「NHK趣味悠々 親子のための星空観察」

大野裕明・講師 藤井旭・監修 日本放送出版協会 より



「夜空の宝石箱」 大野裕明 本書より


「田舎はいいよなー。星がとってもよく見えて!」 都会に住む星仲間は、口癖のように

言います。確かにネオンや街灯がこうこうと輝く都市部に暮らす仲間にすれば、福島で

観測できる私などは、宝石箱の中に住んでいるように思えるのでしょう。この世のもの

とは思えない、すばらしい星の世界・・・・・・・。おとぎ話に出てきそうな「夜空の宝石箱」

は、本物の宝物です。都市に暮らそうと地方に暮らそうと、光に埋もれて夜を過ごして

いる方には、想像もつかないことかもしれません。でもそれは、余分な光がいたずらを

して、星々の輝きを消し去っているだけなのです。また忙しい人の営みの中では、天に

輝く星のことなど、ふだん眼中にないかもしれません。けれどヘール・ボップ彗星やしし

座流星群の訪れが報じられると、なぜか人の心は踊るのです。そんなとき、久しぶりに

夜空を仰ぎ見る。「へぇー! こんなに星があるんだ!」とあらためて感動した覚えは、

どなたにもあることでしょう。心躍らせる星空を、いっしょに見上げてみませんか。


今から5000年の昔、チグリス川とユーフラテス川流域の放牧民が、夜ごと輝く天の星

を結び合わせ、現在の星座の基本をつくったといわれています。あなたを例にとっても

いいのですが、現代に生きる人々はこの1年間に、この放牧民のように星空を見上げ

ることが、はたして何度あったでしょうか。漆黒の夜は望めなくても、玄関口やベランダ

に立ち、ものの数十秒見上げるだけでも、あなたはスターウォッチングの入り口にいま

す。たとえ天体望遠鏡がなくても、星座を観賞できたり流星が見られたりと楽しさいっ

ぱい。美しい星の世界と出会う方法はたくさんあり、少しも難しくありません。ほんの少

しのコツをつかむだけで、あなたはもうスターウォッチャーなのです。


星に興味を持ち、そのすばらしさを知るだけで、人生が楽しくなります。特に子どもたち

は、その澄んだ瞳で、大人たちよりずっと多くの星を見つけることができるのです。星空

観察会をしていると、子どもたちの汚れない瞳のすばらしさに感動することさえあります。

「子どものときにこそ、星空を見せてあげたい。それは一生の心の宝物になるから」 

これが、わたしたちスターウォッチャーの心からの願いです。


この「親子のための星空観察」は、楽しみながら覚える「天文楽」と、わたしたち人間の

「文化」と星のかかわりを見ていくという、「てんもんがく」ならぬ「てんぶんがく」という要素

を交えながら説いていく「普段着の天文学」です。決して難しい狭い門ではありません。

親子を中心とした皆さんの心の中に、星空が豊かに輝けばと願いながら、進めていくこ

とにいたしましょう。


 
 


本書の内容紹介


「星空と出会う 星空と遊ぶ」

星空キャンプ 天文台・バンガロー・ロッジ 観望会 ペンション プラネタリウム 科学館


「金星と木星がUFOになる日!?」

方位の調べ方 惑星の見分け方 黄道12星座


「星座さがしはオリオン座から」

冬の代表星座 天球と星の運行 カノープスに挑戦 あると便利な星空観察グッズ


「大人は7個、子どもは14個?」

星雲・星団カタログ 星雲・星団の種類 星雲・星団の見つけ方


「流れ星に願いをかけよう」

流れ星をのがさないコツ 肉眼で楽しむ月 代表的な彗星 双眼鏡の使い方


「土星の環を見よう」

天体望遠鏡の種類 架台の種類と機能 天体望遠鏡の性能 天体望遠鏡の使い方


「自分で天体望遠鏡を手作りしよう」

天体望遠鏡の作り方


「天体望遠鏡で夜空の宝石ひろい」

まずは身近な月から始めよう 惑星をよーく見てみよう これで星雲・星団がたくさん見える


「天体写真・ビデオを撮ろう」

固定カメラで写す 天体別撮影テクニック 月の写し方


「夜空の文学散歩」

星空のフォークロア



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双眼鏡で見る春の星空 双眼鏡で見る夏の星空

双眼鏡で見る秋の星空 双眼鏡で見る冬の星空

天体観測に適した小・中口径の双眼鏡

天体観測に適した大口径の双眼鏡

(映し出されるまで時間がかかる場合があります)

いい双眼鏡とはどんなもの

雑記帳(魅せられたもの)

神を待ちのぞむ

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