名画「カサブランカ」　ハンフリー・ボガートのチェス棋譜

映画「カサブランカ」

1942年に公開されたハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマン主演の映画『カサブランカ』。第二次世界大戦下の

フランス領モロッコのカサブランカを舞台に再開する男女のラブロマンスを描いたこちらの作品は、アカデミー賞8部門

にノミネートし、そのうち作品賞と監督賞、脚色賞の3部門を受賞しています。

「君の瞳に乾杯」などの名台詞もこの映画から生まれました。

全編にチェスが登場することはなく、冒頭の部分だけだが、1942年に公開されたこの名画には魅せ

られてならない。ニヒルな顔の下にある、愛した女性を強く想う気持ち、そして彼女の幸せのため自らを

犠牲にしてしまうほどの、そして国を想う二つの熱い想い。（K.K）

「サウンド・オブ・ミュージック」映画の背景　も参照されたし。

ハンフリー・ボガードのチェス棋譜（全4試合）

ハンフリー・ボガートはとても強い実力を持ち、世界チャンピオンに匹敵する力を持った

レシェフスキーの同時対局（レシェフスキーが複数の相手と同時に対局する）では引き

分けるなどした。2局目の試合は、妻ローレン・バコールとのものである。

Humphrey_Bogart_All.pgn へのリンク

「完全チェス読本１　はまってしまった人々　ローマ法王からハンフリー・ボガートまで」
マイク・フォックス＆リチャード・ジェイムズ著　若島正訳　毎日コミュニケーションズ
より以下、引用。

