「セイジを焚いて にほんの島の縁者たちへ」

語り部 ナワ・カミッグ(北米先住民 アニシナベ族)

地球環境蘇生化実践協会 より引用



この小冊子には1999年1月に横浜で話したものと、日本各地を旅して回った際に

書き下ろした「ネイティブ・アメリカン:魂のいしずえ 聖なるいのちの輪のなかで」が

含まれています。彼の言葉は単純そのものですが、逆にそこに言葉のもつ魔法が

隠されていると感じられてなりませんでした。私自身遠くから彼の声や歌を聴いた

ことがありますが、とてもアメリカ・インディアン運動(AIM)の闘士であったことなど

想像できないくらい柔和な顔をしていることに驚いたものです。尚、この小冊子の

情報は実際に北海道にてスエットロッジなどを通してインディアンとの交流をされ

ている秋山さんから頂きました。

2001年9月26日 (K.K)


ナワ・カミッグ(デニス・バンクス)の詳しい生涯を記した文献「聖なる魂」を参照されたし

またこの小冊子は本屋では売られておりませんので、次の連絡先にお問い合わせ下さい。

地球環境蘇生化実践協会 Tel 03−3388−0692 Fax 03−3388−0693

ほびっと村(ナワ・プラサード)でも注文できます。


 




本書より引用


二人の人間のストーリーから語り始めよう。一人はネイティブ、一人は白人。私が民族の

ために立ち上がって、その活動によって、刑務所に入れられていた時のことだ。毎日、

一人の看守が私の監獄の前を通って行った。怒った表情で、私の鉄格子を棍棒でたた

きながら。私は鉄格子の向こうでよく唄を歌っていた。ネイティブの唄を。こうして何ヶ月

かが過ぎた。ある日、彼は私の前で立ち止まって、聞いた。おまえはなんの唄をうたっ

ているのか、と。私は答えた。自分の部族に伝わる天地創造の物語を歌っているのだ、

と。看守はそれを聞いて立ち去った。一ヶ月ほどたっただろうか。看守がふたたび私の

鉄格子の前で立ち止まった。おまえはなぜ歌うのか、と聞いてきた。自分のつとめだか

ら、と私は答えた。毎日、天地創造の主に感謝を捧げる、これは私のつとめだから。

鳥に、四つ足のけものたちに、植物のいのちに、四方位に、毎日感謝を捧げるのが

私のつとめだから、私は歌うのだ、と答えた。皮肉をこめて彼は言った。「ならば、バン

クス、おまえはこの唄を一生刑務所で歌うことになろうよ」。私は彼に向かって笑って

言った。「そうは思わない」。看守はたたみかけた。「おまえの刑は250年と2度の終身

刑ではないか。おまえは刑務所の中で死ぬことになるのさ」。私は首を振って言った。

「そうなるとは考えていない」。彼はさらに聞いてきた。「おまえはなぜ終始、幸せそう

なのか」と。「自分の罪状が不当であることを確信しているからだ」と私は答えた。一

年ほどして、私は別の刑務所に送られることになった。私が刑務所を立ち去ろうとす

ると、例の看守が私に会いに来た。「ミスター・バンクス、あんたがいなくなるのは寂し

いね。俺はあんたの唄をなつかしがるだろうよ」。新しい刑務所に移ってしばらくする

と、前の刑務所の所長から私のもとに手紙が届いた。「君を監視していた看守が一

週間前に職を離れた。なぜ辞めたいのかと尋ねると、“私は幸福というものを見つけ

たい。自分の中に平和を見い出したい。デニス・バンクスが持っていたような平和を

私も探したい”そう言って、この看守は去って行った」。手紙にはそう記してあった。

今晩は皆さんに、私が信じているもの、そしてこの看守が探そうとしたものについて

話してみたい。


 







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