Edward S. Curtis's North American Indian (American Memory, Library of Congress)
シアルス(シアトル)首長の予言(1853)
白人が我々の生き方を理解しようとしないのは、わかっている。彼らにとっては、 この土地もあの土地も同じなのだ。彼らは、夜にやってきて、必要なものすべて 奪っていくよそ者である。地球は、彼らにとっては、兄弟ではなく敵なのだ。征服 しては、ただ前進していく。彼らの食欲は尽きることなく地球を貪り食い、彼らが 通ったあとは砂漠しか残らない。空気は、インディアンにとって貴重なものだ。動 物も木も人間も、すべてのものが同じ空気を吸って生きている。だが、白人たち は、自分たちが吸っている空気に気づかない。何日も死んでいた人間のように、 嗅覚が麻痺しているのだ・・・・・。・・・・・わしは、白人に汽車の中から撃た れて、そのまま大草原に放置されて腐ったバッファローの死体を何千と見た。 彼らは、生きるためにだけバッファローを殺す我々を野蛮人だと言う。煙を吐く 鉄の馬の方がずっと大切だということが野蛮人だから理解できないのだと言う。
同胞よ、動物がいなくなって、何が人間だというのか?もし、すべての動物が 地上からいなくなってしまったら、人間は魂のひどい孤独感で死んでしまうだ ろう。動物に起こったことは、いずれ人間にも起こるからだ。すべての命は、 つながっているのだ。・・・・・我々が子供に教えてきたことを、自分たちの子 供に教えるがいい。地球が自らの母であることを伝えるのだ。地球にふりかか る出来事は、その子供たちにもふりかかるのだということを。人間が地球に唾 を吐けば、自分自身に唾を吐いていることになるのだということを。我々にわ かっていることは、地球は、人間のものではないということ。人間が、地球の ものなのだ。そして、すべてのものが一つの家族を結ぶ血のようにつながっ ているということである。すべては一つに結ばれているのだ。・・・・・。
友人のように共に歩き語る神を持つ白人でさえ、共通の運命から逃れること はできない。結局、我々は兄弟だったのだといずれわかるときが来る。一つ 確かなことは、いつか、我々の神が、白人が崇めていた神と同じ一つのもの だったとわかる時が来ることだ。今は、我々の土地を望んだように、神を自 分たちだけのものだと思っているだろう。だが、それは出来ないことなのだ。 神とは人間の神であり、神の慈悲は、赤色人種であろうと白色人種であろ うと平等に与えられる。神にとってもこの地球は大切なものである。地球を 傷つけることは、その創造主を侮辱することだ。白人もやがて死ぬときが来 る。白人は、我々より早く滅び去るだろう。自分の寝床を汚していけば、 自分が出した排泄物の中で、ある夜、窒息死することになるだろう。・・・
しかし、白人が死ぬとき、白人をこの大陸に導き入れ、ある特別な目的の ためにこの大陸とインディアンを支配する力を与えた神の力ある手により、 白人に火がつけられる。それは、まぶしいほどの輝きとなるだろう。なぜ、 神が白人をこの地にもたらしたのかは謎のままである。バッファローが、 いつ全滅させられたのか、いつ野生の馬が飼いならされたのか、いつから、 深い森の神秘の世界にまで白人の匂いがしみこんでしまったのか、いつから 実りの深い山々が電線だらけになってしまったのか、何もわからない。 雑木林は、どこにあるのか? 消えてしまった。鷲たちは? 消えてしまった。 生あるものの終わりと、生き残るものの新しい世界の始まりである。・・・
「インディアンの大予言」サン・ベア&ワブン・ウインド著 扶桑社より引用
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