「インディアンの言葉」
ミッシェル・ピクマル編 カーティス写真
中沢新一訳 紀伊国屋書店 より引用
インディアンの感銘深い20の言葉と彼ら、消滅しつつある民族の生活を100 年前に切迫した思いで記録に留めようとしたカーティスの素晴らしい写真。 小さな本であるが、インディアンの心を知るのには最高の部類に入る本。 (K.K)
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ウォーキング・バッファローことタタンガ・マニの言葉(1871-1967) (本書より引用)
私たちは、法律というものを持たなかった人間です。しかし、私たちは、 万物を 創造し、そこに秩序をあたえている「グレート・スピリット(大いなる霊)」と、じつに 好い関係を保ち続けてきたのです。あなた方白人は、私たちを野蛮人だと言い ます。あなた方は、私たちの祈りの意味を理解してこなかったし、また理解しよう ともしてこなかった。そこで、私たちが太陽や月や風を、讃めたたえる歌を歌っ ているとき、あなた方はやれインディアンは偶像を崇拝している、などとわめき たてたものです。私たちのことを理解しようとはしないで、私たちの宗教があな た方のものと違っているというだけの理由で、私たちの魂が堕落していると、 非難してきました。・・・・
私たちはほとんどすべてのものの中に、つまりは太陽や月や樹々や風や山々 の中に、「グレート・スピリット」の手の働きを、見てきたのです。そしてときには、 こうした自然の動きのすべてを通じて、その手の働きのほうに、近づいて いく こともありました。それが悪いことだった、というのですか。私たちが、誠実に 「至上の存在」を信じてきたことは間違いがない、と思います。その信仰は、私 たちのことを異教徒扱いした白人たちの、善なるものへの信仰よりも、はるか に深く、強いものなのです。自然と自然の世界に秩序を与えているものの近くで 生きてきたインディアンは、けっして蒙昧の闇を生きているのではありません。 あなた方は、樹々が語るのを、聞いたことがありますか。じっさい、樹は話をす るのです。樹々はお互いに会話をして、もしもあなたがたがそれに耳を傾けさえ するならば、あなた方にだって、樹は話しかけてくることでしょう。ところが、困っ たことに、あなた方白人は、樹々の声などに、耳を傾けようともしなかった。だ いたい、白人はインディアンの言うことにさえ、耳を貸そうとはしなかった人たち なのですから、自然の声などに心を開こうはずもありませんでした。けれども、 樹々は私に、たくさんのことを教えてくれました。ある時は天候について、ある 時は動物たちのことについて、そしてある時は「グレート・スピリット」について、 教えてくれたのです。・・・・
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