタンの歴史に関心
を持ち、迫害が終わった後に隠れキリシタン達が建てた
天主堂を追い続けてきまし写真の秀逸さは勿論のこと、
その被写体を通して、祈りや長い苦難の歴史を感じさせ
てくれるものです。長い迫害の歳月をじっと絶え忍んできた
隠れキリシタン、そして形は違う迫害に今も苦しめられ続け
ている世界各地の先住民の方たち。迫害する側に共通し
ているのは、国家による独裁政治の秩序維持あるいは
物質的利益のため、人々の心の自由を奪い取ってきたと
いうことかも知れません。

 




 
この文献の詳細ページへ 絵画 「お地蔵さんの本」 
豪華愛蔵版 シリーズ全6巻 絵馬師 殿村進 
宙(おおぞら)出版

  
 
  



「こころの本」・幸福はきょうという日にこそある
「雪割地蔵」・ながい苦労が花ひらく
「夢叶地蔵」・人生できないことはない
「花咲地蔵」・花がこんなにも美しいのは、
 無心に咲くからだ

「道づれ地蔵」・ながした涙の数だけ人間は強くなる
「龍のり地蔵」・人生いたるところ、春ならざるはなし

生きる勇気と希望が湧いてくる言葉が、素朴なお地蔵
さんの絵と共に心に響いてやまない素晴らしい本です。
この六冊に収められている言葉は勿論のこと、その言葉
に添えられているお地蔵さんの絵と、優しく力強い書体に
は心を打たれてしまいます。つらく悲しく、苦しい時、どうか
この本から生きる勇気と希望を見つけてください。

 








 

この文献の詳細ページへ 絵本 「銀河鉄道の夜」 
原作・宮沢賢治 影絵と文 藤城清治 講談社

私が影絵に最初に出会ったのがこの絵本「銀河鉄道
の夜」を通してだった。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が
大好きだった私は、ある本屋でこの本を見た瞬間、今
まで見たことがない光と影がかもしだす奥の深さに魅入
られてしまった。影絵とは言えないかもしれないが、昔、
電灯の光を利用して手で壁に鳥や動物を映し出された
のを見て、単純素朴ながら光と影の不思議な世界を見た
頃の思い出がよみがえってくるようだった。


【影絵劇「銀河鉄道の夜」受賞歴】1956年度国際演劇
参加読売児童演劇祭奨励賞、日本ユネスコ協会連盟賞
受賞、1982年文化庁芸術祭優秀賞受賞、影絵劇を撮影
し、講談社より出版された絵本「銀河鉄道の夜」(2006年
12月時点で52刷)が1983年チェコスロバキアの国際絵本
原画展BIB金のリンゴ賞受賞

 
 
    この文献の詳細ページへ 絵本 「かあさん、わたしのこと すき?」 
バーバラ・ジョシー 作 バーバラ・ラヴァレー 絵 
わたなべ いちえ訳 偕成社 ゴールデン・カイト賞受賞 

親からの愛情、それは子供が生きていくために必要な
地下水なのかも知れない。子供はその地下水に根を伸
ばしてこそ、豊かに成長していけるものだと思う。この
地下水が濁っていたり足りなくなったりしていると、子供
という木の成長は止まるのだろう。この絵本は、イヌイット
の伝統的な衣装、神話に登場する動物たち、そしてその
暮らしを背景に描きながら、子供が愛を確かめる話であ
るが、文・絵ともに実に素朴で心温まるもの仕上がっている。


「かあさん、わたしのこと すき?」
「ええ すきよ、だいすきよ」
「どれくらい すき?」
世界のどこの子たちもたぶん、あるときふと親の愛情を
確かめてみたくなるのではないでしょうか。この本のイヌ
イットの少女もそう思いました。くじらやつのめどり、狼な
どの動物を登場させながら、女の子は、くり返し おかあ
さんに問い、おかあさんもまた、くり返し 娘に答えます。
“親子の絆”という普遍的なテーマを描きながら、同時に
イヌイットの暮らしがいきいきと伝わります。しずかな色調
の魅力ある絵は、北極圏の生活を美しくくり広げて見せて
くれます。親子で、なんどでもページを開きたくなる本です。
わたなべ いちえ

 
 
 


 

