「インディアンの贈り物 ネイティブ・アメリカンのクラフト図鑑」

ワールド・ムック645 ワールドフォトプレス より引用














インディアン各部族のクラフト(ジュエリーを除く)を豊富な写真と図版で紹介し

た美しい本である。カチナ(人形)、壷、ラグ、バスケット、フェティッシュ(動物

型のパワーストーン)、モカシンなど、それぞれの作品に魅入ってしまう。尚、

本書にはホピの著名な陶芸家デクストラの「世界とのつながりを感じたら、きっ

とあなたは孤独じゃない」という言葉が、その作品と共に紹介されています。

デクストラについて詳しくは名著「スピリットの器」を見て下さればと思います。

(K.K)







インディアンが自然素材を使って作る壷、毛布、かごなどの日常品。獲物を

追い、土を耕し、外敵や水不足と闘い続ける暮らしのなかで、自然のしくみと

祖先の神話を信じて生きる人々が生み出した道具たち。インディアン・クラフト

の世界を訪ね、形やデザインを超えて私たちの心に届く、彼らの物語にふれ

たい。 (本書より引用)



北米各地に分布するインディアンは、部族ごとに異なる生活様式をもち、何千年も

昔から土や草木や動物の毛皮を使い、暮らしに必要なものをすべて手作りしてきた。

南西部の部族はプエブロと呼ばれる村を成し、農耕生活を営む。極端に雨が少ないこ

の地域では、貴重な水をこぼさぬように運び溜めるため、また収穫したトウモロコシを

貯蔵するために土の壷が作られた。アリゾナ州周辺のナバホ族は羊などの牧畜で暮

らし、ウールで毛布を織ることを覚えた。北西部の大草原地帯に分布する平原部族

は、日本人の距離感覚では想像もつかない広さを馬で異動し、バッファローを狩って

暮らした。彼らは仕留めた獲物の毛皮で衣服や靴やパッグを作り、ビーズや絵の具

で装飾した。ほとんどの人が車に乗りスーパーマーケットで買い物をするようになっ

た今、こうした手作りの日用品はアートに形を変え、店やギャラリーで販売されてい

る。美しい模様をほどこした大型の壷や、織り目の詰まった上等なラグなどには何千

ドルという価格がつき、愛好者たちの溜息を誘うものもある。インディアン・クラフトは

芸術品として高く評価され、世界各地の民芸品のなかでも類を見ないほど成功して

いると言われている。


インディアンは古くから自然との調和を重視し、この世のすべてのものに敬意を払って

生きてきた(命あるものはみな偉大なる創造主によって造られた。動物も植物もどんな

に小さな虫さえも、みなひとつのサークルでつながり共に生きている。人間はその一部

に過ぎない) そうした世界観を持つ彼らは、壷や毛布などの材料にも命が宿ると考え

てきた。壷を作る前には必ず土の精に祈りを捧げ、毛布となる動物を仕留めたら、感謝

のしるしにターコイズの粉をふりかける。この伝統的な思想や信仰は、今も彼らの日常

に深く根づいている。


1492年にコロンブスが新大陸を発見し、ヨーロッパから続々と移民や遠征隊がやって

きてから彼らの暮らしは大きく変わってゆく。19世紀末にはイリノイ州シカゴとカリフォル

ニアを結ぶサンタフェ鉄道が開通し、大量の白人観光客が東部と西部を往来するように

なり、インディアンが作るさまざまなものが人々の目に触れるようになった。このころアメ

リカ西部では、開拓とともに新たなビジネス・チャンスを見出した白人商人がトレーディン

グポストと呼ばれる交易所を開き、インディアンの品々を観光客向けに販売したのである。


インディアン・アートが人々の注目を集め開花した背景には、実はこうしたトレーディングポ

ストや白人たちの存在が欠かせなかった。大量生産された工業製品とは全く違う、自然素

材を使った手作りの民芸品は、当時のアメリカ人の心に響いた。「これほど美しく、長い歴史

を誇る手作りのものは、アメリカの財産だ。」そう考えた人々によって、インディアン・アート

の保存と発展を後押しするムーブメントが生まれたのである。たとえば現在売られている

