「三人の偉大なインディアン」

アン・マクガバーン原作

ジーン・デビス、池田広子訳 信山社 より引用








本書には「沼の戦士・オセオラ」「聡明な指導者・テカムシ(テカムセ)」

「名誉の人・コーチース」という有名なインディアンの英雄の生涯を記

したものである。私自身多くのインディアンの英雄の中でもテカムセ

の慈愛と勇敢さ、誇り高さにはインディアンの真の姿を映し出した者と

してだけではなく、あるべき人間像として具現化した崇高な魂を感じ

てならない。そしてこのような人々が何故に闘わなければならなかっ

たを想うとき、このインディアンが受けてきた血塗られてきた歴史は、

決して過去の遺物ではない。それは私たちも守り続けなくてはならな

いものに対して、テカムセに象徴されているようにインディアンの勇敢

な戦士として挑んでいかねばならないことを意味しているのではない

だろうか。たとえその道が絶望的な闘いであるにせよ。

(K.K)







これは彼等の民族の自由と自分の所有する土地に住む権利の為に戦った、三人

の偉大なインディアン指導者の興味をそそるも悲しい物語を述べたものである。闘

いはアメリカ国民が急激に領土を拡張しようとしていた時代に、フロリダの沼地や

中西部から西部の広野にかけて起こった、前進という名の下に土地は没収され、

幾千人もの人が殺されたり、捕虜にされたのでだった。これらの物語はわが国に

おける人間の自由の為の、長い年月にわたる苦闘の一部であるとともに初期の

アメリカ史の悲惨なそう話の一つである。(本書・はしがきより)



1776年、テカムシが八才の時、アメリカ合衆国は英国に対して独立戦争を

始めた。英国はインディアンに彼等の土地を奪うことはしないと約束したので、

大多数のインディアンは英国側について戦った。ショウニー族も同様でアメリカ

軍に対して戦った。1780年にはテカムシは戦争が古ピクワに及び、アメリカ兵

らが彼等の家からショウニー族をおいたてようとして、火を放ち炎の中に村が

消えるのを見た。1781年、テカムシは初陣に参加した。ここでテカムシは兄が

傷ついているのを見て、恐怖におののき戦場から逃げ出した。その夜彼は自分

を臆病者と呼び、二度と恐怖は現わしはしないと誓い、その日限りでテカムシは

戦場には最後まで残って戦う男になった。独立戦争の終結とともに新しい開拓

者の群れが西武のインディアンの土地へぞくぞくとやって来た。彼等の数は日増

しに増え、北部のインディアンの土地はどんどん取られてしまった。ショウニー

族は彼等の狩りをする土地を守って開拓者を入れない様にと戦った。テカムシ

がわずか十五の時だった。彼はオハイオに運ばれてくる、開拓者の乗っていた

底の平たいボートを攻撃するショウニー族の一団に仲間入りした。この様な開拓

者のボートを攻撃した後で、ショウニー族が生け捕った捕虜を火あぶりにするの

を、テカムシは恐怖に震えながら見ていた。彼は白人を心から憎んだ。白人が

彼の一族に与えたのは苦しみだけだった。しかし彼は情を知り、無慈悲に相手

を苦しめるやり方には非常に気分を悪くした。突然彼は、年齢もその部族での

身分も気にかけず、奮然と立ち上がって年上の男達に、彼等のやった事は決し

て勇気のある行為でもなければ男のやる事でもない、「動物しかそんなむごい

事を無力な者にしない、人間のすべき行為ではない」と泣き叫んだ。年長の男

らは十五才の少年のこの言葉に恥を知らされた。テカムシはこの時自分の思っ

た事を、自分の言葉で話すと言う事がどんなに力を現わすかを始めて知った

のだ。これは人間を動かし歴史の歩みをかえる力強い武器ともなるであろう。



目次

第一話 沼の戦士・オセオラ

1.彼を捕えろ

2.残酷な条約

3.オセオラは智った

4.戦争の意義

5.戦いの始まり

6.恐怖の時期

7.条約の破棄

8.白旗は侮辱された

9.無言の別れ


第二話 聡明な指導者・テカムシ

1.若きテカムシ

2.指導者の成長

3.太陽を止まったままにせよ

4.戦士と知事

5.団結しよう

6.国王の軍隊の下で

7.私がテカムシだ


第三話 名誉の人・コーチース

1.平和な日々

2.白旗の下に

3.コーチースの誓い

4.戦争

5.信頼できる人

6.誇り高き講和


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