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      「ビジュアル版 世界お守り大全 Body Guards」デズモンド・モリス著 より引用 
       
       
      
       てんとう虫(The Ladybird) 
       
       
      黒い班を持つこの小さな赤い虫は、てんとう虫(英訳名は ladybird または ladybug)と呼ばれ、 
       
      その地味なありようには不釣合いなほど、国際的な人気を博している。ladybird または ladybug 
       
      に加えてこの虫は、レディ・ビートル、全能の神の雌牛、聖母マリアの鳥、聖母マリアの虫とも呼ば 
       
      れる。フランスでは「神の小さな鶏」を意味する Poulette a Dieu、イタリアではポロミッラ、ドイツ 
       
      ではマリエンクッヘ、スペインではマルキッタと呼ばれる。 
       
       
       
      中世、てんとう虫は聖処女マリアに捧げられていた。幸運の象徴として幅広い支持を得ていて、 
       
      殺したり害したりすると最悪の運がもたらされるといわれていた。また、てんとう虫がとまっていた 
       
      ら、こんな歌を唄う伝統がある。 
       
       
       
      「てんとう虫、てんとう虫、すぐに飛んで帰れ、お前の家が燃えている、子供たちが焼け死ぬぞ」 
       
       
       
      いつものように昆虫にいらいらしたり、ぴしゃんと打ったり潰したりする代わりに、てんとう虫が 
       
      無傷で飛べるように声をかけてやる。幸運なことである。なぜなら、たまたまてんとう虫は、庭を 
       
      荒らす害虫を悩ます役にたつ虫であるからだ。 
       
       
       
      言いつたえによって、てんとう虫は、そのお守りを身につける者に大きな成功と財産を運んでくる 
       
      と信じられている。もし病気の人が身につけたなら、病気を吸収し、取り去ってくれると信じられて 
       
      いる。 
       
       
       
      こうのとりのように、てんとう虫も子供を運んでくるといわれている。そしていくつかの地域では、 
       
      てんとう虫が背中に背負った黒い斑点の数が、女性が産むであろう子供の数を示しているという。 
       
      この迷信は事実上、てんとう虫を多産のお守りに転換させている。 
       
       
       
       
      
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