「炎の馬」

アイヌ民話集  

萱野茂著 すずさわ書店





自然とともに生きたアイヌの暮らしと精神文化の源流を伝承する30の

物語を収録する。アイヌが語りアイヌが記録した貴重なウウェペケレは

アイヌ初の国会議員となった萱野茂氏の代表作であるにとどまらず、

先住民族の方達が持つ豊穣な魂をより深く理解できる架け橋である。

多くの大人がこの非常に美しい物語を、未来を担う子供たちに読んで

あげることを切に願っています。アイヌの精神文化を詳しく知りたい方

は松居友氏の「火の神の懐にて」並びに梅原猛氏の「アイヌ学の夜明

け」を参考にしていただけたらと思います。また著者、萱野茂氏の半

生を記した書として「アイヌの碑」などがありますが、絵本では沙流川

を舞台にした竜神カンナカムイが語る「火の雨 氷の雨」があります。

(K.K)








本書 はじめに・・・萱野茂 より引用


わが家の茶の間のベランダ越しに、沙流川右岸の山ひだに消え残っている雪がぽつんと

見えます。毎年今頃の季節になると、その残雪とにらめっこしながら、消えた日を日記に記

していました。その形がなんとなくウサギに似ているので、私なりにパシイセポ(走りウサギ)

と名付けて見ていたものです。ところが、昨日四月十三日近所の貝沢はぎ婆さんが来たの

でその話をすると、「どれどれ」と立ち上がって窓越しに残雪を見たはぎさんは、「あれは

走っていない。眠っている」と言うのです。眠りウサギという言葉をアイヌ語でいうと「モコロ

イセポ」となります。より、眠りウサギに決めた。・・・・・あのモロコイセポはいつ目を覚まして

神の国へ帰るだろうか --- 民話や伝説とはこんな具合に庶民によって作られ語り継がれ

て来たものかもしれません。それにしても「炎の馬」と題されたこの小さな本には、登別、

静内そして私が住んでいる沙流川地方という風に、各地の昔ばなしを盛り込むことができ

ました。古いものは、登別の金成まつさんがローマ字で筆録しておいたものです。昭和三

年から二十二年にかけて膨大な量のユカラを書き遺した中に、たまたま数編のウウェペケレ

(昔ばなし)が混じっていました。新しいものには、昭和五十年十二月に私が録音した話があ

ります。金成まつさんの話は昭和初年に書かれたものですから、明治時代に聞いた話であ

るといえるでしょう。つまり、この本では、一世紀分のアイヌ民話の流れを知ることができる

わけです。(金成まつさんの遺稿の訳には北海道教育委員会が助成金を出しています)

翻訳するために、アイヌ語で語られる昔ばなしの録音テープを聞いていると、私一人が

特別招待を受けて、古い時代のアイヌの村里を歩きまわっている錯覚に陥ることが度々

あります。近くを通る国道二三七号線をひっきりなしに車が走り、テレビに電話と、アイヌ

の生活もすっかり近代化されたいま、私一人だけの招待席ではなく、この本を読んで下さ

る方々も一緒に神代時代のアイヌの里へご案内したいものです。そして、アイヌが自然に

対してどのような心で接したか、現代の生活者である私どもが忘れているものを思い起こ

してもらいたい。それがこの小さな本にこめた私の願いです。


アイヌ民族の文化伝承に生涯を捧げている著者の自叙伝「アイヌの碑」を参照されたし


 


「旅をする木」星野道夫著より引用


神話学者のジョセフ・キャンベル「私たちには、時間という壁が消えて奇跡が現れる

神聖な場所が必要だ。今朝の新聞になにが載っていたか、友達はだれなのか、

だれに借りがあり、だれに貸しがあるのか、そんなことを一切忘れるような空間、

ないしは一日のうちのひとときがなくてはならない。本来の自分、自分の将来の姿

を純粋に経験し、引き出すことのできる場所だ。これは創造的な孵化場だ。はじめ

は何も起こりそうにもないが、もし自分の聖なる場所をもっていてそれを使うなら、

いつか何かが起こるだろう。人は聖地を創り出すことによって、動植物を神話化

することによって、その土地を自分のものにする。つまり、自分の住んでいる土地

を霊的な意味の深い場所に変えるのだ。




APOD: 2012 May 19 - Annular Solar Eclipse

(大きな画像)



 


