APOD: 2008 April 20 - Spiral Galaxies in Collision
接近する2つの渦巻き銀河
この前のページで私たちの銀河系とアンドロメダ銀河が、遠い未来に接近することを書きまし たが、もしかしたら将来上の画像のような姿になるのかもしれないね。実はこの画像の2つの 渦巻き銀河は、私たちの銀河系とほとんど同じ大きさのもので、地球から約一億光年の彼方 にあるんだ。左側の銀河の直径は14万光年で、左側の銀河は10万光年の広がりを持つん だ。この2つの銀河は約4000年前に最も接近し、その後離れながらも重力的には合体に 至るんだ。完全な合体までの時間は、約10億年もかかってしまうけれど、私たちの銀河系 も他の多くの銀河もこのような合体の過程を経て生長してきたと考える学者もいるんだよ。 さて、もう少し詳しく上の接近する2つの渦巻き銀河を見てみようね。右側の小さな銀河は、 左側の大きな銀河の周りを反時計まわりに回転しているんだ。そして大きな銀河の腕が、小 さな銀河の中心にかかっているのが見えるでしょう。つまり右側の小さな銀河は大きな銀河 の後ろにあるということだね。この小さな銀河から右側に長く腕が引き伸ばされているけれ ど、これは大きな銀河からの大きな潮汐力によるものなんだ。この引き伸ばされた腕にあ るガスやダストは腕構造の中で集積し、将来活発な星形成領域となり新しい星々を創って ゆくことになるんだ。私たちの銀河系とアンドロメダ銀河もきっとこのような壮大な眺めを見 せてくれるのだろうね。でも今の人類がその姿を見ることが出来るとは誰にもわからないと 思う。地球に生きる多くの生命の犠牲を強いることによって成立している現代物質文明の 行き着く先は、自らによる自らの破滅という道を辿るしかないかも知れない。そんな想いか ら書いた、散文詩「星夜の調べ」を読んでくださればと思います。さて、次に実際に衝突し た銀河の画像を見てみよう。
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衝突する銀河(NGC6745)
大きな銀河(画面中央)と小さな銀河(画面右下)が実際に衝突し通過したもので、青色に映る 部分は小さな銀河が通過した跡だよ。でも衝突と言っても銀河を構成している星たちが衝突する わけではないんだ。衝突するというより「すり抜ける」と言った方が適切な表現かも知れないね。 何故なら銀河を構成する星々の回りの空間が大きすぎるので、物理的に衝突する確率はとても 小さいものなんだ。私たちの太陽系だって、一番近い星「ケンタウルス座プロクシマ」(アルファケ ンタウリ三連星の1つの星まで4.3光年も離れていることを想像すると、この「すり抜ける」感覚 が良く理解できるかも知れない。ただ衝突する2つの銀河の星間ガスは「すり抜ける」というわけ にはいかないらしい。星間ガス同士が衝突すると、物質濃度が高くなり重力崩壊が起きてしまう。 そこに新たな星が誕生していくわけだけど、それが画像に見える青白い部分の領域なんだ。
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上に輝くのが冬の星座として有名なオリオン座だね。そして左側にに輝くのがおおいぬ座の シリウスだよ。この輝星の近くに接近する銀河NGC2207とIC2163があるんだ。夜空を見上げ てシリウスを見つけたら、この星の近くにこのような接近する銀河があることを思い浮かべてご らん。私たちの銀河系も遥か太古の昔、他の銀河との合体を通して今の姿になってきたのか も知れないし、将来アンドロメダ銀河との接近が予測されている。本当に宇宙の壮大な物語 は、私たちの想像を遥かに超えたものなんだね。
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APOD: 2012 August 12 - Spiral Galaxy NGC 4038 in Collision
Super Star Clusters in the Antennae Galaxies
