「伝説のアメリカン・ヒーロー」

西江雅之著 岩波書店











アメリカのルーツに出会う40章という題で、先住民の戦い・フロンティア精神の伝統・

マイノリティーの歴史・移民文化の創出など光と陰の物語が紹介されている。この中

にはサカガウェア(建国の母となったインディアン)、セコイア(チェロキー文字を創っ

た男)、ジェロニモ(アパッチ族のスーパー・ヒーロー)、イシ(二つの世界を生きたイン

ディアン)、エドワード・S・カーティス(インディアンの威厳を撮る)、アパッチ族(異人と

の遭遇で失ったもの)、セミノール族(フロリダに自由を求めて)、ココペッリ(砂漠の

フルート吹き)、タバコ(聖なる煙、精霊との交わり)、バッファロー(甦るアメリカの象

徴)などインディアンに関する項目も多数含まれている。

(K.K)







目次


T 英雄たちの肖像

メリウェザー・ルイス(大探検の後で)

サカガウェア(建国の母となったインディアン)

ディヴィ・クロケット(半身馬、半身鰐の英雄)

セコイア(チェロキー文字を創った男)

マリー・ラヴォー(ヴードゥ教の女王)

ジョン・J・オーデュボン(野鳥を描き続けた生涯)

ラナルド・マクドナルド(サムライの英会話教師)

ビリー・ザ・キッド(伝説に彩られた西部のアウトロー)

ジェシー・ジェイムズ(銀行強盗第一号の美談)

ジェロニモ(アパッチ族のスーパー・ヒーロー)

ラフカディオ・ハーン(ニューオーリンズの作家時代)

ジョージ・W・ケイブル(故郷なき大作家)

アニー・オークリー(伝説の天才ガン・ウーマン)

マシュー・A・ヘンソン(もう一人の北極点一番乗り)

パージヴァル・ローウェル(冥王星の発見者)

イシ(二つの世界を生きたインディアン)

エドワード・S・カーティス(インディアンの威厳を撮る)

エドガー・R・バロウズ(ターザンを創った男)

ハリー・G・C・パッカード(今世紀最大の日本美術コレクション)


U歴史を物語る人々

アパッチ族(異人との遭遇で失ったもの)

ケイジャン(ルイジアナに渡ったフランスの血)

アーミッシュ(静かな暮らしを守り続ける人々)

マウンテンマン(ビーヴァーの毛皮に命をかけて)

セミノール族(フロリダに自由を求めて)

ブラック・インディアン(マイノリティーの中のマイノリティー)

ブラック・カウボーイ(荒野で活躍した5000人)

カウガール(写真が広めたスターたち)

リングリング・ブラザーズ(夢を運んだサーカス団)

アラブ・アメリカン・ムスリム(西アジアから、西アフリカから)

ラスタファリ(抵抗の言語を編むレゲエ)

チャイニーズ・ニューヨーカー(21万人のコミュニティ)


V記憶のかたち

ココペッリ(砂漠のフルート吹き)

タバコ(聖なる煙、精霊との交わり)

バッファロー(蘇るアメリカの象徴)

リョコウバト(半世紀で空から消えた野鳥)

ニイハウ島(我が家は地球儀の上に)

与那国島(アメリカのちぎれ雲)

サンテリーア(アフリカの音が流れる)

クワンザア(アフリカン・アメリカンの祝日)

クレオル語(出会いがもたらしたもの)





わたしの記憶の中に、こうした話が何十年も生き続けてきた理由は、たぶん、それらが

合理的な話でもなく、知性的な話でもないからなのだろう。それらは、頭などではなくて、

人間の心を掴む話なのである。ある土地の英雄。それは主人公を肴にして、周辺の人

々が寄ってたかってでっち上げた人物像と言ってもよい。それは過去に向かって探求さ

れた自分たちの文化の理想像なのではなくて、人々が理想とする未来の文化像が顕

わに表現されたものなのである。そして、そこに見られる理想の素晴らしさとは、それ

が別の時代、他の世界では正しいとは限らないという点にあるのだ。西暦2000年。

人々は知の文化に包まれて生きている。そこでは世界を自分の感覚で“納得”するの

ではなくて、自らの知力で“理解”するか、理解に向けて“説得”されることを望む。妄想

じみた“夢”よりは、誤りのない“現実への対処”を重視する。夢見るホラ吹きなどは、

その身を置く場所すらない。わずか数十年前まで存在した伝説のアメリカン・ヒーロー

たちとその作者や語り手たちは、今や姿を消そうとしている。日々改良される新しい

情報機器によって可能になった表現世界の虜に人々がなってしまっていることも、その

理由の一つかもしれない。そこでは、人々は他人が作成し、他人から与えられる夢を、

万人共通であるべきものとして見る。そのことでは、アメリカも日本もインドもアフリカ

諸国も状況は同じである。それを“地球化”の一例と言うならば、そうした世界に生きる

ことになる今後の世代の人々には、この本に登場した人物や生き物は無意味なもの

となってくる。忘れ去られ無縁となる。世界は寂しいものとなるのだろうか。

(本書・あとがき 西江雅之 より引用)








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