双眼鏡の求め方のポイント
「四季の天体観測 肉眼・双眼鏡・小望遠鏡で」中野繁著 より引用
1 天文用を主体にして、まずカタログを請求し、経験者と相談してみることです。店さきや
広告で衝動的に買わないようにしましょう。
2 外観をよくみます。対物レンズを斜めからみますと、レンズの気泡、キズ、バルサムの
はがれたところなど気がつきます。
3 ひとみ径は左右同じで、正円でありむらがなく輝いていなければなりません。ひとみ径
の外側だけが白っぽくなっているものは鏡筒内の反射がわるいもので、星をみても
コントラストがよくありません。ひとみ径が正円でなく、一部がうす青く四角形にみえ
るものは二流品で反射がわるく、光の透過がよくないものです。
4 内部構造 電球にかざして対物の方からみますと内部がよくわかります。塗りのはげ
ているところ、プリズムが金具で押さえられてなく、はり合わせのもの、これは絶対
さけなければなりません。
5 可動部分 折れまがりの関節部やヘリコイド、調節軸、ネジのゆるみやガタのあるも
のは注意します。
6 倍率 まさかと思いますが、表示の倍率とちがっているものがあるといいます。
7 収差 電線などをみますと、ひどく黄か紫の出るものは色収差不良です。歪曲収差
は、遠方の格子戸などをみるとわかります。糸巻型と樽型があり、レンズ中央と
端の焦点距離がちがうためです。電柱などを視野の端に持ってゆくと、内側が
外側にひどくぐっとまがるものは、収差がひどいものとして敬遠した方がかしこい
といえます。良品では視野の端でも像がみだれません。
8 星像検査 星像をみればその双眼鏡の良否がよくわかります。視野の中心での星
像は鋭い光点にみえ、端の方まであまり変わらなければ極上の双眼鏡です。中
心部だけわずかに星の像が光点にみえ、端の方では鳥がとんでいるような像の
ものでは星空はたのしめません。コーティングのよくないもので月をみると反射光
がたくさんみえます。昼のけしきだけでは良品不良品がよくわからないので、星
像の検査がいちばんのぞましいことです。できたら行いたいものです。
9 光軸不良 左右の軸が合わないため、像の重なりがなく、上下左右にわかれたり、
一方の像が倒れたり二重にみえたりなどで、めったりありませんが、もうこれは
双眼鏡といえなくなります。中古品はよほど納得のいかぬかぎり求めるべきでは
ありません。上記のチェックをしてみましょう。とくに注意しなければならないのは
古い製品で、コーティングしていないもの、射出瞳3mm以下のものなどなんらの
価値はありません。おもなチェックポイントを要約してみます。
T 光学部品に欠陥がないかどうか、プリズムのはり合せ、内部塗装、コーティング等の注意。
U 機械部分が機能的かどうか。
V 必ずひとみ径をチェック、倍率しらべ。
W 色収差、歪曲収差のチェック。
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