アリ星雲(Mz3)
これは死にゆく星の画像だ。星が死を迎えるときには核融合反応の燃料の水素が少なく
なり、もえかすのヘリウムばかりが中心部にたまり、しだいにふくらみ始める。赤色巨星
になった星は、ヘリウムがどんどん中心部にたまると核融合反応が起こらなくなり、逆に
ちぢみ始める。これが白色わい星と言われており、画像では中心に明るく光る星がそう
なんだね。そして表面からはがれたガスは、温度の高い白色わ星の光に刺激されて星
雲が映し出される。それは今まで考えられていた星の最期の姿・惑星状星雲とは全く異
なる特異な姿、アリ星雲の対照的な形が天文学者を悩ませているんだ。何故このような
姿になってしまったんだろう。球形に広がる惑星状星雲とは全く異なる星の最期の姿。
一つ考えられているのは中心星の非常に近くの伴星の存在が、強力な重力潮汐作用を
起こし、このような対照的な放出ガスが出来たというもの。もう一つは中心星がスピンす
ることにより強力な磁場がねじれてしまい、放出された電荷した風がこの磁場の道を通
るというもの。この電荷した風は私たちの太陽風よりも何百万倍も密度が高く、一秒間
に1000Kmもの物凄い速さで星から放出されるらしい。まだ現代天文学では説明がつ
かないけれど、星が最期に見せる姿としてこのような形状をもつ星雲は、未だに見つ
かっていない。本当に特異な謎に満ちた星雲なんだね。尚、アリ星雲は定規座の方向
にあり、地球から約3000光年離れたところに輝いているんだ。
(映し出されるまで時間がかかる場合があります)