大マゼラン雲中のタランチュラ星雲の中にあるホッジ301(Hodge 301)
大マゼラン雲は地球から16万光年の彼方にあり、私たちの銀河系の伴銀河と考えられて
いる不規則銀河だよ。15世紀ポルトガルの船乗りによって西洋に紹介されたことにより、
フェルディナンド・マゼランをたたえて命名されたんだ。この大マゼラン雲の中には、散開星
団や球状星団そして星間分子雲などが存在しているけれども、その中でも上の画像に見え
るタランチュラ星雲と呼ばれている散光星雲はとても美しいものだよ。この星雲には星の一
生の最後の姿である巨星が沢山あるんだ。そしてその中の一つの巨星が1987年2月24日
超新星爆発を起こした。銀河近傍では1604年のケプラーの超新星以来の出現だったから
世界中の様々な観測機器がこの星に向けられたんだ。この超新星爆発は一つの銀河では
100年に一度起こるかどうかの大変めずらしい現象だよ。このSN1987Aと呼ばれたこの超
超新星爆発を起こした星の重さは太陽の約20倍、直径は30-40倍もある青色超巨星で、
爆発時の明るさは太陽の約2億倍にもなったというから、どんなに凄い爆発だったか私達に
はとても想像できないね。赤色超巨星から青色超巨星(重元素が少ない場合なるんだ)に
なり爆発した珍しい例なんだ。今この瞬間でもこの爆発によって放出されたガスや残骸が
秒速500kmというスピードで、その周囲を取り囲むタランチュラ星雲を貫いている。そして
星雲中のガスを押して衝撃を与え、上の画像の左上に見られるような平面形状のものや
フィラメント形状として見られるんだ。この超新星爆発が多く行われていると思われている
のが画像の右下の部分で、ホッジ301(Hodge 301)と呼ばれている、明るく輝く大質量星の
集団なんだよ。現在この中には、赤色巨星が3個あり、いつかはわからないが超新星爆発
してゆくことになる。星の爆発という形で星の一生は終るわけだけども、飛び散ったガスや
残骸が集まりまた新たな星が生まれてくるんだ。実は私達の太陽も今から50億年前に、
近くで起こった超新星爆発による衝撃でガスや残骸がふきよせられて誕生したものと言わ
れているんだよ。上の画像の中心付近には、星雲を背景にしてみられる小暗黒星雲にあ
る濃密で小さい胞子とチリの筋がある。そして今この時、これらの中で新しい星が生まれ
てきているんだ。上の画像に見られる星の死と誕生。気が遠くなる時空の中で繰り広げ
られる生と死。この全く相反するとしか見えないものがひとつの場で織りなしている姿に、
宇宙のそして生と死の深遠さに思いを馳せてみるのもいいかも知れないね。
南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)のラ・シラ観測所に設置された
口径2.2m望遠鏡を使って2000年9月に撮影されたもので、赤、緑、青の3色の
フィルターを使って撮影された15枚の像を合成して作られたものです。ため息
が出てしまうほどの美しさですね。
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