2015年12月24日の夜明け(6時06分〜7時11分)の光景です。
2015年12月24日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 本日12月24日の夜明けです。 今から24年前に創った散文詩(星夜の調べ)を載せます。 この中に出てくる戦時中の出来事は実話で、「世界のうらおもて」カンドウ神父・著に書かれています。 ☆☆☆ オリオンの三つ星たちよ 凍える冬の天空にお前は腰掛け その胎内からは光を与えられた星々が生まれる 薄い赤味を帯びた雲は まるで鳩が平和という願いの翼をひろげ 飛翔しているかのよう 大地に夜の帳が落ち 明日のために羽根を休める時 アルビレオの星がその頭上に輝く 見るがいい この対比は一体どうしたことだろう 黄玉と青宝石の異なる輝きを擁く二つの星が 恋人のように寄り添う これらの星はどの地にも 余す所無く光の粒子を落とす それが戦争という極限の状況に置かれた 兵士の上にでも さあ僕と一緒においで 君をある過去に連れて行ってあげよう あの四辺形に見える星々を見てごらん あれはペガスス座といって翼を持った天馬のことなんだ そのα星までの距離 約八十光年 この星を見つめてごらん 僕たちの瞳に飛びこんでくる光の粒子は八十年前のもの それは欧州に多くの血が流された 第一次世界大戦の時なのだ 闇を突き刺す砲弾の音 恐れ逃げ惑う足音 街はもうすぐクリスマスを迎えようとしていた そして それは同じく 前線の兵士たちの上にも 彼らは夜になっても続く 激しい戦闘と厳しい寒さに疲れ切っていた 凍傷で足を切断することを恐れ 缶詰の空缶に炭を入れ靴に縛りつける 靴の底が焼けても構わず 唯、我武者羅に 数十メートル先の敵の塹壕目掛けて 手榴弾を投げ合っていた 兵士の一人が呟いた ああ 今頃みんな教会で讃美歌を歌っているだろうな といきなり 「天に栄光 地には平安」と クリスマスの聖歌を唄い出した その歌は広がり 塹壕中 大合唱になった それを聞いていたドイツ軍の塹壕が 何となくひっそりしたと思うと 途端に張りのある美しい何部合唱かで コーラスに加わってきた 君にも聞こえるだろう 降誕祭を祝う調べが あらゆる讃美歌が 敵、味方なく交互に歌い継がれてゆく 彼らの瞳は オリオンの整然と並んだ 七つの星に見入っただろう 兵士たちは手榴弾を持つことを忘れ その瞳はゆっくりと閉じてゆく まるで幾年か前に 家族と共に楽しく過ごしたクリスマスに 優るとも劣らない 平和な鳩を抱きしめたのだ さあこの地を離れよう 明日になれば 兵士たちは再び手榴弾を握るのだろう アルビレオよ 何故お前たちは そのように寄り添っていられるのだ 全く異なる二つの星が 私の目には一本の松明としか映らない 何故 人類は お前のように生きていけないのだ 思想が異なる為なのか 民族が異なる為なのか 宗教が異なる為なのか 何故このことの為 人は憎み合い争わねばならないのか アルビレオよ 教えてくれ 二つの異なる光が何故そのように共に輝いていられるのだ アルビレオよ 私を見ておくれ 私は弱く醜い姿を曝け出している 唯 私はこの体内に心の平和が宿ることを願いたい どのような理想国家が机上にて産み出されようとも どのような奇跡が人々の前に現れようとも 一人一人に 人を憎むことのない心の平和が体現しない限り 戦争という不幸は永久に生き続けることだろう 君の瞳に写し出されているアルビレオは三百五十年前の姿 この星から船出した二つの光芒は 三百五十年後 どのような地球・人類を見ることになるのだろうか 今 時は一九九二年・降誕祭 |