この文献の詳細ページへ 絵本 「父は空・母は大地」 
寮 美千子 編・訳 篠崎正喜 画 パロル舎


シアトル首長の手紙(”インディアンの言葉”参照されたし)
に美しい篠崎さんの絵が18枚、収められている。相模原で
篠崎さんの原画展があったが、それはそれは新鮮な空気を
肺一杯吸い込んだような爽やか気持ちだった。なお、シアト
ル首長の手紙の言葉は人の手から手へと伝えられた為、
いくつかの異なったものが出ているが、寮さんが訳したもの
も深い感動を覚える。またこの素晴らしい絵本が、CD-ROM
として発売されたが、原画に近い発色をしており、実に
見事な出来栄えである。心にいつまでも残る言葉と絵画で
ある。


雑記帳「魅せられたもの」1998.4/20「父は空、母は大地」

 
 
 



 

この文献の詳細ページへ 絵本 「ジョットという名の少年 
    羊がかなえてくれた夢」
 
パオロ・グアルニエーリ 文 ビンバ・ランドマン 絵 
せきぐち ともこ 訳 石鍋真澄 解説 西村書店
第6回 日本絵本賞 翻訳絵本賞
 


「ルネサンス時空の旅人『聖なる都アッシジ物語』
[DVD]」
で詳しくジョットの生涯が紹介されているが、
この絵本はジョットが羊の番をしながら羊の絵を描
いているとき、当時有名な画家であったチマブーエ
にその才能を見い出された逸話「羊の伝説」をした
ものです。中世の空気の匂いを独特のタッチで表現
した絵、そして文はジョットがチマブーエや絵と出会
い、新たな旅に旅立つ模様を描いています。ジョット
はサン・フランチェス聖堂の壁画や、彼自身の最高
傑作とも言える透き通った天空に引き込まれそうに
なるパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の壁画を描い
た人で、ルネサンスを語る上でなくては人です。


 
 
   

この文献の詳細ページへ 絵本 「平和の本」 
バーナード・ベンソン著 寺家村 博 訳 ・ 寺家村 和子 監訳
YMCA出版


主役の子供が、平和とは何か、そして平和はどう
すれば手に入れることが出来るのかを探ろうとし、
三人の大統領と話し合う物語。子供にも読めるやさ
しい文体だが、大人にも是非読んでもらいたい作品
である。本書は20か国以上の国々で翻訳出版され
ている。


子ども用の絵本の体裁をとってはいるが、大人が
読んでも胸をゆさぶられるような迫力がある。「自分
たちも何かをしたい」という人たちの輪が広がり始め
ている。
・・・天声人語


私は世界の人びとがひとりひとり、この「平和の本」
の少年に心をひらくことを願ってやみません。
・・・・ヨハネ・パウロU世


これはとても読みやすい本です。文章はやさしいし、
その上、たくさん絵が入っています。どんな内容かと
いうと、平和と、その平和をどうすれば手に入れるこ
とができるかが書かれています。そして主役は子供
たちです。「なんだ、それじゃ子供向けの夢物語か」
とおっしゃる方がいるでしょうが、それはとんでもない
誤解です。これはむしろ大人におすすめしたい思想書
です。深くて大切なことを、やさしく書いてあるのです。
それからお話がとてもおもしろい。主人公の少年が3
人の大統領と交わす会話などは、思わず手に汗をに
ぎってしまいます。そしてなによりもこれは祈りの本で
す。どのページからも地球40億人の人間の切ない
祈りが聞こえてきます。その声がひとつにまとまれば
世界はきっと変るでしょう。驚いたことに、この本は
その方法まで書いてあるのです。
井上ひさし(作家)

 
 
 


この文献の詳細ページへ 「クロスセクション 輪切り図鑑
有名な18の建物や乗物の内部を見る」
 
スティーヴン・ビースティー画 リチャード・プラット文 
北森俊行訳 岩波書店

大人になってこの本に夢中になってしまったが、もし
子供のときこの本に出会ってたら寝食も忘れて魅入っ
たことは疑いの余地がない。それ程子供(特に男の子)
にとって想像をかきたてるものであるのだが、大人に
とっても実に楽しくこの建物や乗物にまるで自分が瞬間
移動したような錯覚さえ覚えてしまう。そして特に男の子
にとって昔の大型船の魅力を同じく輪切りにした「輪切り
図鑑 大帆船」は同じ著者たちによるもので何度見ても
見飽きることがなく、想像力をかきたてるものである。


18の建物や乗物を大胆に輪切りにして、だれも見た
ことのない内部をすみずみまで細密に描いたユニーク
な本。おどろくべき観察力とユーモアのセンスをかねそ
なえた画家の精緻なイラストによって、中世の城や壮大
なオペラハウス、潜水艦Uボートや豪華客船クイーン・
メアリー号などが、あざやかに目の前に迫ってきます。

