APOD: 2018 March 7 - Arcs, Jets, and Shocks near NGC 1999
左下の「NGC 1999」を拡大した画像が下。
APOD: 2013 November 28 - NGC 1999: South of Orion
反射光星雲(NGC1999)
これは地球から約1500光年の距離にあるオリオン座に位置する反射光星雲という有名な 星雲だよ。この星雲がどうして明るく輝いているのかわかるかな。星雲自体が発光していると 考える人もいるかも知れないね。でも実はこの星雲の真中に輝いている恒星に照らされて輝 いているんだよ。街灯のまわりの霧が輝いて見えるのと同じだね。この明るい恒星はオリオン V380という星で、太陽の質量の3.5倍もあり、表面温度が太陽の2倍の摂氏一万度もある んだ。だからこの恒星は白く輝いて見えるんだ。そしてこの星はとても若い星で、形成期に残さ れた物質の雲に取り囲まれている。この雲には画像で明るく光っているものと、画像中心に Tの文字を横にしたような暗黒雲の二つが見えるね。この暗黒雲は「ボークの胞子」と呼ばれ たものの一つで、ガスや分子やチリから成る低温雲で、背後から来る光を全て遮ってしまうほ ど非常に密度が高い雲と考えられていたんだ。しかし、ESAの赤外線天文衛星「ハーシェル」 が2010年5月に観測したところによると、この穴の部分はガスやちりによって光が遮られてい るのではなく、空洞になっていることが明らかとなったんだ。若い星から噴き出すジェットがガス やちりを貫通して出来たものかも知れないし、近くに存在する成熟した星からの強力な放射の 影響もあるのかも知れない。いずれにしろ新しい星の誕生の際に周囲のガス雲を失ってしまう 様子をとらえた、重要な発見になるだろうと言われている。最後に、何故この反射光星雲が有名 な存在になったかの最大の理由が、この星雲のすぐ隣で初めて発見されたハービック・ハロー 天体という存在だったんだ。この天体は生生まれたばかりの原始星からのガス・ジェットを特徴 とし、その存在をここに見つけたんだよ。この星雲の位置は下の星図を参考にしてごらん。そし てこの星雲の上にある有名なオリオン星雲の画像(下の画像)が、日本のすばる望遠鏡やヨー ロッパ南天天文台でも撮影されている。そしてこのオリオン座を題材にして書いた散文詩が 「星夜の調べ」なんだ。
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ESA: Herschel finds a hole in space
ESAの赤外線天文衛星「ハーシェル」が捉えた画像の左上の白い雲をハッブル
宇宙望遠鏡が拡大して捉えた姿。
「沖縄の宇宙像」より抜粋引用 オリオンの三ツ星は、古代から東をしめす重要な星であった。三ツ星は地平から天界へ 昇るときには縦一列になって正確に真東から昇ってくる。また沈むときには横一列になって 真西に沈む島の人々は春分や秋分の太陽によらずとも、この星をもとにして正確なアガイ すなわち真東の位置を割り出していた。ストーンサークルの研究からもわかるように、古代 の人々の方位観は曖昧どころか現代のわれわれ以上に正確で、深く信仰と関係していた。 この点は沖縄でもまったくおなじである。大和岩雄は『神々の考古学』のなかで、大阪の住 吉大社で祀られている三神もオリオンの三ツ星であるという野尻抱影の話を紹介している。 「野尻抱影は、住吉大社の筒男三神が、『次ぎ次ぎと海から生まれたとする神話は、ミツボシ が直立して、一つ一つ海から現れる姿をしきりに思わせる。現在でも諸地方の猟師は、ミツ ボシを土用一郎、二郎、三郎と呼び、三日にわたり、沖から一つずつ昇ると言っている』と書 いている。草下英明も、オリオン座の『三つ星の右はじの星は、ちょうど天の赤道の真上に 位置をしめているので真東からのぼって真西に沈んでゆく。そして三つ星は東の空をのぼる ときはたて一直線となってじりじりとせりあがってくる。西にまわると横一直線になって一気に 沈んでゆく。したがって三つ星の位置によって東西の方角を判定することもできる』と書いて いるが野尻も『三つ星は天の赤道に位置して、正しく東から昇り、正しく西に入るので、海上 ではアテ星である』と書いている。航海にとって特に重要な星であったから、筒男三神(三つ 星)がまつられたのであろう」 ミツボシを土用一郎、二郎、三郎の三兄弟と呼ぶ点は、池間 島でナイカニ神を三兄弟と呼ぶのと共通していて興味深い。また航海安全の神とする点も 共通している。エジプトではキザの三大ピラミッドがこの三ツ星をあらわしていることは定説 で、古代よりこの三ツ星が天界に昇る道筋をしめす神としての非常に重要な意味を持ってい たことが理解できる。
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