「ザイオン・キャニオン 神々の宝」 DVD
「ザイオン峡谷 神秘にあふれる谷」日本語版
「Zion Canyon : Treasure of the gods」 1992年製作
インディアンの姿を記した映像(映画を含む)の中で不思議と心に残り続けて きた唯一のものが、この「ザイオン・キャニオン 神々の宝」です。この映像 を最初に見たのはプラネタリウムのドームでしたが、その圧倒的な迫力と共 にインディアンの視点が根底に流れている物語性に虜になってしまいまし た。この映像は40分ほどの長さしかありませんが、その美しさと内容の濃 さは私の心をひきつけて離そうとしません。現在テレビ画面などを通してこ の傑作を見ることが出来ますが、プラネタリウムの全天周映画の迫力には とてもかなわないのは事実だと思います。しかしそれでもなお、私の心を 捉えて離さないのは何故なのでしょう。確かにこの作品を演出したキース・ メリルの初期の作品「“グランド・キャニオン”1984年製作」に登場するイン ディアン像は死に絶えた人々というイメージが強く残っていました。しかし19 92年製作の「ザイオン・キャニオン 神々の宝」に見られる、太古の昔から 現代まで生き続けている時空を超えた物語そのものに、インディアンの視点 が息づいているように感じてなりませんでした。多くのインディアンが登場する 映画・西部劇とは違い、インディアンを悪役にしない最近の幾つかの映画の 力点は、主役の白人が哀れなインディアンを助けるという構図であり、そこ から抜け出すことが出来ないでいます。その意味でインディアン自身が監督 し主役を演じた「スモーク・シグナルズ」と共に、この「ザイオン・キャニオン 神々の宝」は作品の中にインディアンの精神性を垣間見ることが出来る数 少ない映像と言えるものかも知れません。尚、この映像は下のパンフレット にも書かれているように、国立公園ザイオン・キャニオン内のザイオン・キャ ニオン・シアターで常時上映されているものです。 (K.K)
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ホピの大地の地平線に朝日が昇るとき、人々は東の空に黒い人影が動くのを かすかに認めたものである。その時間に起きている人々には特別な感覚が 漲った。母なる大地が子供たちの世話をしようと動き出し、守護者マサウが 寝ずの見張りを終えて家路につくその足音を、感じることができたのでだ。 犬は吠え、鶏とツグミは朝の到来をたたえる。まもなく、父なる太陽が毎日の 仕事に就く。ひとりまたひとり、頭を垂れる黒い人影たちは、手に持つコーン ミールに囁き、祈りの言葉を吹きかける。 “父なる太陽、目に見えぬいのちよ、 いとも尊きその御力によりて、 今日、われらを助けたまえ。 民の声にその御声を響かせ、 今ここにいるわれらの目的を知らしめたまえ。 われらを守り、正しき道に導きたまえ。 今日、われらの体と心と魂をひとつにならしめたまえ”
「ホピ 神との契約」 この惑星を救うテククワ・イカチという生き方 トーマス・E・マイルス+ホピ最長老 ダン・エヴェヘマ著より引用
下の映像は、このDVDの映像ではありませんが、ザイオン・キャニオンを紹介した もので、使われている音楽はDVDと同じものです。
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