Edward S. Curtis's North American Indian (American Memory, Library of Congress)
ブラック・エルク(インディアン)の祈り
ヘーイ・ア・ア・ヘーイ! ヘーイ・ア・ア・ヘーイ! 先祖よ、偉大な精霊よ、もう一度、 地上の私を見て、私の弱った声を身を乗りだして聞きたまえ。あなたは最初に住み、 そしてすべての願いよりも、またすべての祈りよりも古い。二本脚も四本脚も、空の翼 も、地に生えるすべての緑も、すべてあなたのものだ。あなたは四つの方角の力をた がいに交わらせ、よい道も苦難の道をも交わらせたが、それが交わるところは神聖 だ。日が昇りまた落ちて、来る日も来る日も永遠にあなたは万物の生命だ。だから 偉大な精霊よ、私の先祖よ、私は、宇宙の星や大地の草花、あなたが造られたなに ものをも忘れずに、あなたに祈るのだ。私がまだ若く望みをもつことができたとき、 あなたは私に、苦難の日に、大地の各々の方角に各一回ずつ四たび祈れ。そうすれ ば、あなたは私のいうことを聞くだろう、と言った。今日、絶望の淵にある部族のため に、私はあなたに祈る。あなたは私に聖なる煙管を、私がそれで、あなたに献げもの をするようにと授けた。今それを、あなたは西からの命の水の茶碗と聖なる弓、生か す力と破壊する力を私に授けた。あなたは私に、白い巨人の住むところから聖なる風 と薬草 --- 清める力と癒す力 --- を授けた。東からは暁の明星と煙管とを授けた。 そして、南からは民族の聖なる輪と花の咲く木とを授けた。あなたは世界の中心へ私 をつれて行き、唯一の母なる緑に染まる大地の善と美と力とを示し、そこでまた、万物 本来の姿である霊の姿を私に示し、私はそれを見た。あなたは、この聖なる輪の中心 で、私に木に花を咲かせるようにと言った。涙を流しながら、おお偉大な精霊よ、偉大 な精霊よ、私の先祖よ、涙を流しながら私は木に花を咲かせなかったと言わなければ ならない。私はここに哀れな老人となって立っている。そして、私は衰えてしまった、 何もできなかった。ここは、私の若い日に、あなたが私をつれてきて私に教えた世界 の中心、ここにいま私は年老いて立っている。木は萎れている。先祖よ、私の先祖よ。 いま一度、そして、おそらくこの世では最後に、私はあなたが授けた偉大なビジョンを 思いおこしている。あるいは聖なる木のどれか小さな根がまだ生きているかもしれな い。もしそうならば、それが葉を出し花を咲かせ、さえずる鳥で満ちあふれるように なるようにその根を養いたまえ。私のためではなく、私の民のために聞きたまえ。私 は年老いている。聞きたまえ、彼らがまた聖なる輪に立ち帰り、善なる赤い道と、盾と なる木を見つけることができるように! おお、世界の六つの力よ。悲しみのなかで わたしは弱々しい声で祈っている。悲しんでいる私の声を聞きたまえ。なぜなら、私は もう二度と祈らないかも知れないから。おお、なにとぞ、私の部族を生きさせたまえ!
J・G ナイハルト著 大島良行訳 合同出版 より引用
心に残る言葉「ブラック・エルク(オガララ・ラコタ族)の言葉」を参照されたし
|