衛星タイタンとその上空から見た土星
土星の衛星のなかでは最大のタイタン。この天体はなんと水星より大きい
ものだけど、火星より濃い大気に包まれているので表面の様子などまだ
良くわかっていない。でも調べてみると地球の原始大気と似た厚いメタン
の大気を持つタイタンには、雨が降り海が存在して可能性もあると天文
学者たちは考えている。最近では日常的にメタンの雲が発生していること
も観測されているけれど、このメタンの雲はタイタン全表面の1%未満の
面積を覆い、この短期間にしか存在しない雲が消滅する際に雨を降らせ
ているかも知れないんだ。そして年に一度くらい、このメタンの雲がタイタン
の全表面を覆ってしまう日があるけれど、何故このような現象が起こるの
かについてはまだわかっていない。ただこの雲の発見は海の存在の可能
性を含んでいるものなんだよ。ひょっとしたら何かの生命が存在している
かも知れないけれど、詳しいことは土星探査機「カッシーニ」が2004年に
タイタンに到達し、大気を調べてからでないと分からないかも知れない。
Steven Hobbs より引用
上の画像はタイタンの表面だけど、これは太陽系のどの天体の中でも最も
地球に近い形をしていると言われている。これは他の天体にはあるクレー
ターが少ないからなんだ。何故少ないかと言うと、上の画像で湖のように
見えているのは水ではなく、メタンやエタンなど液体の炭化水素と考えられ
ていて、地表を侵食しクレーターの跡を消し去ったと考えられている。
Cassini-Huygens News Release
Cassini
Images Mammoth Cloud Engulfing Titan's North Pole
2007年2月、NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)の土星探査機カッシーニの観測によって、
衛星タイタンの北極上空に巨大な雲が発見された。この雲はメタンを降らせており、その大き
さは日本の12倍に相当するものだ。タイタンではメタンの雨が降り、それが海となり蒸発し
てまた雲を産むという循環になっているらしいんだ。
NASA JPL News Releases: Cassini Spacecraft Finds Ocean May Exist Beneath Titan's Crust
2008年4月、土星の衛星で厚い大気に覆われたタイタンのレーダー観測
によるデータを用いた研究で、表面の地形が予測の位置より約30kmもずれて
いることが明らかとなったんだ。その理由として、凍った地殻の下に海(青い部
分)があるため、地殻と中心の核が切り離されたためだと考えられている。この
海は地下100kmのところに存在し、水とアンモニアから出来ているようだ。
土星とその衛星たち(1980年のボイジャー探査機で撮影された各衛星の写真を合わせたもの)
画像の一番手前の大きく見える衛星が「ディオネ」、右手の土星の輪の下には「ミマス」「エンケラ
ドゥス」など、「タイタン」は右上に見える。2009年現在、64個の衛星(うち3個は不確実)が発見さ
れている。・・・・Views of the Solar System
2009年10月、NASAの赤外線天文衛星スピッツァーが、土星のまわりに、
これまでで最大の環を発見したんだ。そのサイズは直径約3600万km(土星の
300倍)、幅約600万km、厚さ約120万km(土星20個分)もある巨大なもので、
直径に合わせて土星を並べるとなんと300個ほどが収まってしまう。これま
でに発見された環と比べると桁違いのものなんだ。ちなみにこの環は氷と
ちりの粒子で出来ており、人間の可視光による観測は不可能で、赤外線を
測定するスピッツァーを使って初めてわかったことなんだ。
(映し出されるまで時間がかかる場合があります)