毛織のラグは、トレーディングポストが白人市場向けに企画しナバホの織り手に作らせたも

のだ。美しい模様の壷は、考古学者が遺跡で発掘した土器のかけらをもとにプエブロ族の

女たちに作らせ、アートとして復活させたものだ。そして当のインディアンたちは、こうした

流れに柔軟に対応していった。


西部開拓とともに先祖から受け継いだ土地がどんどん奪われ、近代化と経済主義の波に

呑み込まれていくなかで、白人に求められるものを作り、缶詰や小麦粉などの食料品や現

金に換えることは、アメリカ社会で生きていくために必要な手段だったのだ。その一方で

インディアンは、誰にも侵すことのできない領域をずっと守り続けている。祖先から語り継

がれる創世の物語、自然のサークルのしくみ、目に見えない精霊の存在、雨と豊穣を願

う祈りの言葉。それらは不思議な暗号のような模様となって、壷の表面に描かれ、毛布

やバスケットに編みこまれ、儀式用のカチナ人形にこめられている。その意味を尋ねても

彼らはすべてを語りはしない。「母なる大地、父なる空、私たちはひとつにつながってい

る。」そんな言葉を繰り返すだけで、詳細を明らかにしない。暮らしの道具であr、脈々と

受け継がれてきた神話を語る媒体でもあるインディアン・クラフト。その不思議な世界を

訪ね、形やデザインを超えて私たちの心に届く彼らの物語にふれてみたい。

(本書より引用)



目次

雨を祈り水を溜めるインディアンの壺は命のうつわ


インディアンの暮らしと祈りを結ぶ道具たち

雨乞いの祈りを届ける精霊の化身「カチナ」

命の水を抱く、大地の子宮「壺(つぼ)」

ナバホの生き方を物語る、伝統と革新の共存「ラグ」

水辺の草木を編みあげた、トウモロコシを盛るうつわ「バスケット」


「ホピの壺作家」 デクストラが伝えたいこと

世界とのつながりを感じたら、きっとあなたは孤独じゃない


第2メサの風に吹かれる 聖地ホピのトレーディングポスト

インディアン・コードを読み解く・・・・デザインに隠された意味

ものを作るインディアンの手

風と木と鳥の声が、インディアンの笛になった話・・・・語り スカイ・レッドホーク


「カチナ」

空に、雲に、土に・・・・カチナは宿り、私たちを見ている

ホピ精神世界の住人・カチナたちのプロフィール

ホピの左利きのカチナ彫り・・・・ゲイリー・ツォ

カチナ・カタログ36


「壺(つぼ)」

サウスウエスト壺マップ

インディアンの壺ができるまで

女3代 サンタクララの陶芸家(マリー・ケイン リンダ・ケイン・オータム・ボーツ・メドロック)

壺カタログ63


「ラグ」

ナバホの伝統とデザインを後押しした、インディアン・ラグの立役者たち

トレーディングポストとラグ物語

ラグ・カタログ35


「バスケット」

インディアンの食事・・・・太古からの贈り物・トウモロコシと豆で作る

ホピのバスケット・メーカー・・・・ドーリーン・ラロ

バスケット・カタログ21


「フェティッシュ」

干ばつから人間関係の悩みまで・・・・ズニのお守り・動物型のパワーストーン

フェティッシュ・カタログ36


「平原部族」

平原部族の見せる+旅する日用品

平原部族のクラフト・カタログ40


「楽器」

天に響かせ、願いを叶える・・・・インディアンの音楽と踊り

楽器カタログ10


インディアン・クラフトの楽しみ方

本場のクラフトに出会うため・・・・インディアン・カントリーを旅する

日本でインディアン・クラフトが買える店

アメリカでインディアン・クラフトが買える店

参考資料







アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)に関する文献

アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)

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