「ローリング・サンダー」

ダグ・ボイド著 北山耕平・谷山大樹訳 平河出版社より

北山耕平さんのホームページ「Native Heart」




ローリング・サンダーの映像はこちら




本書 序文 ディー・ブラウン より引用


アメリカ・インディアンの精神世界にほんの少しでも足を踏み入れたことのある

人なら誰でも、そこで起こる説明のできないような事柄についてなにかを話せる

にちがいない。しかし外の世界の者にとっては、そうしたことはしばしばまったく

自分と無関係であると感じられるばかりか、ステージの上で職業的手品師の見

せる巧みな奇術ほど神秘的でもなく、好奇心をそそられるほどでもない。ノン・

インディアンほど、説明のつかない物事を拒絶する傾向にあるからである。その

人にはそうした体験が論理的に納得できない。彼らは自分の意識の階層の世界

にあるものはすべて、物質やエネルギーや確率の法則、つまりテクノロジーの法

則によって、ことごとく説明できるものだというふうに教えこまれているからだ。


現代人の作り上げた工業化社会の波は、アメリカ・インディアンの精神世界をも

ことごとく洗い流し、まるで彼らの文化が現代のテクノロジーを信奉する人々の

伝統的な宗教を害したといわんばかりに、それを破壊してきた。しかし、ほとんど

の部族がこの大波を潜り抜けて、自分たちの文化をかろうじて守り通してきたの

である。地球のスピリットの秘密は、年老いた「メディスンマン」や「メディスンウー

マン」によってしっかりと守られ、弟子たちに、つまり技術社会の価値観に取り巻

かれながらもその価値を否定した一族の若者たちに、語り継がれてきた。


この本の主人公であるローリング・サンダーは、一族の秘密を守る者であり、

現代を生きるひとりのメディスンマンである。著者のダグ・ボイドは、メニン

ガー・ファウンデーションの研究部門によって主催されたある会議で、ローリ

ング・サンダーのヒーリングの儀式を目の当たりにして以来、彼に示される

ことになるかもしれぬ、そうした隠されてきた癒しの力の神秘に魅せられて、

自らの心を開ききる決心をした。ボイドのこの本は、現代のひとりの白人によ

ってまとめあげられたアメリカ・インディアンたちの心の内側の叙述であり、

ある種の人間ならこれを「現実」として受け入れるかもしれぬ世界への、一つ

の探求の物語でもある。信じるか否かを別としても、ボイドの体験は現代人に

まったくといっていいほど知られていないある世界に読者を引きこみ、かつ

その心に挑戦する。


 


ローリング・サンダーの言葉 (本書より引用)


