双眼鏡で10倍というのは対象までの距離が10分の1になったのと同じ事
です。つまりバードウォッチングなら50m先の鳥も5mの距離まで引きつけ
て見ていることになります。地球から月までは38万kmですが、この月を10
倍の双眼鏡で見るということは、月を3万8000kmまで引き寄せて見ている
事になります。静止衛星の軌道の高さが3万6000kmですからすぐそばと
言ってもいい近さです。逆に考えれば月を3万8000kmの上空から見てい
るという事にもなります。これはアポロ宇宙船の飛行士達が月へ向かう途
中で見ていた月の姿と同じです。100倍の望遠鏡なら3800km、宇宙飛行士
達は着陸の準備を始めている頃でしょう。10倍で木星のガリレオ衛星を見
る時、私たちは木星までの10分の9を一気に旅行したことになるわけです。
双眼鏡ひとつで実は宇宙旅行ができるのです。要は想像力。
「はじめてのスターウォッチング 星を見に行く」えびなみつる著 より引用
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