「境界を超えて シャーマニズムの心理学」

ドナルド・リー・ウィリアムズ著 鈴木研二・堀裕子訳 創元社 より引用





本書 あとがき 堀裕子 より引用


本書の中心になっているのは、原書の副題からも推察できるように、カルロス・カスタネダ

著書のうち最初の五冊を、ユング心理学の視点から分析しようという試みである。カスタネダの

著作は、アメリカはもちろんのこと日本でも大いに注目されているけれど、このような分析の試

みはおそらく初めてではないだろうか。こうした分析を通してアメリカの精神的再生の道をさぐ

ろうというのが本書の主題である。しかしこの試みが意味を持つのは、アメリカにおいてだけで

はない。著者は遠い日本にいる私たちにも、精神的再生の必要性とその具体的な方法論を

示してくれている。つまり本書は、西洋文明の影響下で理性一辺倒になっている全ての人々

に向けたメッセージなのである。このメッセージがカルロス・カスタネダの著作に基づいている

のは、言うまでもない。そこで著者はカルロスの世界と私たちの日常を結びつけ、本書の内容

を身近で理解しやすいものとするために、いくつかの工夫をこらしている。第一にあげられるの

は、「カルロスの経験そのもの」が、段階を踏んで「呈示」されていることだろう。したがって読者

は自然にカスタネダの世界に導かれる。著者も言っているように、本書を読むにあたり「読者

はカスタネダの著作について前もって知っている必要はない」のである。さらに、著者が題材

を広い分野に求めたことにより、内容が豊かに親しみやすくなったことものべておかなければ

ならない。取りあげられた分野は、神話、伝説、童話、古典文学、東洋思想、文化人類学的

知識などに及んでいる。著者が、分析の臨床体験や様々な人々の夢、自らの日常生活にお

けるできごとを実例としてのべているのも、読者にとって興味深いだろう。訳者も思わず自分

の夢を振り返ってみたくらいである。女性の生き方や心理に注目したフェミニズム的観点も

新鮮な刺激になっている。こうした著者の姿勢そのものが、まさに「境界を超えて」いると言え

るかもしれない。カスタネダの書くものは、じわじわと心の深いところに効いてくる。読者の中

には、ウィリアムズ氏に案内されカスタネダの世界をかいま見ているうちに、大きな渦に巻き

込まれてしまい、これは何なのだろうと途方に暮れる方があるかもしれない。しかし、その混沌

こそ大切なのだと思う。その中にじっとしているうちに、何かが変化するのではないか。特に

日常を見る目が変化し始めるのではないだろうか。日常の生活は、それを理性で分析するの

ではなくイメージとシンボルという視点からとらえる時、全く別の姿を現してくる。そこにはどん

な深い意味があるのだろう。こう考える時、すでに個性あふれたそれぞれの心の旅が始まっ

ているのである。


 


目次

序論

中心となる問題

配役表

ドン・ファン・・・・事実かフィクションか

研究方法


第一章 基礎となるイメージ群

あらゆる梯子が始まるところ

戦士の号令

知者の敵

普通の人間、狩人、戦士、そして見る者

知者への道を示す四つの幻視

教えの方法


第二章 狩人の流儀

心理的態度としての狩

シャーマンと狩人

狩人、型にはまった行為、そしてコンプレックス

近づきやすいことと近づき難いこと

狩ることと狩られること

魔法の鹿


第三章 戦士の道

メスカリト

デヴィルズ・ウィード

小さな煙

ラ・カタリーナ

完全無欠な戦士

夢見と能動的想像


第四章 見る者のあり方

見ることの種類

守護者

輝く卵と意志

管理された愚かさ


第五章 シャーマンの飛翔

トナールとナワール

盟友

ナワールへの跳躍

分身


第六章 試練と新たな事実

指導者なしで

デヴィルズ・ウィードの根

ドニャ・ソレダードの床

ドン・ファンの計画

女性と風

月経・・・・別の世界への扉

茎、葉、花、そして種

鋭さを呼び戻すこと

ドン・ファンとドン・ヘナロは待っている

分裂を癒すこと


結論

あとがき

訳者あとがきT

訳者あとがきU

索引





カルロス・カスタネダ - Wikipedia より以下引用

カルロス・カスタネダ(Carlos Castaneda、1925/31?年12月25日 - 1998年

4月27日)はブラジル生まれのアメリカの作家。その著書とされる本には、

UCLAで文化人類学を学び、ヤキ・インディアン呪術師ドン・フアン・マトゥス

(カチョーラ・ギッティメア Cachora (Kachora) Guitimea)の下で修行すると

ある。『魔女の夢』フロリンダ・ドナー(日本教文社)と、タイシャ・エイブラー

(Taisha Abelar) の著書"The Sorcerer's Crossing" に序文を書いている。

実在の人物ではなく哲学的パフォーマンスよって演じられた架空の人物で

はないかとの推測もなされている。またカルロス・カスタネダの最初の妻

Margaret Runyan Castaneda は著書 "My Husband Carlos Castaneda" で、

カスタネダの著作に書かれているような話は、物理的事実としては存在し

ないとしている。カルロス・カスタネダの一連の著作は、ニューエイジ運動

などに影響を与え、日本では中沢新一が紹介者的役割を担った人物の

一人である。執筆家の永沢哲がとりあげたり、漫画家の藤原カムイの初期

作品に影響が見られる。おなじく外薗昌也の漫画『ワイズマン』は直接の

影響関係にある。また、ネオ・シャーマニズムのリーダー的存在と見なされ、

心理療法家のアーノルド・ミンデルはその著『シャーマンズ・ボディ』でカス

タネダの示したメソッドを発展的に紹介している。 元格闘家の須藤元気が

自身のニューエイジ的著作で『呪術師と私』を紹介したことから再び注目さ

れている。1998年4月27日にロサンゼルスにて肝臓癌で死亡したとされて

いるが、彼の死については情報が少なく正確なことはわかっていない。


 









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