どこかひとつの場所が汚染されれば、それは全部に拡がる。

リューマチや癌がからだの中に拡がっていくように、それは拡

がる。この地球は今病んでいる。なぜなら、地球は誤った扱

われ方をしてきたからだ。これにともなっていくつかの問題も

起こるだろう。近い将来ひどい自然の災害が起こるかもしれな

い。しかし、そうしたことは自らの病気を治すための地球の自

然な回復作用なのだ。今この大地の上には、もともとここには

なかったものがたくさんある。よその国から来たものなので、

たとえていえば、ヴィールス、細菌のようなものだ。今のとこ

ろはいつそれが本当に起こるかがわからないだけのことなの

かもしれないが、これからは実にいろいろなことが将来にか

けて起こるだろう。こうしたことは地球がその病を吹き飛ばそ

うとするそれなりの試みなのだ。人間が病気になると、熱を出

したり吐き気をもよおしたりする。西洋医学が身体的調整と

呼ぶもの、それが起ころうとしているのだ





これはとても重要なことだから、みんなが理解しなくてはならな

ない。この地球はひとつの生きているオーガニズム、有機生命体

であり、より高次な個に与えられた肉体で、それは意志を持ち、

健やかでありたいと自ら願っており、精神的にも肉体的にも、ある

時は好調であり、時には不調だったりもする。人は自らの肉体を

尊敬をもって扱わなくてはならないように、この地球であろうとそ

れは同じなのだ。地球を傷つけることが自分たちを傷つけること

であるということを、知らない人たちがあまりにも多すぎる。





同じように、そういう人たちは、自分を傷つけることが地球を傷つけ

ることであるとは、気がついてもいない。こうした人々の中には、エコ

ロジーに興味を持ち、地球を守りたいと願いつつも、トリップするため

や、フリークアウトするためになら、なんだって口に突っこむ連中が

いる。彼らは時にはわれわれの聖なる薬草まで使ったりすることが

ある。わしはこうしたもののいくつかをヘルパーと、つまり助手、助け

てくれる者と呼んでいる。そうしたものは心を精一杯配って、慎重に、

誠実に取り扱えば、大変に良いものだ。しかしその場合、それは正し

いやり方で用いられなくてはならない。そうでなければ、そうしたも

のは価値がないばかりか、危険なものでもある。ほとんどの人は、

こうしたことを知らない。もしそれを用いるのであれば、まずこういっ

たことをすべて理解しておく必要があるのだ。





そういったことを理解するのはそう簡単なことではないかもしれ

ない。なぜなら理解とは書物や教師が話しているような種類の

ことを知るのとはわけが違うからだ。いいかな、理解というのは、

愛と尊敬にはじまるものだ。偉大なる精霊への尊敬の中に理解

ははじまる。偉大なる精霊グレイトスピリットは、すべてのもの

の生命の中に、ありとあらゆる生き物、植物、そして岩や鉱物の

中にまでも、それは宿る。すべてのものというのは、本当にすべ

てのもののことを言っているのだが、すべてのものは、自分の

意志を持ち、自分のやり方を持ち、自分の目的というものを持っ

ている。尊敬を払わなくてはならないのは、まさにこの点にある

のだ。この尊敬というのは、単なる気持ちや態度だけのものな

どではない。それはひとつの生き方である。自分自身や自分の

周囲の環境に対する責任を常に自覚して、その義務を怠ること

なく実行に移し続けていくことを意味しているのだ。


 


目次

序文 ディー・ブラウン

著者による覚え書き


1 ローリング・サンダー

2 カウンシル・グローブにおけるヒーリングの儀式

3 バッファロー・ホースとスポッテッド・フォーン

4 決定的な会話

5 キャンプの設営

6 地球は生き物である

7 副酋長のオスカー・ジョニー

8 ルビー・バレーへの探査行

9 冬の雪から夏の花

10 荒れた牧場に降る雨

11 聖なる癒しの儀式

12 浄化

13 スートラとスワミ

14 アリスは犬と蜂に話しかける

15 薬草を集める

16 ローリング・サンダーのたくさんの役割

17 アメリカ・インディアン 大地の守護者たち

18 酋長フランク・テモーク

19 ローリング・サンダーのメディスン ボリナスからバージニア・ビーチへ

20 眼に見えないものを見る

21 見えざる敵

22 グッド・メディスンをつくる

23 マッド・ベアとの会話

24 ペヨーテ・ティーの儀式

25 輪を閉じる


エピローグ エルマー・E・グリーン+アリス・M・グリーン

ネイティブ・アメリカンの用語集

解説




APOD: 2012 May 19 - Annular Solar Eclipse

(大きな画像)



 


