「インディアンは、決して嘘をつかない」

ハービー・アーデン編著 矢鋪紀子訳

サンマーク出版 より引用






マシュー・キング(Mathew King)

ラコタ族の宗教儀式をつかさどる著名な酋長でありスポークスマン。

インディアン問題に取り組む「霊的な戦士」であり、1960年代後半に

始まったインディアンの権利回復運動における卓越したリーダーの

一人。そのメッセージは人類、国家、そして社会のあるべき姿を示唆

している(マシュー・キングの言葉並びに紹介は、本文献から引用

させていただきました)。1989年3月18日亡くなる。


マシュー・キングの名前を初めて知ったのは「ネイティブ・アメリカン 叡智の

守りびと」という文献からであった。この文献は著者が多くの部族の長老へと

出向き、直接聞き取った素晴らしい文献であるが、この中にマシュー・キング

も紹介されていた。彼の歯に衣を着せない鋭い言葉がとても印象的だったの

を思い出す。そして同じ著者によるこの「インディアンは、決して嘘をつかない」

は、マシュー・キングが後の世の役に立つとトランクにしまってあった言葉を紹

介した、いわば彼の遺言である。無私の人として部族やインディアンのために

奔走してきた彼が、私たちのために残そうと思った言葉、そしてその想いが

この遺言に込められており、感銘を受けずにはいられない。

2003年9月2日 (K.K)


 




世界の三つの力(マシュー・キングの言葉)

本書より引用


神はわしらが使えるように、三つの力をこの世に与えた。わしらにはそれら

すべてが必要だ。わしらインディアンは、三つの力すべてを知っている。百万

年もかけて、わしらはそれらを見つけたのだ。三つの力とは、物質の力、霊

的な力、そして超自然的な力だ。物質の力は、この大地の善良さだ。霊的な

力は、人間の善良さだ。超自然的な力は、神、グレート・スピリットの善良さ

だ。三つの力は、すべて別々のものだ。それらはつながっていない。それら

を結びつけるのは、人間の仕事なのだ。



わしらは祈ったり、セレモニーを行なったり、行動したりすることによって、三

つの力を結びつける。すべてのよい行いは、神の創造を支える柱になる。す

べての祈りが、この世を支えている。サンダンス(木片や骨片で胸や背を串

刺しにし、肉や血を捧げる)などのセレモニーは、三つの力をつないで宇宙

の調和を保つ。物質の力は、人々を最も強くひきつける。それは、この大地

の物事を楽しむために神がわしらに与えてくれた力だ。物質の力しか存在し

ないと考える人々もいる。ウランを神が置いた場所から掘り出して原子爆弾

を作り、人殺しをするような人々だ。そして、彼らは教会に行って叫ぶんだ。

「神よ、私たちを祝福してください。私たちがあなたの世界を支配するのを助

けてください」 まったくありえない話だ。神は彼らを助けたりはしない。彼ら

はこの世を支配できない。この世は神のものであり、神だけがこの世を支配

できるのだ。



第二の力は、霊的な力だ。霊的な力がなければ、物質の力はすべて命ある

ものを破壊してしまうだろう。霊性のない物質主義は、この世の呪いだ。霊的

な力とは、よい行動をする力である。祈る力であり、神に語りかける力であり、

神の声に耳を傾ける力であり、神の導きにしたがう力だ。ただ、そうしなけれ

ばならないというものではない。どの道に進むべきかは、わしらにまかされて

いる。それが霊的な力であり、神がわしらに恵んでくれた二つめの力だ。

それは、わしらを人間にしてくれる。



第三の力は、超自然的な力だ。神が自分のつくった世界に入ってくる力で、

神直接の力だ。それは神そのもの、グレート・ミステリーにかかわる力だ。だれ

もその力を我がものとして使うことはできない。使うとしたら、それは妖術だ。

人のその力を使うのではなく、その力じたいが人を使うものなんだ。わしらを助

けるため、超自然的な力がやってくるときがある。わしらにその力はコントロー

ルできないが、それでもその力は必要なときにやってきて、わしらを助けてく

れる。神に心を開いていて、自分の霊的な力を使っているなら、神はおまえさ

んを助けるために神の超自然の力を使ってくれるだろう。

それは、わしらに永遠の生命を与えてくれる力だ。

それは、わしらの祈りにこたえてくれる力だ。

それは、グレート・リアリティ(偉大な現実)なんだ。


 
 


目次

マシュー・キングのことば

わしは何者か

グレート・ミステリー

神に語りかける

神の声を聞く

祈り

ビジョン、夢、奇跡

神の導き

尊重

この世はよきものだ

だれもが神聖だ

神の慈悲

分かち合い

神はすべてをとてもシンプルに創った

神のすみか

白人は、すべてまちがった解釈をする

わしはどのように知恵を得たか

長老たちの教え

家族

死の歌

寿命

世界の三つの力

グレート・リアリティ

神の裁き(預言)

ビジョン

パイプの力

神の癒し

自分の力を見いだす

悪い行為

インディアンは、決して嘘をつかない

ウンデッドニー

名前の力

悲しい物語

邪悪さ

スポテッド・テイル酋長が語ったこと

シッティング・ブルの反論

ブラックヒルズ

おまえさん方はわしらにどう償うつもりか

おまえさん方はわしらに感謝したことが一度もない

連邦議会議員との会話

わしはなぜ、こういったことをしているのか

おまえさん方は何をすべきか

わしの人生について

白人が来る前

白人へのメッセージ


マシュー・キングについて

マシュー・キングが残したもの

マシュー・キングの思い出

ジョー・フライング・バイ(スタンディングロック・リザベーションに住むラコタ族の伝統派長老)

デイブ酋長(パインリッジ・リザベーションに住むラコタ族の長老)

チャールズ・アバウレック(インディアン問題に長年深くかかわってきたラピッドシティーの弁護士)

オレン・ライオンズ酋長(オノンダガ・ネーションの信仰の守り手で、イロコイ六部族連合のスポークスマン)

ケビン・マックキールナン(ジャーナリスト)

ラボン・キング(マシューの娘)

シャラ・グリフィン・ゴンザレス(マシューの友人)

スコット・バータ(サンダンスの歌い手)


終わりに


 


2012年4月20日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。



ダウン症の女流書家【金澤翔子】の活動とパソコン教室日記 より引用



「ことだま」 金澤翔子さん・書 写真は他のサイトより引用



「ことだま」という言葉の響きにずっとひかれていた。



言葉というものは体の中から外の世界へ吹きだされる風、その風に乗ってつむぎだされていく。



昔の人はこの言葉に霊力があると感じてたが、そのように捉える感性を私は忘れてしまってい

るように感じる。



言葉に霊力があるから、決して嘘をついてはいけない。



これはアイヌインディアン世界の先住民族に共通する捉え方だったように思う。



しかし、私から吐き出される言葉から嘘が時どき出てしまう。



相手のことを考えた「いい嘘」もあれば、そうでない「わるい嘘」もある。



金澤翔子さんが書いた「言霊」に接すると、本来の言葉のもつ霊力を感じ、立ち戻らなければ

と感じてしまう。



(K.K)



 







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