本書 訳者まえがき「ホ・オポノポノの源流『カフナ』の癒しと幸せの教え」 より引用
この本は、ハワイ人の間に古くから伝わる癒しの秘密(フナ)を、世界で初めて科学的に解明
したものです。
著者のマックス・F・ロング(1890〜1971)はアメリカの教育者、哲学者で、UCLA卒業後に、公務
員養成教育プログラムのためにハワイに滞在しました。そこで、「カフナ」と呼ばれる呪術師たちの
奇蹟譚に魅了されます。
有名なビショップ博物館館長のウィリアム・タフト・ブリガム博士と出会ったときに彼の人生は一変
します。ロングはフナに関する博士の長年の研究を目の当たりにしたばかりか、研究の継続を託
されるのです。以後、フナの解明と応用が彼の生涯のテーマになりました。
「フナ」と「カフナ」について簡単に説明しましょう。フナ(huna)は「秘密」を意味するハワイ語で、
著者がもっぱら使っているのは、外部に知られることのない父子相伝の呪術の奥義という意味
です。
フナを継承する特別な人々をカフナ(kahuna:秘密の番人)と呼びます。ハワイでは、一般に、カフナ
は「専門職」を意味しますが、この本では、特に呪術の秘密を握り、民衆の生活を改善するために
役立てるスペシャリストのことで、日本の陰陽師や祈祷師に当たります。死の祈り、溶岩流渡り、
天候操作、死者蘇生、瞬間治療、予言、未来改造、透視などいろいろな特殊能力を持つ人がいま
すが、物心両面にわたる癒し(心身と財布の治療)がその主な仕事です。
ロングは恩師のブリガム博士が残したキーワード(呪術を成り立たせる力と精神と物質)を頼りに、
カフナが呪術に使う隠語を解読し、心理学や心霊学の最新の発見に照らして、呪術のメカニズムを
研究し続けました。
本書は長年にわたるロング氏の研究の結実であり、彼の創立したフナ研究所の基礎テキストとして
使われています。
ここニ、三年で、アメリカと特に日本で、ハワイの癒し術「ホ・オポノポノ」が広く知られるようになりま
した。「愛しています」、「許してください」、「ごめんなさい」、「ありがとう」の四つのフレーズを絶えず
唱えるだけで、正常な自分を取り戻し、対人関係、健康、仕事、日常生活のどんなことも円滑になる
という教えです。
実は、ホ・オポノポノは、心身の調和を取るフナ独特の浄化法なのですが、フナと別物のように考え
られているという興味深い現象が起きています。これについて、フナ研究所の今の理事長であるJ・
ヴィンスン・ウィンゴ博士が説明しています。
博士はホ・オポノポノの設立者M・シメオナ(1913年〜1992年)に二〇年師事して、「上級セルフ・
アイデンティティ ホ・オポノポノ」を共同製作した人ですが、一般に流布しているホ・オポノポノは、
全部で十二段階ある「本物」のホ・オポノポノの一部にすぎないと言っています。
「フナとホ・オポノポノは別の何かなのですか」との問いに対して、こう答えています(博士のブログ
から要約) 「現代のホ・オポノポノの設立者モナー・シメオナ師によれば、二つは切っても切り離せ
ません。特にネット上で、ジョーやスタンからホ・オポノポノを学んだ一部グループが、わざと問題点
を混乱させています。彼らはフナを教えてホ・オポノポノと呼んでいるです。彼らはホ・オポノポノに
ついて語りますが、それはカーラの部分だけです。カーラはフナの重要部であるホ・オポノポノのさら
に一部にすぎません。フナを学ばずしてホ・オポノポノを学ぶことは不可能です」
また「上級ホ・オポノポノ」の序文では、「四つのフレーズをひっきりなしに唱えるやり方は、潜在意識
にネガティブなプログラミングをすることが、この八年間の研究で明らかになっている」と簡略化しす
ぎる今の傾向に警鐘を鳴らしています。「上級ホ・オポノポノ」の十二段階はこうなります。
序 三つの自己(潜在意識ウニヒピリ、意識ウハネ、超意識アウマクア)を理解する
@ 和解(アウマクアと調和を取り戻す祈り)
A 平和(ウニヒピリから不安を除く平和の祈り)
B ハ呼吸法(吸って七、止めて七、吐いて七、止めて七数える。これを七回)
C 開会の祈り(自分とは何かを力強く宣言する)
D 悔い改めの祈り
E ホ・オポノポノ
a 三つの自己への許しの求めと許し
b 心を清める祈り
c 中絶や流産の傷を癒す祈り
d マヒキ:外から来る戯れを祓う祈り
F 束縛からの解放の宣言
G 浄化(頭からつま先までを藍色、緑色、水色、白で七回ずつ沐浴するイメージ)
H 変容(すべての不純を純白な光に変える祈り)
I 閉会の祈り(平和と同化する)
J ハ呼吸法七回
K 感謝(すべてのもの、人、存在、霊への感謝の祈り)
「上級ホ・オポノポノ」は祈りや宣言の言葉遣いが細かく丁寧に選び抜かれているのが特徴です。
この具体化された言葉から、自分の問題の根を自動的に発見し、癒せるようにうまくまとめられて
います。
実は、ホ・オポノポノは、1970年代末に、ヴィンスン氏の父オサ・ウィンゴ博士(元ミズーリ大学言語
学教授でフナ研究所前代表)が、マックス・F・ロングの研究に基づいて、シメオナ師と共同開発した
ものです。
ヴィンスン氏は、シメオナ師の本来の教えが「原形を留めなくなるほど水増しされて」一般に広まって
いることを憂慮し、本来のホ・オポノポノを「上級コース」としてインターネットで無料公開することにな
りました。
このように、本書はホ・オポノポノのまさしく源流というべきものであり、ハワイの癒しのメカニズムを
正しくとらえるのに必要です。この本はフナ学の基礎を提供するものです。次作の「応用編」では、
物心両面における各種の癒しの技について、段階を追って詳しく解説しています。ご期待いただき
たいと思います。
|