「死ぬことが人生の終わりではないインディアンの生きかた」

加藤諦三著 ニッポン放送出版より







本書 はしがき より抜粋引用


「あなた死んでもいいですか」。これはまさにアメリカの有名な女性の精神科医の

カレン・ホルナイが言うところの神経症者の愛情要求です。カレン・ホルナイはこれ

を「脅しによる愛情要求」といいます。死ぬということはそれほどすごいことなのです。

それだからこそ、人が心豊かに笑って死ねれば最高です。人を恨んで死ぬ人と、笑っ

て死んでいく人がいます。成功した人生とは、あっけらかんとして死ぬ人の人生なの

でしょう。苦しみ恨んで死ぬ人がいるのに、どうしてある人々は心安らかに老いや死

を迎えることができるのでしょうか。それを学ぶためのアメリカインディアンの死生観

です。アメリカインディアンはなぜ、安らかに死を待ち、誇り高く新しい世界へと旅立

つことができるのでしょうか?


そして、いかに死ぬかを前提にして考えたら、生きかたも見えてきます。自分がいつ

か死ぬことを考えたら、人は今生きることに全力を尽くします。自分を愛し、人を愛し

ます。今を生きていない人は、自分がやがて死ぬことを意識していません。生きるエ

ネルギーがないから、死ぬことを考えるのも面倒臭いのでしょう。生きている人間が、

初めて自分が死ぬという感覚があります。だからこそ「このたったの一度の人生」とい

う感覚があるのです。


「あなたの喜びは何? あなたの目的は何? それを見つけなさい。それを確認しな

さい。それでありなさい。そして、それを捨てなさい」 アメリカインディアンの哲学は

仏教の色即是空の考えかたでもあります。形あるものに執着する人と、毎日消えて

いくものを大切にして生きていく人がいます。もちろんアメリカインディアンは後者で

す。この本では、アメリカインディアンの死生観や自然観を考えつつ、現代人の心を

どう癒したらよいのかを考えてみました。私達がいかに死に、いかに生きるかを考え

てみました。不死を素朴に信じているアメリカインディアンには活力があります。未来

に希望があるのとないのとでは現在を生きる活力がまったく違います。私達ももう一

度心理的に活力を取り戻したい、そう思ってこの本を書きました。


 


目次


第1章 アメリカインディアンにとって生きるということ

変化を受け入れる「サイクル」の考えかた

変化を受け入れられない私達の不幸

満足しているからできる簡素な生活

見せるための家は家ではない

満足していないから見栄えにこだわる日本人

心にゆとりを持つ贅沢

「大地の子」インディアンに憎しみはない

「私達」という哲学が幸せを呼ぶ

犬が好きな人は犬から幸せを得る

憎しみが憎しみを呼ぶ「私」という哲学

生きることがそのまま報われるインディアン

自然が確立されていない現代日本人

「生かされている」と考えるインディアンに負担はない

インディアンは平和を望む

心臓病になりやすい人は平和を求めない?

相手の立場に立つことの大切さ

インディアンと自己中心的な人との違い

憎しみを取りのぞき相手の立場に立つ


第2章 アメリカインディアンにとって死ぬということ

自分を偽り生きた人の惨めな死に際

人生の乗り越し料金

あるがままを受け入れれば神のもとへ行ける

「良い子」は心の底に憎しみを持つ

満足して素直な人は安らかに死ねる

生きかた相応の死に方

「宇宙」という名の生命のつながり

自分は笑い周囲が泣いてくれるように死ぬ

満たされた経験が「忘れない」気持ちにつながる

やりたい放題をして恨みを晴らした叔父の死

死にかた、死に場所に人生は表れる

インディアンの死んだ魂は南西へ向かう

持ち物にも宿る精神

ありのままに死を受け入れる

生の尊厳を知るインディアンは父・祖父に敬意を払う

インディアンの父子に見る幸せな親子関係

親と子の心が離ればなれの日本人

相手を信じることが生きる力になる

木を植えることを通じて子供に教えられること

死ぬことは神の所へ行くこと

死は魂だけの状態になること

単純に生き単純に不死を信じる

途切れることなく受け継がれる魂

大地に属し大地で永久に生きる

死は最後の人生経験であり魂の再生である

死があるからこそ意識できる生

文明人とインディアンの宗教の違い

生活と解け合う宗教


第3章 アメリカインディアンにとって自然という存在

心豊かであってこそ自然から知恵を学べる

簡素で健康的な生活

自己実現する人は仲間を尊敬し自然を愛する

祈りは神への崇拝の念の表れ

自然に祈りを捧げることで心も健康に

インディアンのデザインが優れている理由

自然を観察することが生を充実させる

自然の図書館で生きる知恵を学ぶ

自然が身をもって私達に教えてくれるもの

自然のあり方から何を学ぶか

祈りで得られる精神的な力

自然のすべてのものは神聖である

人間は大地家族の一員である

真の自然に触れることでわかること

肯定的なものに意識を集中する

ものの見かたは感情で決まる

自然に対する畏敬の念がエネルギーをもたらす

満足して死んだ人の魂は新たな癒しの力になる

人間関係で癒した傷はつけとなり返ってくる

憎しみを表現できない人は不幸から逃れられない

自然の癒す力

動物の癒す力

ペットが安らぎを与える報告例

再生する力

運命を呪い未来に絶望していた子供時代

自然から再生する力を与えられる

責任を自分で引き受ける強さ

喜んで死ぬために自然から力をもらう

他人に依存せず一人立ちする強さ

依存する気持ちが憎しみや恨みを生む

期待や要求をしないから喜びは得られる

庭いじりがもたらす効果

登山がもたらす効果

自然は新しい生命を吹き込んでいる

働きかければ自然は応えてくれる

生きることが学ぶこと

目的があってこそ生きる活力は生まれる

自然は求める人に等しく生きる力と安らぎを与える

多くの人が感じている自然の効用

自然への畏敬の念が心にゆとりを生む

調和と不調和

自然に目を向けることが健康につながる








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