「アメリカ先住民の子どもたち 父さんは太陽、母さんは大地」
ハーシュフェルダー＆Ｒ・スィンガー著
愛川信子訳 明石書店
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を収める。「アイデンティティ」「家族」「ふるさと」「しきたりと儀式」 「教育」「厳しい現実」の項目に記された現代の子供たちの想い。 （K.K)
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クワ・ダレイン族 フランセス・ベイジル 作
空はなんとなく憂鬱に私をみおろす。 太陽は尋ねるようなまなざしで私をみつめる。 山々は私の頭上にあやふやな影を落とす。 木々は戸惑う微風に揺れる。 シカはまごついたリズムで踊る。 アリは私のまわりに、疑り深く群れて、輪を描く。 鳥たちは私の頭上で、あやふやな様子で突進や急降下をする。 みんなそれぞれのやりかたで 「おまえはだれだ、だれだ？」と聞く。 彼らに対し、自分自身に対し、私は認めねばならない。 私はインディアンだ、と。
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ケイティー・モベックはその作文「アリュート族についての思い違い」の中で 「あなたたちが事実だと言っていることが正しいかどうか確かめよう」と勧めて います。事実、ビバリー・Ｒ・スィンガーと私がこの文集のための原稿を選んだ 時、私たちのなかにあったのはこの思いでした。先住アメリカ人の若者たちは あらゆることについてたくさん書いていますが、私たちはあえて作文や詩の選 択の範囲を、この若者たちのアイデンティティ（訳注 自己証明）、家族、共同 体、儀式、歴史、教育、厳しい現実についての誤解を正すものに狭めました。 若者たちは知性と威厳と機知とすぐれた洞察力でこれらの問題に触れていま す。若者たちの言葉は、過去百年にわたるアメリカ先住民の生活の現実に対 して、生き生きとした、そしてしばしば雄弁な証言となっています。この若者た ちがわれわれに語るべきことは多いのです。 アーリーン・Ｂ・ハーシェフェルダー
私はニューメキシコ・サンタクララ・プエブロのＢ・Ｉ・Ａ（インディアン局）通学学校 の幼稚園ではじめて書くことを覚えました。その幼稚園ではアルファベット文字 が意図的に黒板の上に並べてありました。生徒が学校で良い成績をとるため の総合力を削る、最後の決め手は字の習得のようでした。自分の知識と技術 を分かち合えることを望んで、私に書くことを示唆するたくさんの人たちがやって きました。アーリーン・ハーシュフェルダーと私が共に仕事をするこの機会は、 アメリカ・インディアンがどのように生活を体験しているかについて、読者が気づ き、学び、記憶するためになくてはならないものでした。これらの若い作家や詩 人たちは土着のライフスタイルを継続しています。東海岸から西海岸まで、われ われの原初の祖先たちが岩に残した銘（訳注 文字ではない）のように、若者 たちは次代にメッセージを残すのです。書くこととは結局何でしょう。インディアン たちはほかの人とほとんど同じように、同じ理由で書きます。しかしわれわれの 書く物の内容は記憶、デザイン、歌、踊り、夢から、そしてアメリカ先住民の現在・ 過去・未来から生まれたいのちからわき出てくるのです。 ビヴァリー・Ｒ・スィンガー （サンタクララ・プエブロ）
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まえがき
第１章 アイデンティティ あやふやな承認 雨の中で 私はナヴァホ インディアン 憧れ 未完の細道 インディアンであること ぼくの詩 山腹を歩けば ひとつの太陽の下で アメリカ先住民としての役割 ぼくのゆめ
第２章 家族 シ・マ・サニとシ・チイ ガー・チャク・アー ばあちゃんたちっていいな 祖母に会いに行ったこと スーザン 贈り物 私が踊るとき ばあちゃんのこと じいちゃん 死んだぼくのおじいちゃん 私の家族 ぼくの祖父
第３章 ふるさと ぼくの部族 ちがうよ バイソン（野牛） この道を歩くと メッセージ 私の風景 私たちは 峡谷 アリュート族についての思い違い ナヴァホの土地 ビッグホーン川 ヤキ族の願い アパッチ族とその遺産 砂漠 ひとつの世界の中のもうひとつの世界
第４章 しきたりと儀式 昔なじみのスウェット・ロッジ チリ 祈り 私と私の部族 山に登るとき 走り行
第５章 教育 親愛なる友へ よその子 機会 私の職業実習 もしも私が小馬なら 画期的なこと 昇りゆく声
第６章 厳しい現実 インディアンに権利を 古いやり方と新しいやり方 電報 インディアン 宇宙空間に入って インディアンの国 無題 同胞よ来れ いつまでも待とう われわれは決して忘れない
訳者から読者の皆さんへ アメリカ先住民族の分布（地図） アメリカ先住民族の分布（解説）
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インディアンの子供たちが最近学校で書いた詩や作文、６２編
「あやふやな承認」