「マリアン・アンダースン」
ALIENOR
心が倒れそうになっていた20代の頃、毎日のように「黒人霊歌集」を 聴いて安らぎと共に多くの勇気をもらいつづけていた。最初の頃は、 マヘリア・ジャクソン(1958年 Newportのライブは傑作)ばかり聴い ていたが、同じ黒人霊歌を歌っていたマリアン・アンダースンを聴い た時、鳥肌が立ってしまった。巨匠トスカーニに「100年に一度しか 聴けない素晴らしい声」と称したが、彼女の特質はその低音に魅力 が発揮されていると思う。勿論独特な声質と奥行きのある歌い方は 素晴らしいが、低音で黒人霊歌を歌う彼女に私は魅せられていた。 (K.K)
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2011年12月25日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。
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マリアン・アンダースンは、1902年にフィラデルフィアの貧しい黒人家庭に 生まれた。幼い頃から歌の才能を発揮した彼女は、6歳のときにはすでに 教会の聖歌隊に加わって歌うようになったという。高校卒業後、ニューヨー クに出てジュゼッペ・ボゲッディに本格的な歌の教育を受けた彼女は、19 25年にはニューヨーク・フィルハーモニー協会のコンクールに優勝、それが きっかけとなってコンサートにもデビューを飾った。その後、1930年には ロンドンへ移ってさらに勉強をつづけ、1935年にはザルツブルクでトス カーニに認められ、この巨匠に「百年に一度しか聞けない素晴らしい声」と いう賛辞を得る。翌年には、ニューヨークでリサイタルを開いて大成功を収め、 アメリカ初の黒人の名歌手として名声を獲得する。その後、1955年にはメトロ ポリタン・オペラに「仮面舞踏会」のウルリカ役でデビュー、彼女はこのオペラ・ ハウスで歌った初めての黒人歌手となった。
アンダースンの深い響きをたたえた力強い独特の声は、彼女ならではの劇的 な表現を可能とし、その高い芸術性とともに世界的な評価を受けた。また、単に 芸術家として称賛を浴びただけではなく、黒人に対する偏見がまだ根強かった 当時、彼女はそうした人種差別に積極的に戦い、そうした姿勢も広く共感を呼ん だのである。1965年のコンサートを最後に、彼女は演奏活動から引退している。 このディスクには、アンダースンが得意とした曲ばかりがあ集められており、彼女 の魅力のすべてがここで聞けるといっても過言ではない。 (岡本稔 CDパンフレットより引用 このCDは絶版である)
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