映画ファンはご記憶だと思うが、「カサブランカ」でリック（ハンフリー・ボガート）が初めて登場するとき、彼は

ひとりでチェスをしている。この場面を監督のマイケル・カーティスに提案したのは、実はボガート本人である。

それというのも、ボギーはチェス狂だったからだ。

有名映画スターの中ではおそらく最強のボガートは、学生時代からずっとチェスにとりつかれていた。そして

大恐慌のまっただなか、駆け出しの若い俳優が普通の年よりも稼ぎが悪かったころに、彼は家庭収入を

増やす新手を見つけだしたのである。ボガートはニューヨークに住んでいたが、近所にチェス・カフェがあっ

て、そこで客から安い賭け銭をまきあげる「師範代」がいた。ボガートはその師範代をしょっちゅう負かした

ので、店主はその職を彼にまわそうとした。ハンフリーは断りはしたものの、チェスでブロードウェイのあち

こちを荒らしまわるのは、ボガートの生活水準にかなりの違いをもたらしたのである。

数十年にして、映画会社のドル箱となっても、彼はあいかわらず賭けチェスに精を出していた。ただし、場所

はハリウッドで、懸賞もはるかに高額になってはいたが、ある伝記によれば、彼は酒を飲みながらチェスを

指す実力で友人をランク分けしていたという。ボガートはチェスも酒も強かった。GMのサミー・レシェフスキー

を多面指しで破ったこともある。残念ながら、ボガートの棋譜が残っているのは、マスターたちと指して負けた

対局だけだ。次にお見せするのは、ハンフリー（黒）が「アフリカの女王」のロケ中に、ベルギーのマスターで

あるリンボスと指して負けた一局である。観戦者の中には、ローレン・バコールとキャサリン・ヘップバーン

（彼女もチェスを指す）もまじっていたとか。

カサブランカのスターも思いどおりにはいかなかったようだ。アート・バックウォルドは、よくボギーを負かして

いた。ハリウッドで最も有名なレストラン経営者のマイク・ロマノフも同じである。実を言うと、ふたりの対戦成績

はあまりにも一方的だったので、あるときロマノフが20連勝してみせるとボガートに100ドル賭けたという。ハン

フリーは負けて、恐ろしい復讐を思いついた。彼はロマノフに電話をかけ、同じ賭け金でもう1局どうだと誘った。

濡れ手に粟とはこのことかと、マイクはすぐに飛びついたが、早指しで20手で投了の憂き目にあって愕然と

した。お釈迦様でも気がつくまい、ボガートのすぐそばには、全米チャンピオン（およびハリウッド・チェスクラブ

の運営役）のハーマン・スタイナーが片腕としてついていたのである。

Critical Analysis Of Casablanca - Alice Bell

映画「カサブランカ」のあらすじ

映画『カサブランカ』あらすじネタバレ結末と感想（90点） | MIHOシネマ　より以下、引用。

第二次世界大戦中のヨーロッパでは、ナチスドイツの侵略による戦火から逃れようと人々はアメリカを目指していた。

まだドイツの侵略下にないフランス領モロッコのカサブランカから、中立国であるポルトガルのリスボンを経由して

アメリカへ渡ることができる。カサブランカには、亡命しようとする人でごった返していた。ある者は金で、またある者

は伝手を頼って旅券を手にした。

カサブランカで酒場を経営するアメリカ人のリックは、ウガーテという男からリスボンへ渡るための旅券を預かるように

頼まれ、それをピアノの中に隠す。実は、ドイツ人から旅券を奪って殺害する事件が起こっていたのだが、その犯人が

ウガーテだったのだ。ドイツ軍の将校シュトラッサーは、カサブランカの警察署長ルノーと共に酒場を訪ね、ウガーテを

逮捕した。

そのすぐ後、反ドイツのレジスタンスの一員であるラズロと妻のイルザが来店する。この二人はウガーテから旅券を

買うためにやってきたのだった。イルザは、リックがパリにいた頃に愛し合った女性だった。お互いに偶然の再会を驚く。

パリで恋に落ちた二人は、ドイツ軍侵略の前に一緒に逃げることを約束したが、約束の場所へイルザはやってこなかった。

それきり会うこともないと思っていた女性が現れ、リックは回想にふける。

商人のフェラーリからリックが旅券を持っていることを聞いたラズロは、どうにか譲ってほしいと頼むが、リックは頷か

なかった。これを見ていたイルザは、夜夫に気付かれないようにリックに会いに行く。

約束を破った理由を尋ねたリックに、イルザは真実を話す。リックと出会った時、夫のラズロは収容所に入れられて死ん

だと聞かされていたのだ。悲しみの淵にいたイルザを救ったのがリックとの愛だった。しかし、一緒に逃亡しようとする

暫く前にラズロが生きていることを知り、夫の元へ戻ることを選んだのだ。しかし、イルザが愛しているのはリックだけ

だった。イルザが望むのは、夫一人の旅券だった。

翌日、リックはラズロを逮捕する計画をルノーに持ち掛ける。旅券を取りに来るタイミングで逮捕しろと言ってルノーを

物陰に隠した。計画通りラズロがやってきて、ルノーはラズロを逮捕しようとするが、そんな彼にリックは銃を突きつける。

そのままラズロに旅券を渡し、ルノーには飛行場へ電話するように命令する。ルノーは咄嗟にシュトラッサーに電話し、

ラズロの逃亡を知らせる。

飛行場に着くと、リックは共に残ろうとするイルザを説得し、ラズロと一緒にリスボン行の飛行機に乗せる。シュトラッサー

はあと一歩というところで間に合わなかった。それでも飛行機を止めようとするシュトラッサーを、リックは射殺する。

一部始終を目撃していたはずのルノーは、「何者かが」シュトラッサーを撃って逃走したと証言。実はルノーは反ドイツ

レジスタンスのシンパだった。奇妙な友情で結ばれた二人は、これからドイツと戦おうと誓い合う。

ハンフリー・ボガートは57年の生涯の中で4度結婚をしている。4人目の妻ローレン・バコール（写真）とは非常に
仲がよく、彼女との間に1男1女をもうけている。バコールの自伝によると、ボガートはその死まで、妻のことを
「キッド」と呼んでいたらしい。

映画「カサブランカ」の撮影の合間に、共演者たちとチェスをしている場面と思われる。

世界チャンピオンに匹敵する実力を誇った、レシェフスキー　と対戦（同時対局）した時の
棋譜である（ボガートは黒番）。