「俺の心は大地とひとつだ」

インディアンが語るナチュラル・ウィズダム2

ノーバート・S・ヒル・ジュニア編 ぬくみ ちほ訳

めるくまーる より引用







「それでもあなたの道を行け」という文献の続編で、古今のインディアンの感銘深い言葉

を項目ごとに紹介している。「価値観」「精神・信仰」「伝統・歴史」「女と男」「子供・教育」

「経済・金・権力」「大地・世界」「洞察・感謝」「教え・文化」「リーダーシップ」「戦い・争い・

条約」「正義・和解・平和」「共同社会」などの項目に分かれており、大地に根ざし、宇宙

の摂理に従うインディアンの生き方が垣間見える。そしてこの文献にはライブラリー・オ

ブ・コングレス所蔵の写真30点が収録されているが、その肖像写真からも彼らの誇り

や生きざまが強く伝わってくる。編者が言うようにこれらの言葉は、インディアンの記憶

を伝えるものであり、未来の人々への贈りものとなってゆくに違いない。

(K.K)


 








誰だって批判されるのは好きじゃない。けどな、批判というのは砂漠を吹く風の

ようなもんだ。風が柔らかい茎を鞭打って吹くものだから、風に負けまいと深く

深く、地中に根を下ろすようになるんだ。


ポリンゲイシー・コヤウェイマ(ホピ族)1964年





平和・・・・それは魂の内にやって来る。人々が宇宙とつながり、そのすべての力と

つながって一体となっていることに気がつく。と、そのとき平和がやって来る。宇宙

の中心に大いなる魂ワカンタンカが宿っていると悟ったとき、また実は宇宙の中心

というのはどこにでもあって、われわれひとりひとりの中にもあるんだとわかったと

き、心に平和がやって来る。


ブラック・エルク(オガララ・ラコタ族)1947年





文明社会の人たちは、人が作った印刷物に頼りすぎている。私はグレート・スピリットが

創った本をひもとく。そこには彼の創造したものすべてがある。もし自然を学びたいなら、

その本の大部分にそれが書いてある。君たちの本を全部もち出して、陽の下に並べてご

らん。しばらくのあいだ雪や雨にさらし、虫に食べさせてごらん。すっかりあとかたも無く

なってしまうだろう。ところがグレート・スピリットは、君たちにも私にも、森や川、山、私た

ち人間を含む動物について、“自然の大学”で学ぶ機会を与えてくれているのさ。


タタンガ・マニ/ウォーキング・バッファロー(ストーニー族)1969年





富はいらない。だが子供たちをまっすぐ育てたい。

富など、われわれにとってはなんの役にも立たない。

そんなもの次の世界へもっていけないじゃないか。

富なんぞいらない。欲しいのは、平和と愛だ。


レッド・クラウド(オガララ・ラコタ族)1870年





われわれイロコイ六か国連邦と大ラコタ国のメンバーは“西半球”の先住民を代表して

ジュネーブへ行ってきた。そこでわれわれは、どんなメッセージを伝えたと思う? 他の

国からの参加者たちは、「人間としての権利を求める声が湧き起こっている」と言って

いたよ。「すべての人たちの権利」ってね。そこでわれわれはこう言ったんだ。「自然界

の権利はどうなっているのでしょうか? バッファローや鷲の座席はどこにあるのです

か? この会議で、いったい誰が自然界の代表者となっているのですか? 大地を流

れる水に代わって話す人は誰ですか? 樹々や森に代わって話す人は誰ですか? 

魚に代わって、鯨に代わって、ビーバーに代わって、われわれの子供たちに代わって、

いったい誰が発言するのでしょうか?」とね。


オレン・ライオンズ(オノンダーガ族)1990年





一般にリーダーシップなるものは、指導者が何を“する”かで判断されることが非常に

多い。そして状況を改善するために何か違うことを“しろ”と言われる。しかしインディ

アンの考え方では、われわれは何かを“する”ものではなく、“在る”ものなのだ。もし

リーダーシップのもとでの“すること”を変えたいと望むなら、私は自分自身の“在る

こと”を変えなければならない。自分の在ることを変えるということは、ほかならぬ

存在意義を変えるということなのだ。


ドン・コイヒス(モヒカン族)1993年


 
 


