「どうしたらチェスできみのパパに勝てるか」の続編。イギリス・チェス協会の

推薦図書でもあり、世界中で読まれているベストセラー。初心者には勿論の

こと中級者にとっても勉強になる。パターン認識を土台にした好著。 

(K.K)

はじめに　　マレイ・チャンドラー　本書より引用

チェスで敵を混乱させ、打ち負かすには、戦術を使う以外ありません。戦術のパワーで敵に

不利な手順を強要し、自陣を優勢に導くのです。本書の目的は、チェスの代表的な陣形の中

に隠されている戦術を取り出し、それを皆さんに、しっかりと身に付けていただくことです。さま

ざまな戦術の典型的パターンを理解できれば、あなたの戦闘力は飛躍的に向上し、実戦の

あらゆる局面で敵のポーンやピースをたやすく取れるのです。本書では、チェスの戦術を５０

種に分類し、それぞれに詳細な説明を加えました（たとえば、フォークやピンなど）。本書は私

の前著「どうしたらチェスできみのパパに勝てるか」の続編です。前書では、キャスリングした

敵をメイトするパターンについて解説しましたが、私自身が驚くほどの好評をもって迎えられ

ました。これは、前著のコンセプト、“パターン認識の有効性”が、広く一般のプレイヤーに認め

られたからだと思います。本書では、前著と同じように、“戦術のパターン”を効率的に説明す

ることで、子供たちはもちろん、クラブプレイヤーの皆さんにも、プロ並みのひらめきが得られ

るように工夫しました。本書で取り上げた戦術は、実戦でひんぱんに現れるテーマばかりです。

私は確信しています。皆さんが本書を読破すれば、友人やクラブプレイヤーはもちろん、長い

間あなたを悩ませてきたあなたのパパに対しても、５０の戦術を駆使して必ず勝つことができる

でしょう。

訳者あとがき　より抜粋引用

この度は、マレイ・チャンドラー氏の名著「チェス　魔法の戦術」("Chess Tactics for Kids"）

を無事出版できる運びとなり、喜びに堪えません。本書はチャンドラー氏の前著「どうしたら

チェスできみのパパに勝てるか」("How to beat your dad at chess")と並ぶチェス・ブックの

名著です。イギリス・チェス協会の推薦図書でもあり、世界中で読まれているベストセラーで

す。日本での翻訳出版を快諾された著者に心から感謝申し上げます。

チェスは世界中で愛されてきました。しかし1997年、世界チャンピオンがコンピューターに敗

れるという事件が起きてから、世界中で人間と人工知能についての論争が起こりました。チェ

スの未来についても、今の形での存続を危惧する意見が出されています。チェスがヨーロッ

パに伝えられたのは、千年以上も昔です。15世紀には現在の形に完成され、以後ひたすら

隆盛の道を歩んできました。チェスの天才達は、混沌としたチェスの雲の中から、法則の糸

を紡ぎ出し、オープニング定跡や中盤の戦術、エンドゲームの原理を発見しました。すべての

人が、人間の頭脳の絶対性を信じていました。

それが20世紀の終わりになって突然、人間がマシーンに負けるという、衝撃的な事件が起き

たのです。このことは、チェスの未来にとってどんな意味を持つのでしょう。人間が自動車に

走り負けても、陸上競技がすたれないように、チェスでマシーンに負けても、影響は無いので

しょうか。この問題に無関心でいられる人がいるでしょうか。とにかく、チェスに関わる私たち

すべてが、なんらかの態度決定を迫られているように思うのです。

本書の特徴　本書より引用

この本を開くと、すべてのチェス・ファンのためのまぶしい世界が広がっています。子供か

ら大人まで、ビギナーから上級者まで、読むたびに新しい戦術が身についてきます。簡潔

で分かりやすい棋譜に導かれて、あらゆる局面で敵を打ち破る多彩な戦術を、楽しく、マス

ターできます。ここで扱う戦術は、実戦でひんぱんに現われるものばかりです。使われる

棋譜は、すべて一流プレーヤーの実戦から採りました。世界中のトップ・プレーヤーが、心

血を注いで創りあげた技術を“魔法の戦術５０”としてまとめました。チェスで敵に打ち勝つ

には、高い頻度で現れる戦術を、しっかりと身につけることが大切です。その一番の早道

は、“基本戦術のパターン”を理解することです。本書によってビギナーは、フォークやピン、

そしてスキュワーなどの基本戦術をマスターでき、上級者は、グランドマスター級の敵にも勝

てる複雑な中盤戦術を、確実に手に入れることができるでしょう。

著者マレイ・チャンドラー氏は、1976年にはガルリ・カスパロフを打ち負かし、1980年代には

イギリスチームの中心として、チェス・オリンピアードで3度の銀メダルに輝きました。1994年

にはイギリスチームのキャプテンに選ばれ、その後ブリティッシュ・チェスマガジンの編集・

経営を経て、現在はチェス・ブックの出版で名高いギャンビット社の経営者です。