「アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉」

エリコ・ロウ著 扶桑社より引用






部族の長老や賢人たちとの出会いの中から教えられたインディアンの格言や伝説を、

著者自らの言葉と共に紹介している文献である。これらの格言や伝説は著者自身が

インディアンの部族を取材しながら、その世界観にひきつけられ収集したものである。

(K.K)


エリコ・ロウさんのブログ「マインドフル・プラネット」


 








自然のすべてに神性を見て、先祖を敬い、次の世代をいたわり、他人を尊重し、慎み

深く信心深く暮らしている。といえば、懐かしい響きを感じるひともいるかもしれない。

実際、彼らの風習や暮らしぶりを知るにつれ、日本にも似たような風習があったこと

や子供の頃に受けたしつけを思い出すようにもなった。遠い祖先を同じくするともい

われるアメリカ・インディアンと日本人が、価値観を共にしたとしても不思議はない。

リカ・インディアンに学ぶ旅は、時代遅れ、迷信として捨て去られた日本の風習や伝

統の真の価値に気づいていく旅でもある。アメリカ・インディアンはいまでも、美しい

自然への感謝を込めて、山や河原で拾った小石を美しいジュエリーに仕立てる。自ら

がきらめきを秘めた宝石の原石のようなひとびと。飾らないその言葉や素朴な生き

方を通して伝えられる叡智には、こころを眩しく照らしてくれる珠玉の輝きがある。

(本書 はじめに より)


 
 


ひとりの子供を

育てるには、

村中の努力が

必要だ。


オマハ族の格言







ひとびとのこころに

真の平和が宿るまで、

国と国のと間に

平和はやってこない。


スー族の格言







知識でなく、知恵を求めよ。

知識は過去の産物だが、

知恵は未来をもたらす。


ラムビー族の格言







歩いた足跡で

ひとは

永遠に知られる。


ダコタ族の格言







泣くことを恐れるな。

涙はこころの痛みを

流し去ってくれるのだから。


ホピ族の格言







死により

私は

生まれる。


ホピ族の格言



 



