「ウインター・カウント」

スー族の酋長が記したアメリカ・インディアンの歴史

D・チーフ・イーグル著

神田栄次訳 誠文堂新光社 1983年発行 より引用









D・チーフ・イーグル

1925年、アメリカ南ダコタ州、ローズバッドの居留地に生まれる。幼児に孤児となり、部族の

長老に育てられ、オクラホマ農科医科大学に学ぶ。非常に文才に富み、詩、小説を書き、又、

画家、作曲家としても全インディアンに有名。選ばれてスー族(ティトン)の酋長となり、さらに

アメリカ全インディアン部族協議会議長として州政府、連邦政府と交渉、貧しいインディアンの

生活向上のために尽力する。(本書より引用)


 


本書 訳者あとがき より引用


題名の「ウィンター・カウント」(冬の計算)とは、アメリカ・インディアンの部族の暦のこと

である。彼らは一冬越して一年が過ぎると考えた。一年間に自分の部族に起こった重大

な事件から一つを選び、それを酋長または長老が、なめした鹿皮の裏面に絵や符号で

描き、後日の覚えとして残した。したがって一つの絵は一年を意味した。それが「ウィン

ター・カウント」である。文字がなかった時代だったからである。この物語は今から約120

年ほど前、新大陸での白人のインディアン征服時代の事件が主題になっている。ことに

スー族、シャイアン族が中心になった騎兵隊との戦いや、新生活に対する戸惑いなどが

展開されている。彼らは正直なるがゆえに、また無知であったがゆえに、あるいは白人

達の物の考え方に対して不慣れであったがために、欺かれ、略奪され、殺されて征服さ

れる。そして先祖伝来の土地から追われ、居留地に押し込められる。そのために生来

自由なインディアン達は、征服者の白人と交渉し拒絶され、そして戦い、居留地から

脱走して飢えや寒さとも戦いながら自由を求めて逃避行を続けたが、力尽きて降伏す

るといった歴史、また新しい宗教や生活に対する不安、戸惑い、疑念などが生々しく

書かれている。登場する主な人物はすべて実在した人物であり、物語は事実に基づい

て書かれている。


 


目次

はじがき

序章

1 新婚早々にして捕われる

2 死の鞭

3 見慣れぬ周囲

4 誓い

5 ガルは語る

6 無視された助言

7 暗殺

8 ストロング・エコー

9 サン・ダンスの準備

10 誓いのサン・ダンス実行

11 曙光の国

12 評議会

13 野牛狩りと帰還命令

14 沈黙の埋葬

15 ローズバッドの戦い

16 騎兵隊との開戦決定

17 リットル・ビッグホーンの血戦

18 戦後の叫び

19 ハイド・トレイダーを訪問

20 衰退するインディアン

21 ヴィジョン・クエスト

22 踊る火

23 クレージー・ホース帰る

24 宿命的な決意

25 ダル・ナイフ

26 脱出

27 ダル・ナイフ降伏す

28 死の脱走

29 運命は多岐な道をたどる

30 新生活への道

31 神父

32 新しい宗教

33 憂慮

34 最後の戦い


「ウインター・カウント」について〈訳者あとがき〉








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