2012年5月24日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。



私がインディアンに関心を持った頃に、インディアンのことについて日本人の方が書いている本に出会った。

その方からは、メールを通していろいろ教えてもらったこともある。



その方はブログの中で、日食に関してインディアンのメディスン・マンから決して見てはいけないことを言われ、

世界中のシャーマン達が決して日食を見ない事例を紹介しながら、家にこもり内なるビジョンを見ることを訴

えておられた。



私は日頃から星空に関心があり、時々山にこもって星を見るのだが、日食も一つの天文現象であると浅は

かに思っていた。



確かに太陽が死んでいくことは古代の人々にとって恐怖であり、喪に服す意味で家にこもったのだろう。私

たち現代人は太陽が隠れても、直ぐに復活することを知っているため、彼ら古代の人のこの恐怖は決して

理解することは出来ないと思う。



この意味で、先のブログは私に新たな視点を与えてくれたように思う。



ただ、私自身の中で、違う見方をした古代の人もいたのではないかという疑問が湧いてきて、5月21日にそ

の思いを投稿した。



私はギリシャ神話は好きではなく、以前から古代の人が星空にどんな姿を投影してきたのか関心があった。

また自分なりに星を繋ぎあわせ星座を創ったほうが意味あることだと思っていた。



今日のことだったがアイヌの日食についての伝承に出会った。私自身まだ読んではいないが、これは『人間

達(アイヌタリ)のみた星座と伝承』末岡外美夫氏著に書かれている話だった。



アイヌの文献は何冊か読んで感じていたことではあるが、アイヌの方と神(創造主)はまるで同じ次元でもあ

るかのような親密感をもって接していながら、畏敬の心を持っている。私は彼らの世界観が大好きだった。



下にこの文献からの引用とアイヌの方が日食を歌った祈りを紹介しようと思うが、これは一つの視点であり

絶対こうでなければならないという意味ではない。



私たちは日食に対する様々な見方を受け止めなければならないのだろうと思う。



☆☆☆☆



太陽が隠れるということは、人びとにとって恐怖でした。



日食のことを次のように言いました。



チュパンコイキ(cup・ankoyki 太陽・をわれわれが叱る)
チュプ・ライ(cup・ray 太陽・が死ぬ)
チュプ・サンペ・ウェン(cup・sanpe・wen 太陽・の心臓・が病む)
トカム・シリクンネ(tokam・sirkunne, tokap・sirkunne 日(太陽)・が暗くなる)
チュプ・チルキ(cup・ciruki 太陽・が呑まれた)
トカプ・チュプ・ライ(tokap・cup・ray 日中の・太陽・が死ぬ)  
チュプ・カシ・クルカム(cup・kasi・kur・kam 太陽・の上を・魔者・がかぶさる)



日食の際の儀式を紹介します。



男性は、欠けていく太陽をめがけてノイヤ(蓬(よもぎ))で作った矢を放ちました。



女性は、身近にある器物を打ち鳴らし声を合わせて、次のように叫びました。



チュプカムイ      太陽のカムイよ
エ・ライ ナー   あなたは重態だ
ヤイヌー パー    よみがえれよー
ホーイ オーイ    ホーイ オーイ



日食は、太陽を魔者が呑み込むために起こったと考えました。その魔者を倒すために、蓬の矢が効果が

あったのです。



太陽を呑み込む魔者は、オキナ(oki・na 鯨・の化け物)、シト゜ンペ(situ・un・pe 山奥・にいる・もの 黒狐)。

オキナは、上顎(うわあご)が天空まで届き、空に浮かんでいる太陽をひと呑みにしたと伝えられています。



闘病記/定年退職後の星日記/プラネタリウム より引用



☆☆☆☆







(K.K)



 

 


2012年5月21日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。

画像省略

厚木市から見た金環日食



僕は毎日起きてすぐに太陽に祈っている。



人びとに安らぎが訪れるようにと。



今日は金環日食だった。



昔の人は急に太陽が隠されるのを見て、恐れおののいたことだろう。



でも、僕は違う人々のことも想像してみた。



インディアンホピの方たちが日食をどのように見ていたかはわからないが、

日の出と共に太陽に祈りを捧げている人々のこと。



もしこの人たちが太陽が隠され死んでいくのを見た時、こう願い叫んだかも知れない。



「太陽、生きてくれ!!!」と。



僕は肌を通してその感覚を理解しているとはとても言えない。



しかし太陽と心が通じていた民の中には、死にゆく太陽を見ながらこう願ったかも

知れない。



日々、太陽が昇ることを当たり前の出来事と受け取らず、日々感謝の心を持って

生きてきた人たち。



勿論これは僕の勝手な想像で、そのような先住民族がいたかどうかはわからない。



でも、僕は彼らのような民がいたことを、そして現代でも生きていることを信じたい。



(K.K)



 

 

2012年5月27日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。





(大きな画像)



題・・・「お父さん、宇宙が、金環日食が、ここにもあるよ」・・・自宅近く



(K.K)



 

2012年6月4日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。





(大きな画像)



2004年の金星の太陽面通過、太陽の右側に金星が写っています。(写真はNASAより引用)



今日の部分月食は厚い雲に覆われ見ることが出来ませんでした。



でもお陰で近くに天体観望できる開けたところを新たに開拓することが出来たので感謝です。



ところで、明後日の金星の太陽面通過ですが、上の写真は2004年6月8日の時のものです。



じゃあ明後日見逃しても数年後に見れるんだ、と思われたら大きな間違いで、次は105年先に

なってしまいます。



105年先というと、現在の赤ちゃんでも見るのは殆ど出来ず、その赤ちゃんの赤ちゃんが長生

きしてようやく見ることができるのだと思います。



私たちが明後日見る金星の太陽面通過、そして次に目にするであろう世代を想像するとき、

インディアンの言葉を思い出します。



☆☆☆☆



「私たちの生き方では、政治の決め事は、いつも七世代先の人々のことを念頭におきなが

ら行われる。



これからやってくる人々、まだ生まれていない世代の人々が、私たちよりも悪い世界で暮ら

したりすることのないように、できればもっと良い世界に生まれてこられるように心を配るの

が、私たちの仕事なのだ。



私たちが母なる大地の上を歩くときに、いつも慎重に一歩一歩進むのは、これから生まれ

てくる世代の人々が、地面の下から私たちのことを見上げているからだ。



私たちはそのことを、片時たりとも忘れない」



オレン・ライオンズ(オノンダーガ族)



「ネイティブ・アメリカン 叡智の守りびと」築地書館より



☆☆☆☆




(K.K)









アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)に関する文献

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