
Edward S. Curtis's North American Indian (American Memory, Library of Congress)
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だが、今こそわしらインディアンが、生き方の見本を天下に示さねばならない。 どうすれば自分の兄弟たちと共に生きることができるのか?兄弟たちを使うの でもなく、殺すのでもなく、傷つけるのでもない方法。それを見せてやらなくては ならない。わしらは、わしらの一部である生命を持つパイプと共に、平和を祈り つづける。戦争のあるところに平和のもたらされんことを祈り、わしらの国に平和 のもたらされんことを祈る。わしらは、ご覧のとおり今なおここを「自分たちの国」 とよぶ。なるほど物理的には、さまざまな国から来たさまざまな人種のひとたち が、わしらの国の土地という土地を全部所有してしまってはいる。しかし、それ でもなお、ここはわしらのものであるのだ。土地というものはけっしてひとりの人 間に帰属するものではなく、すべての人々と、これから生まれてくる者たちのも のものであるのだからな。わしもパイプを人類のために使うようにせにゃならん。 人類は今、自己破滅の道のうえにいる。なんとしても、わしらは、パイプの道、 赤い道、生命の道に戻るようにしなくてはならない。自分で自分の首を絞めつつ ある白人を、なんとしても救うように努めなければならない。インディアンとイン ディアンでないとにかかわらず、わしらのひとり残らず全員が、他所から来た敵 として自らの意志を地球に押しつけるのではなく、もう一度自分たちをこの地球 の一部として見れるようになれたとき、そのときはじめて、それも成し遂げられよ う。なぜなら、わしらはただパイプの意味を知っているのみならず、人間もまた 地球の生きている一部であり、母なる地球の肉体をほんの一部でも傷つければ、 それはすなわち自分自身を傷つけることにほかならぬことを、知ってもいるからだ。 おそらく、この聖なるパイプをもってすれば、政治家たちや、企業家たちや、専門 の技術者たちが「現実」としてわしらに押しつけてきているこの汚染された大気の 雲をとおして、そのむこう側を見ることだって、互いにもう一度学び合うことができる だろう。このパイプをとおして、自分の内側のもっとも深いところに住み着いている わしらの最大の敵とのあいだにも、おそらくは平和を作りあげることができる。この パイプがあれば、わしら全員が、もう一度、あの終わりのない輪を形作ることも できるのだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リチャード・アードス編 北山耕平 訳 河出書房新社 より引用
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