目次

キャッスル(城)、天文台、ガリオン船、大洋航路客船、
潜水艦、炭鉱、タンク(戦車)、海底油田、カテドラル
(大聖堂)、ジャンボジェット、自動車工場、ヘリコプター、
オペラハウス、汽車、地下鉄の駅、トロール船、エンパイ
ア・ステート・ビルディング、スペースシャトル 
(本書より引用)

 
 
   

この文献の詳細ページへ 絵本 「おじいちゃん わすれないよ」 
ベッテ・ウェステラ作 ハルメン・ファン・ストラーテン絵   
野坂悦子訳 金の星社


2001年ブラティスラヴァ世界絵本原画展で「金の
りんご賞」を受賞したこの絵本は、生と死を見つめな
がらも、その素朴な物語と絵によって読後に爽やか
な感動をもたらしてくれる。たとえ体は無くなっても、
その人が生きた記憶は残された者たちの心の中に
生きつづけることを改めて感じさせてくれる作品である。


読者の皆様へ 野坂悦子 
オランダの匂い・・・・お葬式の日、ヨーストは、おじいちゃん
のハンカチを手に、ふたりで過ごした楽しい日々を思い出し
ます。約束を忘れないように、ハンカチにむすびめを作って
いたおじいちゃん。ヨーストはそんな思い出とともに、生きて
いく決心をします。ベッテ・ウェステラが文を書き、ハルメン・
ファン・ソトラーテンが絵をつけたこの物語には、昔からそ
こにあったような存在感があります。それは、どの国のどの
時代にも通じるテーマでありながら、ひとつの「生活」を丹念
に描いているからでしょう。『おじいちゃん わすれないよ』
は、オランダの匂いにあふれ、そこがまた魅力となってい
るようです。たとえば、物語の中に出てくるポテトフライ。オ
ランダ語では「フリッツ」とよばれ、マヨネーズをつけて食べ
るのがオランダ流です。パパから奪った5ギルダーは、300
円くらいでしょうか。もっとも、今は町でも銀行でも、ユーロ
(ヨーロッパ連合の共通通貨)が使われるようになり、ギル
ダーそのものが、思い出の中のお金となりつつあります。
また、ヨーストがおじいちゃんに買っておいてとたのんだ
「マウシェ」も、オランダらしい食べ物です。ピンクや水色の
砂糖の衣でアニス(香料)のつぶをくるんだ、あられのよう
なものです。出産のお祝いには欠かせないものですが、朝
食にならぶこともあります。そんな生活の匂いが、物語全体
をゆったりと包む土のかおり、木々をゆらす風の音などと
溶け合って、独特の世界を作りあげているのでしょう。茶色
を中心とした落ち着いた彩りに、ハンカチの「赤」が鮮やか
に使われ、おじいちゃんの生と死を、見事に際立たせてい
ます。


 
 
この文献の詳細ページへ 絵本 「ともだちになったフランシスコ
     とおおかみ」
 
ロベルタ・グラッツァーニ・文 パトリツィア・コンテ・絵
わきた・あきこ・訳 女子パウロ会

「聖フランシスコの小さき花」にも収められている
有名な逸話を絵本にしたものだが、暖かさを感じる
挿絵が素晴らしい。この絵本には「聖フランシスコ
がグッビオの町を荒い狼から救ったこと」以外に、
「フランシスコがきょうだいとよんだ、動物たち」や
「ともだちとあそぼう オオカミさん、オオカミさん、
なにしているの」という遊びも紹介している。

どんな生きものも 大きいのも、小さいのも、みんな、
かみさががおつくりになったもの。だから、フランシスコ
は、すべての生きものをだいじに、きょうだいとよんで、
やさしくあつかったのです。むかし、イタリアの小さな町
で、ほんとうにあったお話。
(本書より引用)

ずっとむかしの ある冬のこと、イタリアのグッビオと
いう町で、ほんとうにあった、おそろしいオオカミと、と
てもやさしいフランシスコのものがたり。このお話は、
せかいじゅうでよく知られているけれど、日本ではどう
かな?
(本書 はじめに より引用)

 
この文献の詳細ページへ 絵本 「百年の家」 
絵・ロベルト・インノチェンティ 作・J・パトリック・ルイス 
訳・長田弘 講談社の翻訳絵本

一軒の古い家が自分史を語るように1900年からの
歳月を紐解きます。静かにそこにある家は、人々が
一日一日を紡いでいき、その月日の積み重ねが百年
の歴史をつくるということを伝えます。

