「シカ星 アメリカ・インディアンはうたう」

アメリカ・インディアン口承詩からの英語訳 メアリー・オースティン

絵・ミヤギユカリ 日本語訳・だいこくかずえ 葉っぱの坑夫より引用






出版社・著者からの紹介


夏の夜あけ、東の空低いところにあらわれる「シリウス」の名で知られる明るい

星の物語。ミヤギユカリのドローイングとパイユートの詩がひとつに溶けあって、

沙漠の丘陵を、セージの原野を、サボテン台地を、風のように走り抜けます。

一枚絵による蛇腹折り、横へ横へと繰りだされる長大なランドスケープ。詩と絵と

造本がぴったり重なって生まれた、今までにない動的でダイナミックな詩画集

です。


さあ聞いて、シカ星のはなしを

ずっと昔のものがたりを

ひとりの若者が、狩りに行こうと起きだした

夜あけの青い光の中。

赤シカ狩りへと起きだしたはいいけれど

さあ狩人はどうする

矢に羽根をつけたこともなく

弓に弦を張ったこともない狩人は。

女たちは戸口から笑いのめし、娘たちは泉ではやしたてた。

だって、こんなたるんだ狩りは恥ずべきこと、見たことない。

年寄りたちは頭をふってぶつぶつ、が若者はこう言い放った。

「狩りの道具なんかなくたって、おれは赤シカをしとめるぞ」

(詩「シカ星」より引用)








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