ヴァイン・デローリア・ジュニア

(本書 本書に寄せて より引用)


アメリカ・インディアン各部族は、それぞれが独自の世界観を保ってきたが、長いあいだ

その事実は無視され、言語の違いを除いては大差がないものと見なされてきた。それ

は無理もないことだったかもしれない。彼らが部族固有のものとして語る自然観や生き

方には、実は大きな共通性があるからである。実際、語り手がどの部族に属する人かを

確かめなければ、その世界観がどの部族のものかを見分けることはかなり難しい。“アメ

リカ・インディアンの哲学”には、さまざまな部族を思想的にひとつに結びつけている共通

の特色がたくさんあると言えるのだ。だが同時に部族ごとに、土地に根ざした独自の洗練

された知識があることも見落としてはならない。過去数十年、インディアンでない人たち

が、自然界と人生についてのインディアンの洞察を詩のような言葉として添えて、インデ

ィアンの長老たちの写真集を出版してきた。それらの本には、現代を生きるインディアン

の声がほとんど収められていないという手抜きがある。実のところそうした本は、暗にこ

うほのめかしているのだ----北アメリカにかつては、詩的でロマンチィックな放浪の民

が存在していた。その人々は人生で知るに値することすべてを理解し、鋭い格言を残し

た、と。この種の本の最後には、現代のインディアンたちがわずかに登場するが、彼ら

は1890年頃に謎に包まれながら消えていった偉大な民族の生き残りにすぎない、と

見なされているのである。


本書はそうした本とは趣きの異なるものになっている。昔と今日のインディアンの言葉を

慎重な配慮のもとに織り混ぜて配列し、人や状況は変化してもインディアンの基本的な

考え方はまったく変わらない、ということを証明した。ここに収められた言葉を注意深く読

んでいけば、この主張が正当なものだとおわかりいただけるだろう。実際、人々がその

時その時の関心事や身近なことについて語ってはいても、ものの見方に実質的な違い

はまったく見られない。(中略)


インディアンの読者は特に、この本に収められている言葉を心にとどめ、その意味をじっ

くり反芻してみる必要があろう。単にさまざまな考えを詩的に表現した作品として楽しむ

だけで終わってほしくはない。今日のインディアン社会の弱点は、高度な教育を受けた

大勢の人々、すなわち弁護士、教師、経営者、組織の幹部といった人たちが、情報を

ふんだんにもっていながら、その意味やモラルとの結びつけ方を理解していないため、

それらを同朋の人々のために役立てられずにいるということだ。インディアンの政治家

たちは、ブラック・エルクやステンディング・ベアーなどの偉大な賢者たちの言葉をしば

しば引用する。だが求められているのは、言葉でなく実行であることがわかっていない

ようだ。


インディアンのある部族には、「七世代先の子孫のことまで考えて備えよ」という有名な

格言がある。この本は、さまざまな部族、多くの個人、いろいろな世代の知恵を集めたも

のだ。私たちは、自分たちが死ぬときに出会うことになる過去の世代の人々から、絶え

ず審判を受けている。本書にはさまざまな言葉が集められているが、全編を通じて“もの

の見方における相似性”とも言うべきものが提示されている。過去幾世代の教えの数々

が、私たちの祖先を導いたのと同じ生き生きとしたモラルを内包したまま今に伝えられて

きたことがうかがえる。これらの教えを、もういちど私たちの実人生の中に浸透させ、イン

ディアンの社会的現実へと還流させることは、私たちの世代の役割なのである。


 


目次

はじめに・・・・未来の人々への贈りもの

本書に寄せて

価値観

精神・信仰

伝統・歴史

女と男

子供・教育

経済・金・権力

大地・世界

洞察・感謝

教え・文化

リーダーシップ

戦い・争い・条約

正義・和解・平和

共同社会

訳者あとがき








アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)の言葉(第一集)

アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)の言葉(第二集)

アメリカ・インディアンの言葉(第三集)

アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)

大地と空の息吹き

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天空の果実

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