この画像は衝突銀河として有名な「アンテナ銀河」(NGC 4038-4039)の画像だ。 2つの渦巻銀河が衝突してから数億年ほど経過したもので、2つの銀河の中心部 は融合しつつある。からす座の方向6200万光年の距離にあり、衝突銀河としては もっとも近いものの一つだ。画面中央にオレンジ色に見えているのは、2つの銀河 の中心核で、ピンク色に輝くのが、銀河の衝突によって爆発的に誕生した若い星 の集まりなんだ。茶色い筋はちりの集まりだよ。下の画像も「アンテナ銀河」の姿だ けど、これは2010年8月6日にNASAの赤外線天文衛星スピッツァーとX線観測衛星 チャンドラ、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の3つの天文衛星のデータを重ね合わせた 最新画像だよ。青の擬似カラーで示されているのは、超新星爆発で放出されたX線 を放射する高温の星間ガスで新しい星の材料となるんだ。赤の擬似カラーは、生ま れたばかりの星の放射によって暖められたちりの雲の姿だよ。このアンテナ銀河に は太陽質量の百倍ほどの質量をもつブラックホールも存在していると考えられてい るんだ。
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NASA JPL News & Features: NASA's Great Observatories Witness a Galactic Spectacle
APOD: 2017 April 28 - Exploring the Antennae
APOD: 2010 May 7 - The Antennae
APOD: 2012 October 19 - Merging NGC 2623
APOD: 2009 November 9 - NGC 2623: Galaxy Merger from Hubble
かに座の方向約2億5000万光年の距離にある銀河NGC 2623(別称:Arp 243) で、天の川銀河のような渦巻き銀河同士が衝突した後の姿なんだ。2つの尾の ように見えるのは、銀河にあった大量のガスが、接近するにしたがって互いに 相手の銀河の中心方向に向かって引き伸ばされていったのではと考えられて いるんだ。このような銀河同士の衝突の場合、中心に超巨大ブラックホールが 観測されることがあるらしい。私たちの住む天の川銀河とアンドロメダ銀河も50億 年後には衝突してしまう。もしかしたらその時このような姿を見せるのかも知れない。
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HubbleSite News Release: 'Dancing with the Stars' Takes on a Whole New Twist
大きい銀河がNGC 3808で、伴銀河である小さいほうがNGC 3808Aだ。 腕がからみつくように伸びており、互いに作用し合う姿は、まるでダンスを 踊っているかのようだね。小さな銀河は真横に位置し、その垂直に取り巻 く星やガスによるリング状の構造は、「ポーラー・リング」と呼ばれている。
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HubbleSite Newscenter: Trio of Galaxies Mix It Up
みなみのうお座の方向約1億光年の距離に、お互いに引きつけ合う3つの銀河を ハッブル宇宙望遠鏡(HST)とらえたものだ。NGC 7173(写真左)、NGC 7174 (右)、NGC 7176(右下)の3つの銀河が映っている。右側のNGC 7174は2つ の銀河によって引き裂かれており、最終的にはこれらの3つの銀河は合体して 天の川銀河と比べて数倍の規模を持つ巨大な銀河が誕生すると見られている。
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PPARC News: Earth's final destiny
ジェミニ北望遠鏡に搭載されたGMOSによる銀河 NGC 520の画像だよ。 1億光年離れたうお座の方向にある銀河 NGC 520は、実は二つの銀河 が衝突・合体して大きくその姿を変えてしまったんだ。この画像は1億年 前の姿を見せているんだけど、まだ衝突の初期段階と言えるのかもしれ ない。普通衝突というと、死のイメージが湧くんだけど、実際は「ベビー ブーム」状態らしいんだ。銀河同士のの衝突の場合、恒星同士が衝突す ることはなく、星間ガスが集まりやすくやり、赤ちゃん星が生まれている。 画像の中で薄く赤く見えているところが、この急速に星が産まれていると ころなんだ。この画像は1億年前の姿だけど、今現在この二つの銀河は 完全に合体しているんだろうね。