2012年5月24日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。



私がインディアンに関心を持った頃に、インディアンのことについて日本人の方が書いている本に出会った。

その方からは、メールを通していろいろ教えてもらったこともある。



その方はブログの中で、日食に関してインディアンのメディスン・マンから決して見てはいけないことを言われ、

世界中のシャーマン達が決して日食を見ない事例を紹介しながら、家にこもり内なるビジョンを見ることを訴

えておられた。



私は日頃から星空に関心があり、時々山にこもって星を見るのだが、日食も一つの天文現象であると浅は

かに思っていた。



確かに太陽が死んでいくことは古代の人々にとって恐怖であり、喪に服す意味で家にこもったのだろう。私

たち現代人は太陽が隠れても、直ぐに復活することを知っているため、彼ら古代の人のこの恐怖は決して

理解することは出来ないと思う。



この意味で、先のブログは私に新たな視点を与えてくれたように思う。



ただ、私自身の中で、違う見方をした古代の人もいたのではないかという疑問が湧いてきて、5月21日にそ

の思いを投稿した。



私はギリシャ神話は好きではなく、以前から古代の人が星空にどんな姿を投影してきたのか関心があった。

また自分なりに星を繋ぎあわせ星座を創ったほうが意味あることだと思っていた。



今日のことだったがアイヌの日食についての伝承に出会った。私自身まだ読んではいないが、これは『人間

達(アイヌタリ)のみた星座と伝承』末岡外美夫氏著に書かれている話だった。



アイヌの文献は何冊か読んで感じていたことではあるが、アイヌの方と神(創造主)はまるで同じ次元でもあ

るかのような親密感をもって接していながら、畏敬の心を持っている。私は彼らの世界観が大好きだった。



下にこの文献からの引用とアイヌの方が日食を歌った祈りを紹介しようと思うが、これは一つの視点であり

絶対こうでなければならないという意味ではない。



私たちは日食に対する様々な見方を受け止めなければならないのだろうと思う。



☆☆☆☆



太陽が隠れるということは、人びとにとって恐怖でした。



日食のことを次のように言いました。



チュパンコイキ(cup・ankoyki 太陽・をわれわれが叱る)
チュプ・ライ(cup・ray 太陽・が死ぬ)
チュプ・サンペ・ウェン(cup・sanpe・wen 太陽・の心臓・が病む)
トカム・シリクンネ(tokam・sirkunne, tokap・sirkunne 日(太陽)・が暗くなる)
チュプ・チルキ(cup・ciruki 太陽・が呑まれた)
トカプ・チュプ・ライ(tokap・cup・ray 日中の・太陽・が死ぬ)  
チュプ・カシ・クルカム(cup・kasi・kur・kam 太陽・の上を・魔者・がかぶさる)



日食の際の儀式を紹介します。



男性は、欠けていく太陽をめがけてノイヤ(蓬(よもぎ))で作った矢を放ちました。



女性は、身近にある器物を打ち鳴らし声を合わせて、次のように叫びました。



チュプカムイ      太陽のカムイよ
エ・ライ ナー   あなたは重態だ
ヤイヌー パー    よみがえれよー
ホーイ オーイ    ホーイ オーイ



日食は、太陽を魔者が呑み込むために起こったと考えました。その魔者を倒すために、蓬の矢が効果が

あったのです。



太陽を呑み込む魔者は、オキナ(oki・na 鯨・の化け物)、シト゜ンペ(situ・un・pe 山奥・にいる・もの 黒狐)。

オキナは、上顎(うわあご)が天空まで届き、空に浮かんでいる太陽をひと呑みにしたと伝えられています。



闘病記/定年退職後の星日記/プラネタリウム より引用



☆☆☆☆







(K.K)



 

 


2012年5月21日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。

画像省略

厚木市から見た金環日食



僕は毎日起きてすぐに太陽に祈っている。



人びとに安らぎが訪れるようにと。



今日は金環日食だった。



昔の人は急に太陽が隠されるのを見て、恐れおののいたことだろう。



でも、僕は違う人々のことも想像してみた。



インディアンホピの方たちが日食をどのように見ていたかはわからないが、

日の出と共に太陽に祈りを捧げている人々のこと。



もしこの人たちが太陽が隠され死んでいくのを見た時、こう願い叫んだかも知れない。



「太陽、生きてくれ!!!」と。



僕は肌を通してその感覚を理解しているとはとても言えない。



しかし太陽と心が通じていた民の中には、死にゆく太陽を見ながらこう願ったかも

知れない。



日々、太陽が昇ることを当たり前の出来事と受け取らず、日々感謝の心を持って

生きてきた人たち。



勿論これは僕の勝手な想像で、そのような先住民族がいたかどうかはわからない。



でも、僕は彼らのような民がいたことを、そして現代でも生きていることを信じたい。



(K.K)



 







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