「ミュータント・メッセージ」
<真実の人>族の教え
マルロ・モーガン 小沢瑞穂訳 角川書店
「ミュータント・メッセージ」に関しての私見 ホームページ「神を待ちのぞむ」作者
本書はオー ストラリアの砂漠に住む<真実の人>というアボリジニの部族との 四ヶ月にわたる旅を通して、著者が叡智と使命を授かったという実体験を記した ものとしてアメリカではベストセラーとなり、特にニューエイジの読者に広く受け入 れられました。しかし、本書の虚偽はアボリジニ自身の手によって明るみに出さ れ、この物語を真実と主張する著者が講演の為に来日した際にも、アボリジニの 方が抗議するために日本にも来られています。この件は新聞紙上でも大きく報道 されましたが、抗議の内容は下に紹介するページに詳しく書かれていますので、 是非お読みいただけたらと思います。実は日本でもこの文献はニューエイジと呼 ばれる方たちを中心に、実際に起こった体験として受け入れられていましたが、 このアボリジニの方の抗議の内容を知っているにも関わらず、たとえこの文献が 虚偽であっても自分自身に気づきを与えてくれる素晴らしい文献であり、虚偽か 真実かは自分とは関係ないという認識がニューエイジの中で急速に広がりつつ あるのを感じています。しかし、この偽書によってアボリジニがどれだけの侮辱と 痛みを受けてきたか、それを感じ取ることが出来ない人間に、どんな気づきや素 晴らしい世界観が宿るというのでしょう。結果として本書で展開されるアボリジニ の偽世界観に強く傾倒していながら、真のアボリジニの精神文化の破壊に加担 している矛盾に心を痛めることもないのでしょうか。この文献の著者のように、 先住民族の精神文化を自己の名誉と私腹を肥やすために利用する白人は後を 絶ちません。土地を奪い、命を奪い、同化政策によって先住民の自己基盤を 破壊してきた白人が次にしたことは、彼らの魂を金で売り飛ばすことだったの です。インディアンの文献の中においても、多くの方の共感を呼び名著といわ れている「リトル・トリー」もそのような偽書の類ですが、世界中の先住民族が このような新たな侵略にさらされている事実を知っていただきたいと思い、敢え てここに紹介することにします。白人の破壊行為に目をつぶること、それは私た ち自身も先住民族への迫害に手を貸していることを意味していると思います。
「アボリジニのメッセージ」は「MICA BOX HOMEPAGE」の次のページで紹介されています。 http://www2.comco.ne.jp/~micabox/bun/ms1.html
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最初に彼らはわたしたちの大地と水をとりあげた。 次には、わたしたちの魚たちと、動物たちを奪ったのだ・・。 そして今、あの人たちは同じようにして、わたしたちの宗教をほしがっている。 あるとき突然、わたしたちの周りでは、 それこそ良心のかけらもないような愚か者たちが、 自分のことをメディスン・ピープルだなどと口走りながら、 駆けずり回るようになった。 この連中は、あなたがたに「スウェット・ロッジの儀式」を 50ドルほどで売りつけたりするだろう。 こうした行為は、間違っているだけでなく、猥褻で見るにたえない。 インディアンたるもの、たとえいくらお金を積まれたとしても、 自らの霊的なものを、精神性を、 誰かに売るようなまねなど、絶対にしないものだ。 これは、昔からずうっと続いているあの人たちの 泥棒行為の延長線上にあるものだが、 そのなかでも最悪のものだと言えよう。
−−ジャネット・マッククラウド(テュラリップ族) 北山耕平訳 「Native heart」(北山耕平さんのホームページより引用)
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「ミュータント・メッセージ」に書かれた、ある長老の推薦文 ウルンジェリ部族の長老の手紙(本書より引用) (この長老に関してはその後のアボリジニの徹底した調査により、 どこにも存在せず、全くの著者による捏造であることが判明している)
アボリジニ系オーストラリア人のウルンジェリ部族の一員である私、バーナム・ バーナムは本書「ミュータント・メッセージ」を一語ももらさず読んだことをここに 宣言する。私の人生において最初から最後まで一気に読んだ本はこれが最初 である。私は深い感動と興奮のうちにこれを読み終えた。これは名著であり、 われわれ<真実の人>族が著者に寄せた信頼をみじんも裏切らない内容だ。 ここに描き出されたわれわれの価値観や奥義のありように、あらためて祖先の 遺産にたいする誇りを感じさせられた。ご自身の経験を世界に語ることで、 あなたは歴史上の間違いを指摘された。16世紀にオランダの探検家ウィリ アム・ダンピエは、われわれのことを「この地上でもっとも野蛮で悲惨な人種」 と書いた。「ミュータント・メッセージ」はわれわれの意識を向上させ、本来そな えている王者の風格を自覚させてくれた。
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