「オールド・マン・ハットの息子」

あるナバホ・インディアンの回想

ウォルター・ダイク記録 猪熊博行訳 新思索社 より引用









これは、ひとりのナバホ・インディアンによる比類ない自叙伝である。幼年期の

記憶から始まり、広大な自然のなかでの放牧、農作業、日々の営み、父親から

伝えられた知恵と伝承、部族の祭祀と儀式、さらに自身の性の目覚めと結婚の

場景などが、率直に生き生きと語られる。「飾り気のない語り手の手法は聖書の

リズムを彷彿させる」(クライド・クラックホーン)と評され、長く読みつがれてきた

古典の本邦初訳。 (本書・帯文より引用)



わたしがなぜこのような言葉で解説を始めたかというと、現在出回っている多くの

インディアン本、特に字を持たず、英語を話せなかった彼らの伝記や箴言集が、どこ

まで事実を伝えているのかという疑問を感じていたからである。そういう不安の中で

本書の原本を「Soul of Old Man Hat」を手にしたとき、初めて「これは本物だ」と確信

したのだ。わたしは三年半にわたって、ナバホ族立大学ディッネ・カレッジで「ナバホ

学」を学んだが、その時期、先生方からこの本を読むよう強く勧められ、副教材にも

指定された。相当厚い本なので、暇を見つけては、アパートの庭やスーパーマーケッ

トのベンチで読みふけった。するとそばを通ったナバホがニコニコして近づいてきて

は、「その本いいだろう。おれも読んだよ」などと声をかけてきた。本書の原典は、ア

メリカの文化人類学のクラスで副読本として広く使われているが、そればかりではな

く、古き良き時代に思いを巡らせるナバホの人々のベストセラーでもあったのだ。ナ

バホの人々は、この本に対して、なでてやりたいようないとおしさを持っているのだ。

(本書 訳者の解説及びあとがき より引用)



目次

日本語版出版にあたって(猪熊博行)

序文(ウォルター・ダイク)

ナバホの歴史と文化


第1章 わたしは月足らずでうまれ

第2章 夏に備えて、ルカチュカイ山に移る

第3章 人と自然の成り立ちについて考える

第4章 感謝じいさんの妻が足を骨折する

第5章 ラバを持つ男が歌と祈祷を学びながら冬を過ごす

第6章 ゴッシュの妻と、羊囲いでたわむれる

第7章 おじさんに結婚を勧められる

第8章 男と女がする方法

第9章 羊毛を牛と交換する

第10章 落ちるもので畑を作る

第11章 スタッテラーのために、ンダを催す

第12章 ラバを持つ男の妻の死

第13章 馬と少女を失うが、それに耐える

第14章 オールド・マン・ハットの死

第15章 オールド・マン・ハットの形見を分けて引っ越す

第16章 母さんによって結婚させられる

第17章 親類を訪ね、古い銃などの贈り物をもらう

第18章 二人の少女が挑戦を受けて立つ

第19章 ンダに行き、何度も結婚を迫られる


エドワード・サピアによる緒言

語彙集

訳者の解説及びあとがき

クライド・クラックホーンによる書評







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