「『グレート・スピリット』の教え 先住民族に伝わる賢者たちの言葉」

町田宗鳳著 佼成会出版社 より引用








本書 あとがき より抜粋引用

この本は一言で言えば、近代文明への過信に対する警鐘です。きっと先住民の社会

でも、さまざまな争いや矛盾があるはずですから、彼らをむやみに美化するわけには

いきません。本書は先住民の知恵を学ぶというスタンスで書かれているので、彼らの

部族社会が抱える人間的な問題についての言及が、不十分であったという反省があ

ります。しかし、市場原理主義に心を侵されているわれわれが、彼らから学び取るこ

とは、山ほどあります。ましてや、その生活水準が低いからといって、彼らを蔑視する

ような過ちを繰り返すべきではありません。近代歴史の主導権を握ってきた西洋文明

は、そろそろその役割を終えて、人類社会は次なる文明の段階に移ろうとしています。

われわれは今、歴史の節目に立たされているのです。そういう意味で、われわれには

過去の精神遺産を振り返り、そこから新しい知恵を取り出してくる責任があります。とく

に、私は〈いのち〉というものを中心とした価値観が、これからの時代に主役となるよう

な予感がしています。実は、このことについて、私はイランのテヘランで開かれた国際

会議で、イスラム教の学識者と議論したことがあります。彼らは絶対の創造主である

アッラーの下、人間・動物・植物と、存在価値に序列があり、ピラミッド型の世界を形成

しているというのです。私は、断固としてそんなことはない。生物学的には進化の違い

はあるかもしれないが、それは単に存在形態の違いであり、すべてが同じ〈いのち〉を

分かち合っているのだ、と強く反論しました。現代社会は、いろんな意味で荒廃してき

ましたが、それがすっかり破綻してしまう前に、われわれは立ち止まって、自分たちに

与えられている〈いのち〉の意味を真剣に考えてみるべきです。文明の現象面だけに

目を奪われていると、未来に希望が持てず、心は必ず暮れてきます。こういうときにこ

そ、文明の根っこにある〈いのち〉の重みに注目しなくてはなりません。そこから新しい

生活が始まるように思います。生きがいは、どこか遠くの場所に隠されているわけでは

ありません。私たちが心静かに、今という時間を振り返るとき、そこにキラッと輝くものを

発見するのではないでしょうか。





目次

第1章 大地への畏敬

土地を所有するということ

アメリカ先住民と「白人」、その認識のへだたり

「グレート・スピリット」に与えられた「大地」

白人にとって「大地」とは

オーストラリアでは

人間性強説

先住民のライフ・スタイル

寄生虫も役に立っていた


第2章 自然とのつながり

人間は自然の一部

日本の自然崇拝

タマネギの大きさを決めるのは太陽なのに

“兄弟姉妹”を食べられるわけ

必要なものだけしか捕らない知恵

人間が一生のうちに捕っていい量

自然は子孫からの預かり物

自然に癒される

太陽や月を感じて生きる

思索の場


第3章 他者のために生きる

ギブ・アンド・テイクよりも、ギブ・アンド・ギブ

ギブ・アウェイ

与える愛

人と人との結び付き

砂漠のルール

心のバリアフリー

優しさに包まれた島


第4章 万物と調和して生きる

いびつな円環

絶滅危惧種を救おうとする理由

捕り過ぎると・・・・・

食べていい肉と悪い肉を決めるのは誰?

昼と夜

先住民の医学

スピード・アップした結果


第5章 よりよく生きるために

誰が教育をするのか

大人が生きる手本を示す

ののしることを覚えた子供たち

素直に生きる

言葉に願いを込める

日本語の素晴らしさを教えてくれたフランス人

「酔っ払い」に寛容過ぎる国・日本

「もったいない」を流行語大賞に

自分らしく生きよう

感謝する喜び







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