「神曲」
原作 ダンテ 挿画 ギュスターブ・ドレ 訳・構成 谷口江里也 JICC
文学史上に輝く古典「神曲」に、ドレの独特な才能をすべて投入した傑作。 ドレは「ドン・キホーテ」「失楽園」にも挿画を書いているが、この「神曲」 は、彼が最初に書いたものである。 (K.K)
「神曲」はドレ以前にももちろん、例えばルネッサンスの画家であるボッティチェルリを はじめとして、多くの画家によって描かれたが、ドレのように全編を通し、しかも重要な シーンを全て網羅した例は外に無く、これはドレの豊かなイマジネーションと、対象に 対する情熱をもって始めてなしえた偉業であると言って良い。ともあれこうして「神曲」 はダンテの死後五百年を経て、思想や文化が近代のルネッサンスともいうべき一大 興隆を見せ始めた十九世紀、ミケランジェロの再来とまで言われたドレの才能を得て、 新たな輝きをもって甦った。十四世紀初頭の詩人ダンテと、十九世紀中期の版画家 ドレ、この時空を超えたスーパースターの競演は、その両者のスケールの大きさ、その 緻密さにおいて私たちを圧倒するものがある。・・・本書「甦える古典」谷口江里也より
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2013年5月30日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した写真です。 ダンテ「神曲」(挿画 ギュスターブ・ドレ 訳・構成 谷口江里也 JICC より写真引用) 多くの男性にとって、初恋の女性は永遠の恋人かも知れません。 ダンテとベアトリーチェは挨拶の言葉しか交わしたことがありませんでしたが、ダンテは彼女に恋焦がれます。 結局彼女は他の男性と結婚し24歳の若さで亡くなりますが、ダンテはその痛手を癒すため、彼女を「神曲」の中に 登場させ永遠の存在として描こうとしました。 私の本当の初恋は高校時代の同じクラスの女性でしたが、ダンテと同じように挨拶をするくらいで、それ以上の 言葉は出せませんでした。 初恋、それは切ない思い出と同時に、当時のみずみずしい感覚を呼び覚ましてくれるものかも知れません。 ところで、挿画を描いたギュスターブ・ドレですが、最初に出会った「ドン・キホーテ」と同様に「神曲」の挿画も 感銘を受けるものでした。 ☆☆☆☆ それ浮世の名声は、今こなたに吹き、今かなたに吹き、そのところを変えるによりて名を変えうる風の 一息にほかならず。 ダンテ ☆☆☆☆ |
ダンテとボッティチッリ 千年王国の夢 若桑みどり(わかくわ みどり美術史家)
ダンテとボッティチェッリを結ぶもの
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ギュスターブ・ドレ画「ドン・キホーテ」より