APOD: 2013 November 28 - NGC 1999: South of Orion
反射光星雲(NGC1999)
これは地球から約1500光年の距離にあるオリオン座に位置する反射光星雲という有名な
星雲だよ。この星雲がどうして明るく輝いているのかわかるかな。星雲自体が発光していると
考える人もいるかも知れないね。でも実はこの星雲の真中に輝いている恒星に照らされて輝
いているんだよ。街灯のまわりの霧が輝いて見えるのと同じだね。この明るい恒星はオリオン
V380という星で、太陽の質量の3.5倍もあり、表面温度が太陽の2倍の摂氏一万度もある
んだ。だからこの恒星は白く輝いて見えるんだ。そしてこの星はとても若い星で、形成期に残さ
れた物質の雲に取り囲まれている。この雲には画像で明るく光っているものと、画像中心に
Tの文字を横にしたような暗黒雲の二つが見えるね。この暗黒雲は「ボークの胞子」と呼ばれ
たものの一つで、ガスや分子やチリから成る低温雲で、背後から来る光を全て遮ってしまうほ
ど非常に密度が高い雲と考えられていたんだ。しかし、ESAの赤外線天文衛星「ハーシェル」
が2010年5月に観測したところによると、この穴の部分はガスやちりによって光が遮られてい
るのではなく、空洞になっていることが明らかとなったんだ。若い星から噴き出すジェットがガス
やちりを貫通して出来たものかも知れないし、近くに存在する成熟した星からの強力な放射の
影響もあるのかも知れない。いずれにしろ新しい星の誕生の際に周囲のガス雲を失ってしまう
様子をとらえた、重要な発見になるだろうと言われている。最後に、何故この反射光星雲が有名
な存在になったかの最大の理由が、この星雲のすぐ隣で初めて発見されたハービック・ハロー
天体という存在だったんだ。この天体は生生まれたばかりの原始星からのガス・ジェットを特徴
とし、その存在をここに見つけたんだよ。この星雲の位置は下の星図を参考にしてごらん。そし
てこの星雲の上にある有名なオリオン星雲の画像(下の画像)が、日本のすばる望遠鏡やヨー
ロッパ南天天文台でも撮影されている。そしてこのオリオン座を題材にして書いた散文詩が
「星夜の調べ」なんだ。
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