自然豊かななかで、作物を育てる人々と共にある家。
幸せな結婚を、また家族の悲しみを見守る家。やがて
訪れる大きな戦争に傷を受けながら生き延びる家。
そうして、古い家と共に生きた

大切な人の死の瞬間に、ただ黙って立ち会う家。ページ
をめくるごとに人間の生きる力が深く感じられる傑作絵本
が、ここに・・・。

この家の上の横板に、1656と記されているのが読める
だろう。それがこの家、このわたしがつくられた年だ。
それはペストが大流行した年だった。はじめわたしは石
と木だけの家だったが、時とともに、窓ができて、わたし
の目になり、庇ができて、人の話も聞こえるようになった。
わたしは、さまざまな家族が住んで育つのを見、おおく
の木々が倒れるのも見た。たくさんの笑い声を耳にし、
たくさんの銃声も耳にした。

なんども嵐が来て、去って、なんども修理がくりかえされ
たが、結局、わたしは住む人のいない家になった。
そして、ある日、キノコとクリを探しにきた子どもたちが、
勇敢にも、人の住んでいないこの家のなかに入りこん
できたのだった。そうして、いまにつづく現代の夜明け
のときに、わたしには、新しいいのちが吹き込まれた
のである。

この本は、古い丘にはじまり、二十世紀を生きることに
なった、わたしのものがたりである。
(本書より引用)

 
 
この文献の詳細ページへ 「Bobby Fischer
Against the World」
 
Harry Benson 写真・文

雑誌「Life」など多くの雑誌で活躍した著名な写真家・
Harry Bensonによるフィッシャーの写真集。恐らくチェス
プレーヤー、一人に焦点を当てた写真集が出るのは、
長きチェスの歴史の中でも最初のことであり、チェス
ファンだけに留まらず、如何に世界中の多くの人間が
アイスランドにおけるチェス世界選手権に目が釘付けに
なったかを垣間見ることができる。写真家であるハリー・
ベンソンはこの文献でフィッシャーのことについてこう述
べている。「私の写真家生活の中で、彼は最も気難しい
人間でありながらも、最も魅了された人間だった」。

この写真集の多くは1972年の世界選手権の時の休息日
に撮られたものである。私達が知っている対局場面の
フィッシャーではなく、花や馬と心通わせるフィッシャーな
ど意外な一面をうかがうことができる。またそれとは逆に
悲壮感や孤独感が漂う表情も混在している。恐らく写真家
ハリー・ベンソンはこの混在した世界を併せ持つフィッシ
ャーに魅せられたのだろう。

この写真集は、フィッシャー・ファンだけに留まらず、チェス
・ファンにとっても貴重な証言記録として後世に残り続ける
に違いない。


 







 
この文献の詳細ページへ アイルランドの写真集
 「The Land of Ireland」

Brian De Breffny著

アイルランド。
1980年、私が22歳の時に購入した最初の写真集。
荒涼たる大地とそこに息づく人々と信仰に魅せられた。
英語版で日本語版は出ていない。


アイルランドの写真(他のサイトからの引用)




2016年6月3日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。






(大きな画像)


アイリス・グレース・ハームショー (写真は他のサイトより引用)
(イングランドのレスターシャー州マーケット・ハーボロー在住)


2009年9月生まれのアイリス・グレースは、2歳の時に自閉症と診断されます。



彼女の家族は「何か娘が夢中になって取り組むことを見つけるべき」と考え、絵画セットを与えますが、

その描き出される世界に周囲の大人は驚かされます。



彼女が描いた作品を紹介した本は多くの人に感銘を与えておりますが、これからが試練の場かも知れません。



今は「天才少女」と呼ばれていても、数年後、数十年後には本人しかわからない沢山の悩みを抱えていくと思います。



その状況に接したとき、周囲がどのような援助をしていけばいいのか、彼女の悩みを共有できる場の継続を願います。



自宅の美しい自然、そして不安を鑑賞してくれる猫(スラ)の存在、いつかそれは失われていくかも知れませんが、

彼女の心の拠り所を無くさせてはいけない。



心と体の成長と共に絵が変化していっても、そしてどの時代に描いた絵でも、彼女の「生きている鼓動」が

聴ければと思います。





夜明けの詩(厚木市からの光景)







夜明けの詩(厚木市からの光景)

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