「アシハヤ」
イロコイ・インディアンに残された物語
北山耕平 再話 菊地慶短 作画 星雲社より引用
北山耕平さんのホームページ「Native Heart」
昔インディアンの若者や子供たちは火の周りを囲み、長老たちが語る物語を 楽しみに聴いていました。そこで語られる物語は、部族の歴史の中で起こった 教訓的なことがらです。人や自然の関わりを通して何が大切なことかを暗に教 え、若者や子供がこれからどう考え生きていかねばならないのかの基盤を作 る意味を持っていました。北山さんはイロコイ、シャイアン、ズニの各部族の中 で語り継がれてきた多くの物語の中から4つの物語を紹介しています。「アシ ハヤ」は同じ年頃の仲間からからかわれていた存在でしたが、如何に「平和 の時」を守ったかが語られます。「星の少年」は空の国で育った少年が、亡く なった母親の故郷を数々の困難から救う物語です。「鷲と少年」は家の仕事 をなおざりにし鷲の子供の世話ばかりしていた少年が、鷲と共に空の国に行 き、様々な経験を通して一人前の人間になっていく物語です。「ますらお」は トーテムポールやワタリガラスの伝説で有名なクリンギット・インディアンが 舞台です。部族の皆からなまけものと見られていた「うすよごれ」は誰も知ら れず秘密に鍛錬していました。そして村を襲う困難から救い、最後には世界 を乗せた柱を支える偉大な者になっていくのです。 2002年8月21日 (K.K)
|
本書より引用。
誰にでも大人になる時が訪れます。生まれ育った家を離れ、両親の加護を離れて、 自分がひとりの人間として生きていけることを、成長していけることを、自分の力で 証明してみせる時が訪れるはずです。おそらくこれは年齢とはあまり関係がありま せん。十代でその時を迎える人もいるし、二十代で迎える人もいるでしょう。けっ きょく大人になることをミスしたまま歳を重ねることだって、あらゆる儀式が価値を 喪失した現代では珍しいことではありません。大人になれなかった大人たちがたく さんいることも事実です。世界の文化のなかには、いまでも若者が大人になるた めの通過儀礼を持っているところがあります。それは新しく大人になる人間に、大 人になるとはどういうことなのか、大人の役割とはなんなのかを教える儀式です。 私は「日本人」が「アメリカ先住民」と民俗学的に近い位置にあることを肌で確認し て以来、長い間、北アメリカ大陸の先住民の間に残っていたそうした儀式に興味 を持って調べてきました。代表的なものにラコタ族(スー族)に残されているヴィ ジョン・クケストがあります。山の頂でひとりぼっちで、飲まず食わずで4日4晩を 過ごす儀式ですが、同様のシンボリックな通過儀礼が他の部族でもさまざまに姿 を変えて伝承されています。そして大人の世界に足を踏み入れる儀式において、 その儀式の意味を伝える教育的な働きをするものが、メディスン・ストーリーとか ティーチング・ストーリーと言われる「お話」でした。お話は、なにも娯楽のためだ けあるのではありません。本当に大切なことを伝えるために物語りは人間の歴史 を通じて使われてきました。そこで私は、ネイティブ・アメリカンに伝えられてきた 「大人になる時の教えの話」「大人になるための教えの話」を、できるだけたくさん の日本列島に生を受けた若者たちと共有したいものだ、と考えました。なぜなら、 日本人はルーツを喪失した「インディアン」であって、なおかつ日本では大人にな るための儀式も物語もまったく残されていないからです。文字に印された歴史が はじまって・・・・人間としての成長を疎外する便利なシステムが完成して・・・・ あまりに長い年月が経ってしまったために、人びとの間に残されていたそうした 教えのある物語は記憶の彼方に消されてしまったようです。私はこのシリーズ を、日本人としてではなく、地球のうえに生きるひとりの人間として、自分を知り たいと思い、大人になることはどういうことかを考えはじめた君に、贈ります。 北山耕平
|
2012年5月24日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 |
2012年5月21日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 |
2012年5月27日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 (大きな画像) 題・・・「お父さん、宇宙が、金環日食が、ここにもあるよ」・・・自宅近く (K.K) |
2012年6月4日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 (大きな画像) 2004年の金星の太陽面通過、太陽の右側に金星が写っています。(写真はNASAより引用) 今日の部分月食は厚い雲に覆われ見ることが出来ませんでした。 でもお陰で近くに天体観望できる開けたところを新たに開拓することが出来たので感謝です。 ところで、明後日の金星の太陽面通過ですが、上の写真は2004年6月8日の時のものです。 じゃあ明後日見逃しても数年後に見れるんだ、と思われたら大きな間違いで、次は105年先に なってしまいます。 105年先というと、現在の赤ちゃんでも見るのは殆ど出来ず、その赤ちゃんの赤ちゃんが長生 きしてようやく見ることができるのだと思います。 私たちが明後日見る金星の太陽面通過、そして次に目にするであろう世代を想像するとき、 インディアンの言葉を思い出します。 ☆☆☆☆ 「私たちの生き方では、政治の決め事は、いつも七世代先の人々のことを念頭におきなが ら行われる。 これからやってくる人々、まだ生まれていない世代の人々が、私たちよりも悪い世界で暮ら したりすることのないように、できればもっと良い世界に生まれてこられるように心を配るの が、私たちの仕事なのだ。 私たちが母なる大地の上を歩くときに、いつも慎重に一歩一歩進むのは、これから生まれ てくる世代の人々が、地面の下から私たちのことを見上げているからだ。 私たちはそのことを、片時たりとも忘れない」 オレン・ライオンズ(オノンダーガ族) 「ネイティブ・アメリカン 叡智の守りびと」築地書館より ☆☆☆☆ (K.K) |