「二人の小さな野蛮人」

アーネスト・T・シートン著 中山理訳 秀英書房











白人の物質文明を否定して、自然と調和して暮らすインディアンの生活にあこがれる、

ヤンとサムの二人の少年。二人はカナダの奥地、サンガーの農場の森でキャンプ生活

を送り、自然の中で暮らすインディアンの知恵を学びとっていく。自分たちの手で、住ま

いのティピーを建て、生活に必要な道具を作り、数々の冒険をとおして、何ごとをも恐

れず、努力してなしとげることの喜びを知り、自分の価値と可能性を発見する。野生の

動植物への深い関心、インディアンの生活と文化への共感、知識にたいする激しい渇

き、森や野で冒険と自然の探求にあけくれる日々、父親の反対にもかかわらず博物

学を自分の将来の職業に選んだ固い決意。主人公の一人ヤンは、まさに若きシートン

の姿そのもので、本書は博物学者シートンを形づくった少年時代の出来事と真剣な思

索をいきいきと伝える、感銘深い作品である。(本書・帯文より引用)







1903年、シートンが43歳の年に発表した、この「二人の小さな野蛮人」は、数ある

作品のなかでも、独特の位置を占めるものと言えるでしょう。というのも、、これが

シートンの創作したフィクションでありながら、作者自身の少年時代、そして自身が

「黄金時代」と呼んでいる青年時代の体験をもとにした物語であること、さらにそれ

まで自分が学びとり、広めてきたウッドクラフトの醍醐味をおりこんだ、幅のある読

み物であること、そして、多くの動物物語を書いたシートンが、人間を主人公に描い

た数少ない作品の一つであるからです。(中略) シートンは、この「二人の小さな

野蛮人」をとくに気に入っていたらしく、その後の作品のなかで、しばしばこの物語

についてふれていますし、これが形をかえた、かなり忠実なシートンの自叙伝であ

ることは、それから40年近くたって発表された「画家・博物学者の足跡 シートンの

自叙伝」のなかで、いく度か「くわしいことは『二人の小さな野蛮人』のなかに書いた」

と言っていることからも、あきらかです。(中略) この本は、『二人の小さな野蛮人』

という題名が示すように、インディアンの生活にあこがれる、ヤンとサムという、二人

の少年を主人公にした冒険物語です。二人は大人たちを説得し、カナダの奥地の

農場の森に、自分たちの手でインディアンの住まいであるティーピーを作り、そこで

一ヶ月間生活する許可をもらいます。大自然の懐に抱かれたキャンプ生活をとおし

て、食事のしたくはもちろん、木の枝でベッドを作る方法、マッチを使わず火を起こ

す方法、斧の使い方、蚊の退治法、汚れた沼から澄んだ水を得る方法、道に迷っ

たときの対処法など、森の生活に必要な知識と技術をつぎつぎに学びとっていき

ます。また、遊びにも数々の自然の知識が反映されていて、木の高さや川幅の当

てっこをしたり、動物の足跡を追ってみたり、記憶力を養うための遊びや視力をた

めす星の話をしたりと、いろいろなゲームを楽しみます。もちろん、森で生活するか

らには、そこに住んでいる動物や植物を観察して、いろいろな知識を身につけてい

かねばなりません。このように、『二人の小さな野蛮人』には、自然のなかで暮らす

ための知識と技術のエッセンスが凝縮されていますが、シートンのウッドクラフトの

考え方は、ボーイスカウトなどのものとは異なる点もあるようです。それは、シートン

のウッドクラフトには、インディアンの生き方を理想として、それに学ぼうとする姿勢

が強くうかがわれる点です。この自叙伝風の物語のなかでも、ヤンとサムは、あり

きたりのキャンプ生活にあきたらず、狩の弓矢、戦の頭飾り、平和のパイプ、魚や

獣の骨や爪の首飾り、丸木を使った太鼓、モカシン靴、山道で迷ったときの合図

や目印など、いろいろなインディアンの道具作りや習わしを、実に楽しそうに学ん

でいくのです。シートン自身も、スー族から贈られた「黒い狼」という名で自分を

呼び、よくインディアンの衣装をつけて現われたようです。

(本書 訳者あとがき より引用)


「レッドマンのこころ」シートン著 を参照されたし








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