カチナ
「アメリカ先住民の宗教」P・R・ハーツ著 西本あづさ訳 より引用
最も複雑で神聖な衣装といえば、ホピ族やその他の南西地方の部族のカチナの衣装であろう。
カチナとは、ホピ族が最初に地下から現れた時に儀式や習慣を教えてもらった神聖な祖先の
精霊たちである。カチナは何百もいるが、それぞれが一目ですぐに見分けられる独特な様式化
された特徴を持っている。カチナにはいくつもの自然界を象徴する要素が含まれている。彼らは
動物の精霊と植物の精霊の両方を体現しており、それと同時に、空や太陽、天候、戦い、怪物、
聖なる道化など多くのものを表している。彼らは精霊の世界を象徴しているので、その姿は写実
的である必要はない。例えば、あるカチナの髪は小麦や羽根、あるいは花でできているかもしれ
ないし、場合によっては、雨が降る様子を暗示するためにそれが切られることもあるだろう。顔
は、虹であったり、動物の鼻であったり、縞や図案の組み合わせだったりする。さらにカチナは、
例えば特定の動物の毛皮や、特徴ある模様の毛布、武器、楽器、植物といった、はっきり目安
になる特別な品を持っていたり、身につけていたりする。ホピ族の人々は、カチナの衣装と仮面
をつけた踊り手には、そのカチナの精霊が宿ると信じている。カチナの踊り手を通じて、部族の
人々の祈りは宇宙の高き存在の力により速く届くのだ。
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