Incense (Atsina)
Edward S. Curtis's North American Indian (American Memory, Library of Congress)
1998.10.23
現代彫刻を思わせるクジラの骨の遺跡。そしてベーリング海に浮かぶ半月。 (写真・文とも本書より)
唯一の正しい知恵は、人類から遥か遠く離れた大いなる孤独の中に 住んでおり、人は苦しみを通じてのみそこに辿り着くことができる。 (カリブエスキモー、シャーマン)
自分自身のことでも、自分の世代のことでもなく、来るべき世代の、私たちの 孫や、まだ生まれてもいない大地からやってくる新しい生命に思いを馳せる。 (アメリカ先住民の古老)
おまえが大きな船に乗り、私が小さなカヌーに乗っていても、 私たちは同じ生命の川を分かち合わねばならない。 (アメリカインディアンの古老、オーレン酋長)
すべての暖かい夜 月光の下で眠れ その光を、一生をかけておまえの中に取り込むのだ おまえはやがて輝き始め いつの日か 月は思うだろう おまえこそが月なのだと
(クリーインディアンの詩)
岩は偶然ここにあるのではない。 木は偶然ここに立っているのではない。 そのすべてを造った者がいる。 私たちにあらゆることを教えてくれる者が。 (クロウインディアン)
大地は知っている。もしおまえが、間違いを犯せば大地は知っている。 (コユコンインディアン)
大地が横たわっている。 大地の魂が横たわっている。 その上はすべての生き物で装われている。 聖なる言葉が横たわっている。 (ナバホインディアンの歌)
せせらぎや川を流れる輝かしい水は、ただの水ではなく、われわれ祖先の血だ。 湖の水面に映るどんなぼんやりとした影も私の部族の出来事や思い出を語っているのだ。 かすかな水の音は私の父の父の声なのだ。 (シアトルの酋長)
祖先の人々に生命を与えたのは風。指先をかざして私たちは風の来た道を知る。 (ナバホインディアン)
大気はそれが育むあらゆる生命とその霊を共有していることを忘れないで欲しい。 我々の祖父たちの最初の息を与えた風はまた彼の最期の息を受け取る。 (シアトルの酋長)
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ここに紹介する先住民の方たちの声は、星野道夫氏の「森と氷河と鯨」から 抜粋したものです。じっくりと意味を噛み締めながら心の引き出しにしまって いただけたらと思います。星野道夫氏は動物写真の枠に収まらない広範な 視点で一貫してアラスカの自然と人々を追い続け、多くの国内誌や「Natioal Geographic」などに作品を発表し、透明感溢れる文章と併せてその写真は 内外で高い評価を得てきましたが、1996年8月8日、取材先のカムチャッカ 半島クリル湖畔で就寝中のテントをヒグマに襲われ急逝されました。彼の言 葉並びに本書に数多く紹介されているインディアン(先住民族)の声を是非 聴いて頂きたいと願っています。
星野氏の著作「イニュニック(生命)」、「Alaska 風のような物語」、「旅をする木」、「長い旅の途上」 「星野道夫の仕事 第1巻 カリブーの旅」、「星野道夫の仕事 第2巻 北極圏の生命」、 「星野道夫の仕事 第3巻 生きものたちの宇宙」、「星野道夫の仕事 第4巻 ワタリガラスの神話」
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Nunalalahl (Qagyuhl)
Edward S. Curtis's North American Indian (American Memory, Library of Congress)