「風の知恵」

黒田征太郎・デニスバンクス著 毎日新聞社より





画家・イラストレーターである黒田氏が、アメリカ・インディアン運動(AIM)のリーダー

であるデニス・バンクス氏との出会いを、黒田氏独特の絵を通して描いている。また

本書に出てくるデニス・バンクスの言葉は風のように自然と心を、あるべき場所へと

運んでゆく感銘深いものである。

(K.K)


「心に響く言葉」1997.5/18を参照されたし

雑記帳「魅せられたもの」1997.5/30「禅と聖なる魂」を参照されたし





デニス・バンクスの言葉 (本書より引用)


私たちや、私たちを取り巻く環境は皆、自然の一部である。

すべてが命のつながりの中で生きていて、互いが互いを必要としている。

環境を大事にすることは、自分自身を大事にすることなのだ。



鷲やビーバーは、幾千年間同じ形で生をつないでいる。

七世代先の人々のことを考え、自分たちが受け継いだ生き方を子供たちに伝えよう。



滝の音や燃える火に心を傾けること。

幼い子供に話しかけること。

草木の生命に思いを馳せること。



それらは偉大な精霊と交わることである。



私たちを含めて、すべてが地球の住人なのだ。

空気、太陽、火、水、土 ------- すべては所有することができない。



偉大な精霊を、どうやって所有できるというのだろう。



火は、私たちが生きていくうえで欠かせないものである。

火は暖かさを与えてくれるだけでなく、生きる指針も与えてくれる。

火と対話しよう。



水や雨を大切にしよう。

水は私たちの考えを浄化してくれる。

雨は空気を浄化して、地の渇きをいやしてくれる。

私たちは水や雨なしでは生きられない。


地球にあるものは皆、それぞれ存在する意味と役割をもつ。

自然の音に耳を澄ませば、自然は私たちに色々なことを教えてくれる。


鳥の鳴き声に耳を澄ませば、自分の心がわかってくる。

魚の泳ぎに目を向ければ、自分自身の答えが見つかる。


花には生命を絶やさないようにするという役割がある。

花の美しさや色にもそれぞれの役割がある。


目標に向かう私たちに力を与えてくれ、未来への夢を広げてくれるのである。


目がないから見えないとは限らない。

耳がないから聞こえないとは限らない。

鳥、魚、花、木、すべてが私たちの話を聞いている。

彼らに向かって心を込めて話すこと。


寒い冬の日に、木々が話をするのが聞こえてくる。

私たちや、私たちの未来について話している。

いつでも木々を敬うこと。


木の枝がなければ花は咲かない。

木があってこそ森になり、その美しさも生まれるのだ。

なぜ木を倒したり、森を破壊したりするのだろう。


木は私たちに生命の息吹を与えてくれる。


鷲、鹿、ビーバー、すべてが自分たちの流儀で生きている。

それぞれがビジョンを持っている。

肝心なのは、他人をまねることなく自分自身のビジョンを持つことだ。


夢は私たちにストーリーを語り、ビジョンの源を与えてくれる。

私たちが得たビジョンは、また他の人の夢となる。

人々に良い夢を見せてあげることだ。


ひとりひとりの画家は夢をもっている。

一枚の絵には、何かが隠されている。

画家の語りかけに耳を傾け、自分たちと結びつきのある話を聞こう。


太鼓の音や人々の歌は、私たちの心臓の音だ。

私たちの心臓の音は、いつでも宇宙の鼓動を映している。

歌を歌いたくなくなったり、太鼓を打ちたくなくなれば、

誰も私たちの鼓動に耳を澄まさなくなるだろう。


知恵の種は、私たちの中心にある。

自分自身の中心に、汚れのない思考とよい水を与えること。

そうすれば、閉じた中心が開いてきて、知恵の実を結ぶことだろう。


私たちの未来は過去にある。

時は流れているのだから。


日々くりかえす行いこそが生活であり、文化を伝えることである。

年長者から知恵を学ばなければならない。

そして、それを実行しなければならない。


一日一日を生きていくことが、生きる目的なのだ。

日が暮れてしまったら生きる目的を失う、というわけではない。


年を重ねてから、幼いころのことや仲間のことを思い返す。

眼にも胸にも涙が浮かんでくる。


そんな時、人は幸せを感じ、その尊さを知る。



デニス・バンクス 1999年5月23日 横浜市青葉区 こどもの国 にて







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