「新訂 ほしぞらの探訪 肉眼・双眼鏡・小望遠鏡による」
山田卓 著 地人書館
私自身この本が大好きです。肉眼・双眼鏡での天体紹介は内容がとても充実しておりま
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まえがき 星空観望のたのしみ (本書より引用)
本書は、はじめて天体望遠鏡を手にした人、その天体望遠鏡が手におえなくて、活用できないまま 物置の片すみにしまいこんでしまった人、あるいは、これから天体望遠鏡を手に入れたいとおもって いる人のための、星空探訪のガイドブック(星空の観光案内)として書いたものだ。
多くの人がはじめて手にする望遠鏡は、口径5cmクラスの屈折望遠鏡がほとんどで、ちょっとコリ屋 が口径10cmクラスの反射望遠鏡をえらぶといったところだろう。
いずれも、小口径望遠鏡の仲間にはいるものだが、「月のクレーターと、土星のリングと、木星の縞 もようと4つの衛星をみたら、あとはつまらなくて見るものがなくなってしまった」とか、ろくな使いもしな いうちに、“望遠鏡の口径別能力一らん表”に書いてあるような知識が先行して、「口径20cmぐらい なきゃ、観測なんてできないよ」と、自分の小口径望遠鏡がいやになってしまったとか・・・・。
せっかく天体望遠鏡を手に入れながら、星空の魅力を知ることもなく物置入りさせてしまうケースも少 ないくない。ときには、幻滅をかんじて、一生ふりむきもしなくなる人すらあることは、たいへん残念な ことだ。
星空の魅力が感じられないのは、けっして望遠鏡の口径の小さいせいではない。原因は、十分につ かいこなすことのできないその人自身にあるのだ。
釣りのほんとうの楽しみは、立派な釣道具をつかうことでもなければ、釣った魚の大きさでも、魚の数 でもない。
他人の釣道具や、釣られた魚の大きさや数を競うのは、釣の楽しみを大きくするための、1手段にす ぎないことを忘れてはならない。
星空をみる楽しみもおなじだ。
星を見ることが、自分をみつめる時をつくり、いっしょうけんめい星をさがすことが、いつのまにか大 自然との対話に生まれかわり、生きるこのに意欲的で、より積極的なあなたの人生観を育てること に役立てばいいのだ。
本書には、肉眼と双眼鏡と小口径望遠鏡の対象となる主な星座と、各星座ごとの主な星と星団・星雲 をあつめた。
あなたは、本書を手がかりに、ここに集録された星座と、星団・星雲その他を、かたっぱしからさがし ていただきたい。
「星座や、星雲・星団をさがして見て、なんの役に立つのだろう?」などという疑問については、このさい 考えないで、とにかくさがしてほしい。
もし、なにか目標が必要なら、ここに集録された“全星座と、主な星”を肉眼と双眼鏡で確認し、集録さ れた“星団・星雲のうち100個以上”を、双眼鏡と小口径望遠鏡をつかって、自分の目で確認できるまで がんばってみてはどうだろう。
はじめは、なかなか思うにまかせず、おもったより手こずるかもしれない。星空への挑戦といった気持ち でかからないと、目標の達成はむずかしいだろう。
なれるにしたがって、目標にちかづくことが楽しみになるし、能率もあがるはずだ。
あなたの疑問にたいする答は、この目標を達成すること、星空の魅力が、ごく自然にあなた自身に教えて くれるだろう。
星空本来の魅力を知ったあなたにとっては、双眼鏡も小口径望遠鏡も、いつも自分の手もとにあって、こ とあるごとに、庭先で、海で、山で、星空との対話の仲だちをしてくれる。
より星空の魅力に接近するために、大口径望遠鏡を手に入れるのもいいだろうし、より楽しみを深めるた めに、観望から観測にうつるのも一方法だ。
だからといって、もう小望遠鏡が物置入りにすることはないだろう。
大天文台の大望遠鏡にもない、小望遠鏡にだけある魅力を知ってしまったからだ。
まずは、とにかく、星空のガイドブックを片手に、星空探索の旅にでかけることにしよう。
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