Achomawi mother and child
Edward S. Curtis's North American Indian (American Memory, Library of Congress)
美しい人生を ベア・ハート(ムスコギ・クリーク族 祈祷師 1918年生まれ) 「母なる風の教え」より引用
私が生後三日目のときのこと、母はわたしを家の近くの丘の上に連れていき、母なる自然 に紹介してくれた。まず四つの方角 ---- 東、南、西、北。「この子に特別な祝福をお願い します。あなたがたは、わたしたちの暮らしをとりまき、わたしたちを生かしてくれていま す。どうかこの子を守り、調和のとれた人生を送ることができますようお導きください」 そ れから母は、わたしの小さな足を大地につけた。「母なる大地よ、いずれこの子も、あな たの上で歩き、遊び、走り回るようになります。わたしは、この子があなたに敬意を抱くよ うに育てていきます。どうかこの子を支え、お守りください」 それから太陽に紹介された。 「父なる太陽よ、成長していくこの子に光を注いでください。この子のからだのすべての 部分が、肉体的のみならず精神的にもそこやかに育ちますように。どうか、あなたのあ たたかで愛情に満ちた力で、この子を包み込んでください。もちろん人生には曇りの日 もあるでしょうが、そんなときでもあなたが輝き続けていることはわかっています。どうか この子を照らし、お守りくださいますよう」 母はわたしを抱き上げ風にあててから、話し 出した。「どうかこの子をお見知りおきください。風は強く吹くときもあれば、やさしいとき もありますが、この子が常にその存在の意義を理解しながら成長することができますよ うに」 次に水に紹介された。「水よ、わたしたちはあなたなしでは生きることができませ ん。水は命の源です。どうかこの子が、渇きを味わうことがありませんように」 それか ら母は、わたしの額に灰をのせて言った。「火よ、この子の人生の障害となるものを焼 き払ってください。この子が、あらゆる命を愛し敬うことを学んでいく途上でつまずくこと がありませんように」 夜になると、満月と星に紹介された。すべての自然が、わたし の成長を見守ってくれた。わたしは母なる大地が与えてくれた星のじゅうたんの上を走 り回って成長した。わたしが吸い込む空気は、命を保ち、吐き出すときには、からだじ ゅうのすべての毒素をとり去ってくれた。わたしは成長するにつれ、自然とのつながり を意識するようになった。それは、わたしの部族が自然と深く関わっているせいだろ う。わが部族の民の大半が、いともたやすく周囲の環境になじむことができたのもそ のためであろう。わたしはずっと昔に、自分のまわりに多くの生命が息づいているこ とを知った ---- 水の中に、土の中に、植物の中に。子供たちは幼い頃に自然に 紹介されるために、成長していく過程で、自然を見下したり、見上げすぎたりという ことがなくなる。我々は自分が自然の一部であり、ほかの生物と同等であることを感 じ、草の葉一枚、木の葉一枚にいたるまで大切にしてきたのである。
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