本書より引用

アメリカ・インディアンが主な教えの手法とするのは、口伝えによる物語りだ。彼らが千年もの間、

祖先からの教えや価値観を失わずにこられたのは、直接ひとからひとへ情報伝達する口承文化

の伝統を守ってきたからだとみられている。350部族を超える部族には、それぞれの神話や創世

記、寓話、伝説、冒険談、教訓話、詩や歌があり、身近な暮らしの体験談も加わるから、アメリカ・

インディアンの物語は無数だ。「大昔から伝わるヒーロー伝説を、脇役の後日談までせがんだら、

聞き終わるのに数年かかった」というワンウルフさんによれば、口承文化の利点は相手や時を

選び、教えを教授できること。語り手が相手の反応を読みながら内容を省いたり説明を加えたり、

結末を変えることもできる。アメリカ・インディアンが文字文化を発達させなかったのは、薬にも毒

にもなる情報が文字になってひとり歩きを始める危険を恐れたからなのだ。ワンウルフさんいわく、

「教えを書物にしなかったのは、書けなかったからではない、書かなかったからなのだ。その代わり

に、我々は知るべきひとだけに伝わるシンボルで情報を残してきた。アメリカ・インディアンの世界

は物語がいたるところに秘められた暗号社会なのだ」。







アメリカ・インディアンの自治居住区に住む知人を訪ねると、「本当によく来たね。泊まっていける

のだろう?」と、いつも驚くほど親密な温かさと笑顔で迎えてくれる。久方ぶりで故郷に帰ったような

ぬくもりだ。アメリカ・インディアンの家庭は大家族制で開放的。近縁、遠縁の親戚、さらには人生

の折々で親戚づきあいをはじめた友人たちの出入りが絶えない。来るものは拒まず、訪れたもの

には宿を与え、飢えを満たし、惜しみなく与えるのが信条なのだ。歴史を振り返れば、そうした対人

観と気前の良さゆえに、歓待した異邦人に殺戮され土地を追われるはめになった。それゆえに、

それ以降は多民族への態度は幾分か慎重になり、伝統保護に頑なになったが、いったん受け入

れることを決めた相手なら、他人でも家族同様に扱うひとなつっこさには変わりがない。だんらん

の時間を大切にし、誰とでも仲良く楽しむのだ。「インディアン社会の美徳は誰もが家族や部族の

ひとりひとりを尊重する人づきあいの姿勢にある」と語るのは、セネカ族の血をひくメディスン・ウー

マンで、アメリカ・インディアン文化を世界に紹介する著者としても知られるジェミー・サムズさんだ。

この世に強者と弱者がいて、善人と悪人がいるのも、それぞれに、何らかの意味で社会に果たす

意味があるから。ひとは人類の人間性の向上に役立つ技能、才能、個性をひとりひとり「大いなる

神秘」から授かって生まれてくるのだから、人それぞれの違いを認め、尊重しなければならない、

と考えるのが、部族の違いを超えた対人観の基本なのだそうだ。女性は新たな生命を生み、部

族を永続させるものとして、老人は経験を積み知恵を蓄えた賢人として尊重される。また、子供

は生きる宝物。常識や先入観にとらわれない子供の見方は、生まれる前の精霊の叡智の発現

として尊ばれるのだ。







夢を身の危険の警告とみた私は、訪問をほぼあきらめた。しかし翌日、

シャーマニズムを学んできた友人にその話をしたら、「相手はあなたを

受け入れたいものの、伝統を外に漏らすなという部族の圧力があるの

では。勝手にあきらめずに、もう一度電話してみたら?」と、夢に別の

解釈を与えてくれた。さらに「昔は自分も儀式や知識を学ぶことに貪欲

だったが、それで逆に師を遠ざけていると気づいて欲を捨てた。知識は

受け入れる素地ができたら与えられるものと悟った」と語ってくれた。学

んだことを語るのではなく、いつの間にか書くために学ぼうとしていた本

末転倒ぶりに気づいた私は、仕事柄ひとを情報源として「利用」しがちに

なっていたことも深く自省した。


謙虚な気持ちになって、もう一度、電話で訪問が迷惑でないか尋ねると、

「是非いらっしゃい。車がないなら街まで迎えに行ってあげる」。迎えに現れ

たのは野球帽をかぶった童顔の老人で、青年のように元気で若いこころの

持ち主。夢で見たような家には、家族の作った伝統工芸が所狭しと飾られて

いた。家族のように迎えいれてくれた彼の言葉はみな格言のようで、まさに

歩く知恵袋だった。が、私がジャーナリストだと知ると、彼の部族は伝統の

保護に極めて保守的で、部族の風習や伝統技能について公けにすることは

許されないこと、彼自身も何度かドキュメンタリー出演の依頼を受けては断っ

てきたことをしみじみと語ったのだ。


当初の意図通りに、手っ取り早く「取材」しようとしたら、すぐに追い返されて終

わっただろう人間関係は、その後、家族ぐるみのつきあいに発展した。そして

彼は私の人生の師となった。この本は、こうした不思議な出会いと縁で結ばれ

たひとたちの導きによって生まれた。名前を出せないひとたちにも、儀式や

伝統について伝え書くことを許してくれた長老やメディスン・マンたちにも感謝

しきれない恩を受けた。すべての「偶然」を「必然」とみる、シンクロニシティと

いう概念がある。アメリカ・インディアン流にいえば、「ひとが正しい道を歩いて

いるときには、必要なときに助けが現れ、物事はトントン拍子で進む」というこ

とだ。数多くのシンクロニシティに助けられ、この本が生まれたのも何かの必然

で、読者の物思いの糸口や小さなヒントになれば幸いだ。ミタケ・オアシン、私

が関わるすべてに祝福を!


 


目次

プロローグ

1番目の月 人生の高み月・・・・フープ・ダンス

2番目の月 清めと再生の月・・・・ビジョン・クエスト

3番目の月 囁く風の月・・・・パワーアニマル

4番目の月 風よけ月・・・・ティピのだんらん

5番目の月 待ち月・・・・コヨーテの法則

6番目の月 植え月・・・・聖なる煙

7番目の月 巣立つ鷲の月・・・・メディスンの束

8番目の月 実り月・・・・まっすぐな祈りの矢

9番目の月 恵みの月・・・・スウェット・ロッジ

10番目の月 長い髪の月・・・・ドリーム・キャッチャー

11番目の月 巣立つ鷹の月・・・・パウワウ

12番目の月 尊敬の月・・・・ホピの予言

13番目の月 ひとの月・・・・ヘヨカの笑い

エピローグ








アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)の言葉(第一集)

アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)の言葉(第二集)

アメリカ・インディアンの言葉(第三集)

アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)

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