本書 訳者まえがき
「エジプト、日本、世界へと広がったカフナ十二部族の秘儀」 より引用
この本は癒しの権威マックス・F・ロングの不朽の名著を邦訳したものです。前の作品『ホ・
オポノポノとの関係がよくわからなかった人は、本書ですっきりするでしょう。清め「カーラ」
(kala)の本当の意味、カフナがそれをどう行っているかがわかれば、ホ・オポノポノの理解と
実践に大いに役立ちます。
人生を阻む本当の原因を突き止めるのに本書は貴重な情報を提供しています。コンプレックス
(罪意識や感情の固定化)は潜在意識にだけあるのではなく、顕在意識(ウハネ)もそれを認め
る二重コンプレックスが、しばしば「不治の」病を作り出すと著者は言っています。
その治療において、「許し許される」ことがどんなに大切かについても、詳しく書かれています。
キリスト教の「罪の許し」、神道の「祓い清め」の儀礼も、このカフナの癒し学に照らすことによっ
て、本来の力を発揮できるはずです。「憑き物落とし」や「除霊」に行き詰まりを感じている祈祷
師やヒーラーにも、この本の知識は福音になると思います。
創造に使える心の力もネガティブに作用すれば破壊力になります。創造と破壊あるいは癒しと
病の仕組みを知るには、三つの意識(ウニヒピリ、ウハネ、アウマクア)と、三つの体と、三つの
生命電位の性質と役割を知る必要があると思われます。
このような数千年口伝でしか理解されなかったカフナの深遠な知識を、現代に適用する実用
心理学に具体化したロング氏の功績は、はかりしれません。それはまた、カフナの口伝の壮大
さも物語るものです。
一例として、カフナの伝える宇宙創造と人類の発祥と太古史を見てみましょう。ホ・オポノポノの
創始者モナー・シメオナにカフナの秘密の写本を託したL・メルヴィルの記録を要約します。
はじめに、すべての生命の萌芽を秘めた火の塊がラー(Ra:太陽)から飛び出しました。火の塊
は、ケ・アクア(神)の精神と意志と力に誘導されて、ついに軌道に落ち着き、回転し始めました。
徐々に冷える過程で磁場が発生し、それが雨を降らせて熱い大地を冷やし、生命を繁殖させま
した。
ハワイ(Hawai-i:水で清めて)は、この恵みの雨から付けられた名前です。それは「清めによって
生まれた最初の大地」という意味です。この原初の大地は、Rua(火からの生成)ともTahiti-Na
(静かな暁)とも呼ばれました。タヒチの名はここに由来します。
この原初の地に四〇の惑星から来た黄色の髪と赤金色の肌をした神々が降臨します。太陽の
女神(Nana)の命により、ラーイラーイ(Ra'i Ra'i)が人類の創造を担当し、人類は「ポーの生命の
木」(神々の天上界)の枝となって開花しました。
しかし、母なる大地は四つの人類を生み終えて死にます。活火山が連鎖的に噴火して、最高峰
だけを海上に残し大部分が海中に沈み、生き残った民族は世界各地に移り住みました(Children
of the Rainbow)。
ロング氏がその後の歴史をたどっています。エジプトに移民したカフナ十二部族は、呪術の力に
よってピラミッド文明を築きますが、後の時代に情勢が悪化し、最高の宝(呪術の秘密)を守るた
めに、国を脱出して祖国に帰る長旅を開始しました。
一部族はアフリカに残り、一部族は途中で紅海からマダガスカルに移民し、残る十部族がインド洋
経由で各地にフナを植え付けながら、最後にポリネシアにたどり着きました。
私は前の本で、カフナ十部族の船団が祖国に帰還する途中で、日本にも渡来して、古神道の呪術
の基礎を据えたと書きました。本書の至る所にその傍証が見つかります。
十部族の秘儀は十種の神宝、水による清めは禊、暗示と物理的刺激は笛や太鼓や拍手、遠隔
治療は神主による病気平癒祈祷、ティーリーフによる祓いは榊による修祓と、面白いほど対応して
います。マナを過充電する方法は「振魂」として日本独自の発展を遂げたようです。
これは偶然ではありません。ロング氏にフナの研究を託したハワイ・ビショップ博物館のブリガム
博士によれば、「和歌山」という地名は船団を組んでハワイに戻ってきたワケア神から取ったもの
だそうです。記紀の記録もそれを傍証しています。和歌山は呪術と医療の基礎固めをしたスクナ
ヒコナ神が南海に旅立った場所でした。
ロング氏の研究を理解すれば、日本古来のフナ学(霊学)を科学的に解明することも難しくないと
思います。
2009年10月10日 林陽
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