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HubbleSite newscenter Newsdesk: Hubble Spies Cosmic Dust Bunnies
この画像はNASAのハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、巨大な楕円銀河NGC 1316の 姿だよ。複雑な模様の塵と赤い星の星団が見えるけど、これは数十億年前に 起きた豊富なガスを持つ渦巻き銀河同士の衝突の証拠なんだ。この塵の筋は この銀河に飲み込まれた星間物質と考えられている。楕円銀河NGC 1316は 南天の、ろ座銀河団の端に位置し、われわれから7500万光年離れているとこ ろにあるんだ。
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APOD: 2005 June 28 - The Giant Radio Lobes of Fornax A
画像中央で光っているのが楕円銀河NGC 1316です。
この素晴らしい画像はこちらの「すばる望遠鏡」のページからご覧ください
http://www.naoj.org/Science/press_release/0003/M82_j.html
すばる望遠鏡のホームページ Subaru Telescope Homepage
銀河から噴き出す真紅の光 不規則銀河M82(NGC3034)
地球から1200万光年の彼方にあるこの不規則星雲「M82」は、葉巻星雲とも呼ばれている んだ。7倍×50mmの双眼鏡では、楕円形の光のしみ(M81)と細長い小さな光のしみ(M82) が「ハ」の字に並んでいるのがはっきりわかるし、口径10cm望遠鏡の60倍では、同じ視野に ふたつの銀河が見え、その形の違いを楽しめると思うよ。さてこの葉巻星雲は、赤外線光で 見たとき全天で最も明るい銀河で、小さな望遠鏡でも大熊座の方向に見ることができるもの なんだ。この銀河の中心部から真紅の光が噴き出しているのが見えるでしょう。何故このよ うな形になったかについては、1960年代の初頭、渦巻銀河「M81」が近くを通過したための 相互作用の結果、銀河の中心部で起こった巨大な爆発によるものと考えられていたんだ。し かしその後、M82の中心部に巨大な分子雲や多くの超新星の残骸が発見されたり、中心部 から外側に向かって分子ガスが流出していることが観測されるようになってきたんだ。このこ とにより現在では、銀河中心部における活発な星生成(スターバーストと呼ぶ)や超新星爆発 により、高温の電離した水素ガスが銀河の外側まで噴出し、真紅の光として見えていると解釈 されるようになってきたんだ。この真紅の光は、電離した水素ガスが放つHα線と呼ばれるも ので、人間の目では見えない近赤外線の電離水素ガスによって放射されている光なんだ。 上の画像では、この赤く光っているガスの詳細なフィラメント構造が写っているけれど、1万光 年以上の広がりを見せているとても壮大なものなんだよ。さて、このような現象を「スーパー ウィンド」と呼んでおり、このスーパーウィンドを詳しく研究するには葉巻星雲M82は格好の 研究対象であると言われているんだ。
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銀河戦争 Credit & Copyright: Robert Gendler
この二つの銀河のうち、右側の真紅の光をだす不規則銀河がM82だよ。そして青い渦巻き腕の 銀河がM81だ。これら二つの巨大銀河は数十億年にもわたって、互いの重力の干渉を受けてお り、数十億年後に生き残るのは、このうちの一つの銀河であると言われているんだ。まさに銀河そ のものによる戦争なんだね。
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画面中心に北斗七星がある大熊座が見えるかな。
Subaru Telescope Homepage 文部省国立天文台のページ。 国立天文台が構想から20年の歳月をかけてハワイ・マウナケア山に建設した 世界最大級の望遠鏡「すばる」は、東京から富士山山頂に置いたテニスボール を識別できるほどの凄い能力を持った望遠鏡なんだ。これは宇宙空間から観測 しているハッブル宇宙望遠鏡に勝るとも劣らない性能を持っていると言われ、 今後の観測成果に多くの天文学者が注目している望遠鏡なんだよ。
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